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ホールセキュリティ本番 (2005年3月)

体感器に特有のデータ変化を見破る

体感器ゴトを見つけるにはホールコンのデータに注目することも 方法のひとつ。 体感器を使用するとベース異常など特有の変化が現れるからだ。 この変化を見落とさずに適切な対応を取ることで被害を最小限に とどめ、ゴト師の立件に必要な証拠を収集することもできる。 今月は実際にゴト行為が行われた際のデータをもとに検証したい。

ナビ太のゴト師立件

 この原稿を書いている最中の1月19日、大阪のある警察署からうれしいニュースが届きました。昨年12月8日に同署からの依頼で体感器(ナビ太)を鑑定し、鑑定報告書を提出したのですが、その時捕まえた容疑者を「窃盗未遂罪容疑」と「建造物侵入罪容疑」で立件することが出来たという報告の電話です。先月号と今月号で体感器について詳細に分析しているのも、ゴト行為を働いた容疑者に対して、きちんと刑事責任を追及することが目的ですので、弊社としてもまた私個人としても非常にうれしいニュースです。

 これまでにも多くの府県の警察署などから体感器やその他のゴト器具や部材を多数預かり、時間をかけて調査し何通もの鑑定書を書きましたが、なかなか立件にまで至ったという報告がなく悔しい思いをしていました。先月号にも書きましたが、体感器やナビ太使いの大抵のゴト師らは、体感器ゴトは仕組みが複雑であるため、仮に捕まっても立件までいかない、とタカをくくっているフシがあります。特に「ナビ太」を立件するのはかなりむずかしいと思われていましたが、今回の件は一つの突破口となることは間違いありません。

 特にこの警察署の方は過去にも同様の事件を何回か扱い、弊社にその都度ゴト器具を持ち込んできましたが、条件が悪く立件できた例はありませんでした。しかし、今回こそはなんとかこういう輩に体感器ゴトは犯罪であるということをわからせて、再発を防止したいと真剣に取り組んだ意気込みが実った形です。 ところで、この件の容疑者ですが、なんと、とあるホールで店長まで務めたことがある人間だそうです。警察の方もびっくりしていて、「こういう奴なら何でも出来ますよね!」と述べ、「なおのこときついお灸を据えなくてはだめだ」とも言っていました。私も店長経験者ですから店長なら「何でも出来る」わけではないことは承知していますが、業界を知らない方がそういう見方をするのも当然で、「きついお灸を据える」という意見にはまさに同感です。

 地方によって温度差があることは事実ですが、警察の方が今回のように偏見なしに一生懸命やってくれているところも増えています。新年号の冒頭にも記載しましたが、「故意であろうがなかろうがゴト行為(不正)を見逃がすことはホール自身がそれを助長しているようなもの」なのです。こういう器具等を持ち込んで不正をする輩と全てのゴト師や、不良客等をホール及び業界から永久追放するためにも、こうした機を逃さずに業界人自身がもっと真剣に取り組み、今回のように裁判まで持っていける事例を多く出す努力をする必要があると思います。もう「警察がなにもやってくれないから」などと嘆いている場合ではありません。他人任せにせずに我々業界人自身がホール(業界)を守るという意気込みが必要です。

小役続き、ベース異常

 では、我々がホールを守るためには具体的にどうすればいいのか。先月号では「ヨシムネ」(全機種)が体感器で狙われやすい大きな要因を解説しました。誌面の関係上全てを説明できませんでしたが、遊技をおもしろくしている独特のゲーム性(主にストック放出条件)を、見事なまでに悪用されていることがおわかり頂けたかと思います。「ヨシムネ」の体感器ゴトはいろいろな形があり、防御するためにも、また、発見を早くしてそのゴト師を捕まえるためにも、どのような体感器を使って、どのような種類のゴトが実行されているのかをいち早く見極めることが重要となります。 そのため、この独特のゲーム性をホール側もきちんと把握しておく必要があり、先月号ではくどくどとゲーム性を説明したわけですが、今月号ではその続きとして、ホールコンのデータ上ではどのような特徴が現れるのかということを考えてみたいと思います。  まず、ここに非常に参考になるホールコンデータがありますので、それを掲載します(表1)。このデータは実際にゴトをやられたときの島別履歴です。他の台と比べて305番台の粗利額などに異常があらわれており、この台が狙われたことがわかります。

 次のデータは305番台の個別データです(表2)。どの時点でゴトをやりだしたのかですが、3回目から使ったものと考えられます。まず、通常ゲーム中に大当たりを発生させ、そのゲーム中に青7揃いか、ジャックゲーム中に1回だけ俵を揃えたかのどちらかだと思われ、6枚(2回転)の打ち込み数で来ています。この体感器は以前に紹介した設定次第でなんでも出来るタイプのようです。6回目と8回目ではツーパンク或いはワンパンク、7回目ではゼロパンク(REGではない)と思われるようなことをしています。12回目はカモフラージュなのか、タイミングがうまく取れなかったのかは不明ですが、特賞間の打込数が異常に多くなっています。その後、17回目まで1時間以内に6回連続で大当たりを発生させています。一番右側の特賞数というのが大当たり中の出玉(コイン)ですが、全て当たり前(ゼロパンクなどをやった形跡がない)に出ていて、特賞までの打込数も一桁ではありません。つまり、通常ゲーム中に大当たりを発生させているわけですが、この機種はノーマルの(ゴトをやられていない)状態でこのような大当たり発生はまずありえません。つまり、何かを使わない(仕込まない)限りこのような状態にはならないということです。

 7回目を注目して頂きたいのですが、通常ゲーム中に大当たりを発生させて、そのゲーム中にゼロパンクをやったようで、346枚しか獲得していません。なぜか8回目もパンク(ツー、ワン?)させており、その後、9、10、11回目まで連チャンです。このように、ホールコンにも特徴のあるデータが上がりますので、おかしいと思ったらホールコンのデータを確認することも重要です。

 また、このデータではベース値などがわかりませんが、体感器を使って通常ゲーム中にボーナス解除(大当たり発生)する場合、「ヨシムネ」の大当たり周期近辺には俵図柄、松図柄、チェリー図柄があり、ゴト師はそれを狙ってきます。すると、当然ながら小役が揃い続け、必然的にベース値が高くなります。これは「ニューパルサーR」等でも同じ現象が起こります。「ヨシムネ」の場合、ベース値の通常時の平均は40%前後(ホールコンによっても違いがある)のようですが、瞬間的に80〜90%にはね上がります。普通に手で打った場合、1回〜2回程度は俵図柄や、チェリー図柄などの小役連続はあり得るでしょうが、それ以上の回数を続けることは不可能なはずです。これもホールコンで確認できるデータです。