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ホールセキュリティ本番 (2005年11月)

せっかくの対策が逆効果になる時

ゴト対策はゴトを知ることから始まる。 どの部分がどのように狙われているのかを知らずに 形式的に処置しただけでは対策が逆効果となってしまう恐れもある。 そんな実例をもとに対策の実効性を高める方法を考えてみたい。

ホットボンドに潜む"落とし穴"

 さて、今月は対策について具体的に実行した処置をいくつか取り上げ、それぞれの功罪(果と逆効果)、特に逆効果となってしまった処置について考えてみます。  ホールにおいて、ゴト犯罪や不正行為から遊技機を守るためのセキュリティー対策にはいろいろな方法や考え方があり、それはゴト行為の手口によって大きく変わってきます。例えば、基板やロム、ハーネスなどを盗まれたり、交換されたりしないようにする対策、遊技台のすき間からピアノ線などを差し込みショートさせたり、釘曲げをする行為の対策、体感器や電波発射器のための対策、また夜間侵入への対策や遊技台を簡単に開けられないようにする対策など、さまざまなことが考えられます。パチンコ(スロット)ホールの経営は本当に大変だと思います。

  まず1番目の実例の検証ですが、その前に対策処置のために使う部材について考えてみたいと思います。現在、「ホットボンド」という非常に便利な工作用の接着剤が普及していますが、大概のホールが対策処置にこれを利用していると思われます。これほど安価で使いやすく手軽なセキュリティー対策部材はほかに見あたりません。

 そのためいろいろなことに利用されます。ピアノ線ゴトの侵入防止・プリント基板のはんだ部のカバーやコネクタの空き部分埋め込み(ショート防止。注意すべきは4Pハーネスのゴト部品もここに埋めこまれている)・コネクタの固定・破損部分の補修などです。

 しかし、この部材を使用する場合あくまでも応急的な対策であり、過信は絶対に禁物です。ハーネス交換ゴトは昔からあった手口ですが、その交換ゴトを恐れてるあまり、コネクタ部分が見えなくなるぐらいコテコテにホットボンド付けしてしまっているホールを時々見かけます。確かに不正な交換を防止する効果があることには違いないのですが、実はこの処置は"落とし穴"に落ちる危険と背中合わせだということも認識していただきたいのです。

後日の点検も想定し処置することが必要

 今年、あるホールから「データがおかしい」と弊社に検査依頼があり早速出向きました。依頼の対象機種は特に吉宗でしたが、遊技台の中をのぞくと、前述以上のホットボンド固め(4Pのコネクタ回りだけでなく、それ以外のコネクタ類を含む回りすべてにホットボンドがてんこ盛り状態)になっており、目視では全く内部の状態がわかりません。チェッカーを使って調べてみるとNGがでました。そこでボンドを取り除き4Pハーネスを調べたところ、コネクタ内から例の不正部品(9月号本コーナー参照)が発見されました。内部の犯行と考えられ、仕込まれた時期は不明です。「前々からおかしいと思っていた」という店長さんの証言から、かなりの期間であったことは確か。ホットボンドは近くのホームセンターで購入した量産品であるため、被害にあっと遊技台とあっていない遊戯台のホットボンドを比較してもほとんど違いはありません。対策処置後に仕込まれ同じ処置をされたのか、処置以前にすでにやられていたのかが不明なのです。また、ホットボンドでコテコテに固めてあるので「交換されることはない」と、無意識のうちに安心してしまったことも発見を遅らせる結果となりました。このホールでは二つもの"落とし穴"にはまっていたのです。処置後の点検をどうするかという大事な項目が抜けていたわけです。これは対策が逆効果となってしまった典型例ですが、こういう対策処置をしてしまうと、異常の有無を確認するには専用のチェッカーを使う以外は不可能ではないかと思われます。

 また、ホットボンドは時間の経過と共に劣化し、そうなると簡単にそのまま外すことができてしまう場合もあります。ホットボンドはそういうものであるということを十分認識してから処置をしてください。

 上記は極端な実例かも知れませんが、市販されていてどこででも入手できる部材を使う場合は、なんらかの印付けなどが必要ということを忘れないでください。また、処置後に点検しやすくするためにポイントを理解して関係のないもの(線やコネクタ)にまでホットボンドを付けないことも重要です。のいずれにしましても、なんのために対策をするのかということをしっかり踏まえておきたいものです。

対策処置はできる限りシンプルにする

 逆効果の2番目は、1年ほど前にBホールから弊社に検査依頼のあった事例です。依頼内容は夜間侵入が発生したため(気が付くまで期間が空いた)、主要機種の全ての検査です。早速Bホールに出向き遊技台を開けたところ、メイン基板には1台ももれなくインシュロックが巻かれている状態でした。そのインシュロックはホームセンターなどで市販されている植木用のものです。おまけによく見ると、これらは巻き方が緩く、そのまま外そうと思えば簡単に外せそうな状態です。このBホールだけでなく、意外とこういうホールは多く見かけるのですが、こうしたケースでは目的も分からずにただ巻いているのではないか、と思われます。案の定、検査しましたところ、10台以上の不正基板が発見されました。これも巻き付ける前なのか、後に仕込まれたのか、まったく見当がつきません。インシュロックを巻き付ける効果は、基板を開けられにくくすることと、以後の点検の簡素化ということを忘れてしまったためと思われます。仮にこういうものを使うのでしたら、最低条件としてすき間を作らないようにきちんと巻き付けること、そして巻き付けた全てのインシュロックに何種類かの印を付けるなどの工夫をすることも必要です。

 3番目の実例もよく見かけることですが、メイン基板に自社シールを張る対策です。張ることについてはなにも問題ないのですが(ただし、必ず所轄署に相談して下さい)、メインロムの真上に張ってしまっているホールが少なからずあります。それもかなり大きなサイズです。また、なぜか銀紙のようなものを基板一面に巻き付けているケースもあります。これなど、後々ロムの目視ができなくなり自分たちが困ることになります。シールの効果についても前述のインシュロックと同様ですが、基板を開けられた場合、あるいは交換された場合にすぐ分かるように配慮した上で張り付けると同時に、点検時に邪魔になるような張り方はしないことも肝心です。ゴト行為の新しい手口や事例については、残念ながら遊技台のどの部分を対策すれば良いのか、ということがわかるのはほとんどの場合、被害にあつた後です。例えば、ある機種のある部分がゴト師の標的になり出し、その被害がA-NETなどに少しずつ掲載されるようになっても、その時点ではなにをやられているか詳細がわかりません。しばらくしてその手口までもが載りだすようになり、ようやくその機種のどこに弱点があるのかが浮かび上がってきます。しかし、だからといってどういう手口か詳細が分からないうちに、表面的なことに関する伝聞だけを頼りにやみくもな処置をしてしまうと、結果としてゴトをやりやすくしてしまうということもありますので、十分に考えてから実行に移さねばなりません。

 重複しますが、対策処置は可能な限りシンプルにして、簡単に点検確認ができるようにすることが大切なことなのです。これは弊社のモットーでもあります。