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ホールセキュリティ本番 (2005年1月)

過去の事例や手口を押さえる

ゴト(不正)行為はイカサマであり刑法犯罪でもある。 例え、故意でなくてもゴト行為を見逃がすことは ホール自身がそれを助長しているに等しい。 そのツケは全て普通に遊んで頂いている一般客へ 回ることになり、知らず知らずのうちにそのホールを廃れさせ、 存続さえも危うくする。 過去にはゴト行為が原因でつぶれたホールはごまんとあった。 ある程度までは新たなゴト手口を予測することはできるが、 それを追い越し、先回りして対策を取ることは不可能だ。 対策の基本は過去に起こったゴト事例や手口を把握して、 同じ手口では二度とやられないようにすることにある。 ゴト行為を許してはならない。

驚愕の進化スピード

 わがP業界において日々発生しているゴト(不正)行為(内外部の不正全てを含む)の手口とそれに使用されたり、仕込まれたりするゴト(不正)器具等が進化する速さには驚愕する以外にありません。これらは携帯電話に代表されるような、一般社会における急速な電子機器類の発展がもたらすものであり、ある意味防ぎようのない部分なのかも知れません。セキュリティー関係者でさえ2002年以前は、スロットが体感器でゴト攻略されることなど思いもよらなかったのですが、いまは当たり前のようにそれらの被害にあい、被害額も急激に増加しています。 

 体感器系ゴトはA社製の「O」で電波発射機との組み合わせによって始まりましたが、その後、赤外線や低周波治療器との組み合わせなどにも発展していきました。特にソレノイドという安価で強烈な部品との組み合わせは、O社製の30パイ系やスロットメーカーの中では比較的セキュリティー度が高いと評価されているはずのY社製「N」、K社製「J」などが次々と標的になっていきました。D社製「Y」にいたっては、それまでのように大当たり図柄を強制的に引き当てるような体感器ゴト事例も多く発生していますが、ストック機の持つゲーム性の特徴である、大当たりストック解除演出までが体感器で狙われ、現在でも大きなゴト被害を出しています。また、これらはあくまでも体感器によって強制的に図柄確定させるタイプでしたが、最近では図柄確定を判定する「NABITAKUN」「TAWARAKYOUJU」などというゴト器具までが登場し、ホールに脅威を与えています。 

 また、一昨年の終盤に彗星のごとく登場しました「KUREMANKUN」なるゴト器具は、その時点で設置されているほぼ全メーカーの機種がターゲットとなりうる器具であったため、業界中を震撼させました。うわさでは(現時点では確定のものではなく、噂の域を出ない)このゴト器具はまだまだ進化しているようです。 

 これらのゴト器具の巧妙さや進化スピードには驚かされるばかりですが、ゴト手口の栄枯盛衰も実に著しいものがあります。まさに人気機種に寄生虫のごとく食らい付き、その人気機種が廃れると衰退していったゴト手口も数多くあります。途中わずかな時間、玉が止まる時を体感器付き電波発射機で狙われ、コントロールされたD社製の「F」やT社製の「Hちゃん」シリーズへのゴト行為などはその代表のようなものです。しかしながら、別に人気機種でなく一カ月ももたずに消えてしまうような機種であっても、いろいろな意味合いで内容的にほとんど変わらないため、いつの間にか別の機種で廃れたはずのゴト手口が復活したという場合も少なくありません。

復活する“古典的”ゴト

 最近の外部的ゴト手口の代表例としては、スロットにおける体感器系ゴトやセレクタゴトの話を避けて通れませんが、意外というべきか、パチンコではピアノ線ゴトが復活(いや前から被害にあっていたが気が付かなかっただけという声も聞こえる)し、S社のハネ物で釘曲げゴトが大流行しています。しかもこれなどは、ハネ物だけが狙われていると思っていると、なんとセブン機までが同様の被害に遭い、スタート回数が999というマックスになったとの報告も入ってきています。また、S社のハネ物についてはこれだけではなく、現在の筐体になる以前の機種で盛んにやられた、セル版と裏パックの合わせ目を利用して下皿からセルを突っ込み、上部に付いているハネを広げるためのソレノイドの心棒を押し上げて、ハネを開いてしまうというゴト手口も復活(これはまさに復活)しています。このゴト手口などはまさに職人芸と言わざるを得ないほど驚異的な技で、仕事柄、多くのゴト事例をいち早く経験でき、勉強もさせて頂いたつもりである私どもにとっても、びっくりという以外ありませんでした。言い方は悪いかも知れませんが、改めて実に奥が深いものなのだということを思い知らされました。

 確かに最近のゴト手口の進化は驚異的です。しかしながら、よくよく掘り下げて分析してみると、新手だと思った手口が過去に起きたゴト手口とどこか似ているといったことも少なくありません。中には単純にレベルが上がっただけのものもあります。極端に言えば最新式と思えるような前述のゴト器具もある意味、過去に起きたゴト手口の応用であると考えられることも多いのです。

 つまり、これから新たに出現するであろうゴト手口はさておきまして、これまでにはっきりと解明できているゴト手口はいくらでもあるわけです。私は常々、これらの過去に起きたゴト対策をきちんとやっていきましょうと提案しています。いろいろな考え方があると思いますが、ゴト対策の大きなヒントがここに潜んでいると考えているからです。ホール現場ではどうしても、いま起こっているゴトに対してだけに目がいきがちですが、ゴト対策の基本は「同じ手口では絶対にやられない」という心構えが必要です。新たなゴト手口が過去のゴト手口の進化形だとすれば、それらを掘り起こし把握する必要があります。その上でいろいろと振り分けてみて、それらの対策がきちんとできているものなのか、あらゆる角度から見直してみる、ということが重要となってくるのではないでしょうか?

対策機器の適切な運用

 さて、対応と対策部品や対策機器類の具体論ですが、対応をソフトとすれば対策はハードであると思います。ただし、これらを完全に分けることは不可能ですし、意味もありません。高い費用をかけて対策機器類をやたらと付けて守ろうとしても、警報が出た後の対応がまずかったり、日頃の点検がいい加減であったりではどうしようもありません。いきなり具体論で恐縮ですが、現在大抵のホールでホットボンド対策などを施工していますが、これなどは結構早い時期に劣化してしまうことがあり、こまめな点検が必要です。要はハード・ソフトの両方をうまく組み合わせることが重要であるということです。

 現在付いている機器類の有効性及び取り付け位置などの確認も重要な要素だと考えられます。例えば電波感知器という対策機器があり、これなどは過去に絶対に必要であったために取りつけたものであるはずですが、すでに形骸化していて単に遊技台の裏にぶら下がっている、あるいは必要のない機種に取り付けてあるというホールを時々見かけます。これなどは非常にもったいない話しです。

 また、機器の性能の善し悪しは当然のことながら、その運用方法が適切かどうかによっても対策の結果に違いが生じることを忘れてはいけません。例えば、いくら性能のよい監視カメラでも設置する位置によっては有効性が全く違ってきます。ところが、残念なことにとりあえず設置しているとしか思えないようなホールもいくつかあります。

 弊社には時々県警や所轄から体感器などの鑑定依頼がきますが、せっかく時間をかけて調査して鑑定書を作成提出しても、監視カメラの位置が悪くゴト師を捕まえた時の鮮明な映像がうまくとれなかったため、立件が出来なかったなどということをよくお聞きします。監視カメラなどは費用のかかる防犯機器ですので、撮影角度などをよく調査検討して設置すべきでしょう。

 次回はそのほかの対策機器類の具体的な取り付け位置などを考えてみたいと思います。