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ホールセキュリティ本番 (2005年2月)

体感器ゴト立件の決め手

「ヨシムネ」に対する体感器ゴトが全国各地で猛威をふるっている。 だが、せっかくゴト師を捕まえても証拠不十分で立件できない ケースもある。 体感器ゴトを立件するためにホールがなすべきことは何か。 先月号では対策機器類の具体的な取り付け位置などの考察をすると 予告していたが先日気になるケースがあったため、 急遽方向性を変えて話を進めてみたい。

異なる体感器ゴトタイプごとに対応が

 皆さんのホールも「ヨシムネ」の体感器ゴトの対策にはほとほと手を焼いていると思います。実際に捕まえたことがあるホールの方もいると思いますが、捕まえた以上は犯人に体感器使用は罪になるということをきちんとわからせるため、有罪判決にまで持っていきたいものです。ですが当然、ゴト師は捕まっても本当のことは話しません。「ヨシムネ」の体感器ゴトは今までのノーマルタイプの機種のように単純に通常ゲーム中の大当たりを狙うだけではありませんから、こちらもゲーム内容をきちんと理解しておくことや、出来る限り正確で詳細なデータと状況を把握することが立件の決め手となってきます。警察官へもそれらを踏まえて説明する必要があります。  また、ゴト師が持っていた体感器は立件するための証拠となるわけですが、体感器には作動させるのにある種の設定が必要なタイプが半分ぐらいあります。特に性能の良いタイプは“自爆装置”が内蔵されていて、ボタンなどをデタラメにさわってしまうとデータが飛んでしまうこともあり、ゴト師がわざとその設定手順をデタラメに供述していることもあります。  昨年11月中旬のことです

 昨年11月中旬のことです。ある県警の2名の刑事さんが2台の体感器を持参し、鑑定依頼に来社され以下の話しをされました。「ヨシムネの体感器ゴト師を逮捕したが拘留期間がほとんど残っていない、そこでこの資料をなんとか2?3日で鑑定してもらいたい」というちょっと無茶な注文でした。普通鑑定するには最低でも1週間ほどかかりますが、とりあえず見ますということになりました。

 刑事さんが言うには、1台はそのままで動くタイプで、もう1台はある決められた手順の設定(犯人から聞き出していた)をしないと動かないタイプです。そこで私はまずどのタイミング(通常ゲーム中なのか、大当たり中なのか)で使用していたのかを確認しましたところ、通常ゲーム中に大当たりを狙っていた(ホールのスタッフがそう言っていたとのこと)ということでした。ご存じのようにヨシムネの体感器ゴトは複数の種類がありますが、時間がないので素人の方に他の体感器ゴトまで説明するとややこしくなると考え、その通常ゲーム中ということを前提で説明しました。ちなみにホールコンのデータもなければ、監視カメラの映像もないということでした。

 翌日、このことを検事さんに伝えた結果、笑えない喜劇となってしまいました。昨日説明したことが前提となっていますので案の定、体感器といえば大当たりを直撃するものとしか理解出来ない様子だったのです。こちらはずいぶんわかりやすく説明したつもりでしたが、結局はうまく伝わらなかったようです。業界人にさえ「ヨシムネ」を説明することは結構むずかしく、全く別の世界の検事さんですから、「ヨシムネ」のゲーム性のことなど理解できなくて当然です。私は法律のことは全くの素人ですが、「通常ゲーム中に大当たりを直撃出来るタイプの体感器を使い、大当たりを引こうとしていた」という筋書きで起訴しても、実際にはそのような体感器ではありませんから、有罪に持ち込めるはずがありません。その後、どうなったかは確認できていませんが、きちんとした打ち合わせをする時間と正確に鑑定するための情報が必要だと痛感しました。

機能やゲーム性も把握した上で対策

 上記のようなことは結構多くあります。逮捕したゴト師がたとえ「うそ」の供述をしたとしても見破って有罪まで持っていくには何が必要なのかを私なりに考えてみましたので参考にして下さい。基本的にどの場合でも必ず警察には連絡します。その上で、まず出来る限り克明なビデオ録画をします。特に「ヨシムネ」の場合はアップだけでなく、どの場面かがわかるように少しだけ後ろに引いて筐体の画像も撮影しておきます。そして、ホールコンでベース異常や出玉数、特賞間隔などのデータを確認します。スタッフの目視による詳細な状況確認(必要に応じてメモを取る)も忘れてはいけません。上記の例のように、「ヨシムネ」の体感器ゴトは体感器が一種類ではないため、どの時点で使っているのかをきちんと把握しておかないと警察官への説明も核心からずれると思います。

 「ヨシムネ」の体感器ゴトの多くは独特の機能やゲーム性等を悪用されているので、その説明も必要な場合もあると思います。現場の方は皆さん把握されていると思いますが復習の意味で記載しておきます。

 まず、「ヨシムネ」はストック機です。これは、これまでのノーマル機は通常ゲーム中に周期ルーレット内で大当たりコマを引けば、必ずドラムリールも「7」や「BAR」図柄で停止して大当たり発生となっていましたが、「ヨシムネ」は内部抽選で大当たりコマを引いても、ドラムリールは「7」や「BAR」図柄で停止する場合としない場合があります。図柄が停止せず、大当たりが発生しなかった分は基板内にストックされていき、ストックされた大当たりは一定の条件によって放出されます。

 「ヨシムネ」の場合の「放出条件」演出は数種類あり、通常ゲーム中にも大当たり発生中にも存在しますが、連チャン機能は大当たり発生中にしかありません。通常ゲーム中の「放出条件」としては、特定小役の解除抽選に当選したとき(通常ゲーム中の体感器ゴトはこれを狙う)や規定ゲーム数を消化したとき、リーチ目の完全ハズレのときがあります。

 ボーナスゲーム中の「放出条件」は、ゼロ・ツー・ワンパンク=リプレイのフラグを引かなかったとき(最大3回までで残った数だけ連チャン確定となる)です。パンクとは、ボーナスゲーム途中でゲーム終了となってしまうことです。通常はBIGボーナスを引き当てると3回のジャックゲームに突入して、最大711枚のコインを獲得することができますが、当然ながらそのゲームでのコインは400枚とか500枚前後に減ってしまいます。しかし、そのゲームでは損となっても最大3回の連チャンが確定するため2000枚前後余分に獲得できるのです。ゴトであってもゴトでなくてもパンクはホールコンピューターの出玉データで確認できます。ボーナスゲーム突入時に液晶画面の選択設定で吉宗(ゴト師はあえてこの場面は選ばない)を選ぶと、リプレイを引いた回数を表示する機能があるのでわかりやすいでしょう。抽選ルーレット内ではリプレイ以外の方の幅が大きいので、体感器で狙われるとパンクさせる可能性はかなり高くなります。そのほか、青7揃い(これも体感器で狙う)や完全ハズレも「放出条件」です。

 一方、ジャックゲーム中の「放出条件」は、ジャックゲーム中の俵8連チャン(1プレイではリプレイとの2分の1の確率なので一番最初に狙われた)のほか、完全ハズレがそうです。単数及び複数の「放出条件」を重ね5連チャン(保通協で決められた回数)まで確定することが可能です。 体感器の種類としては通常ゲーム中に大当たりを引けるタイプやボーナスゲーム中に青7やゼロパンクをさせるタイプ、ジャックゲーム中に俵を引くタイプ(押し順は一定)、ジャックゲーム中に俵を引くための押し順を判定する(通称ナビ太)タイプなどが確認されています。 このように「ヨシムネ」の体感器ゴトはこの機種独特のゲーム性を悪用されているので、どの時点で体感器を使用しているのか、なにをされているのかをきちんと確認する必要があるわけです。