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ホールセキュリティ本番 (2005年4月)

巧妙に仕込まれるぶら下がりの発見

現在の遊技機はその内部で基板や配線などが 複雑にからみ合う高度な電子機器。 不正部品が取り付けられても一見しただけでは 発見することは難しい。 最近は正規の部品を偽装したり、 見えないところに仕込んだりと巧妙さを増している。 ホールはどこにポイントを置いて日常の点検を すればいいのだろうか。 不正部品が取り付けられた実例をもとにホールが取りうる 対策を考えてみたい。

レバー付近への取り付けが判明

 先月号まで説明してきた体感器は外部から大当たり周期などを探り当てるもので、機械そのものの性能に影響を与えるものではありませんでした。ですが、ゴト行為の中には機械に直接不正部品を取り付けてその性能を変えてしまうような強引な手口もあります。いわゆるぶら下がりなどによる不正改造です。こうした不正部品も最近は取り付け方が非常に巧妙になっており、思わぬところに仕掛けられていることも少なくありません。そのため、ごく普通の点検をしているだけではなかなか仕掛けられていることに気付かないこともしばしばです。

 昨年9月上旬のことです。ある警察署の方が弊社を訪れ、「これはどういう風に使うものなのか?」とかばんから装置(写真のNO.1)をひとつ取り出しました。私はすぐに「これは電波発信機と考えられますが、単4の電池2本だけで動かしているようですので、強い電波を発射するものではありません。この装置だけで遊技台に影響を与えることは不可能です。おそらく赤外線発信機と思われますが、必ず遊技台側に受信機が仕込まれているはずですので、ホールの方に探してもらって下さい」と答えました。

 警察署の方はそのまま帰っていきましたが、後日電話があり「ホールに連絡してあちこち探してもらったが、結局何も出てこなかった」と伝えてきました。その時点ではホール名を知らせてもらうことができなかったため、こちらもそれ以上は何のアクションも起こしませんでした。ところが1ヵ月後、ある人から「某ホールの吉宗の割数が全く落ちずに困っている。検査をしてもらえないだろうか」と、弊社に連絡が入りました。場所とホール名を尋ねたところ、「覚えていると思うが、実は1ヵ月前に警察署から御社に発信機(写真のNO.1)の鑑定依頼があった時のホールだ」といいます。

 その日のうちに弊社のスタッフが同店に急行し、検査を開始しました。はじめは何かが仕込まれているものなのか、あるいは電波発射機のようなもので攻略さているものなのか、全く判別がつきません。そこで、念のためにレントゲン装置を持ち込んでさまざまな角度から点検してみると、スタートレバー付近にぶら下がり(写真のNO.3)が仕掛けられているのを発見しました。ちなみにこの時点ではこの場所への設置について報告及び公表はされていない事例です。  このホールの吉宗の設置台数は5台でしたが、全部同じところに同じぶら下がりが仕込まれていることもわかりました

 データ上で確認してみると、毎日ゴトを実行していたわけではなく、しかも絶対に1日に複数の台を標的にすることもないようでした。細く長く抜くつもりであったと思われます。早期の発見で被害を小さくとどめることができたようでした

増加傾向にある内部関与のケース

 ところで、写真のNO.2が気になると思います。実は別のホールで発見されたものですが、これは全くの偶然から発見できたものです。弊社の顧客企業ホールで起こった事例で、赤外線受光センサー付きのワンベットボタン交換ゴトが流行り始める直前のことでした。

 弊社スタッフがワンベットボタン交換ゴトの情報をいち早く入手したため、その事例発生を知らせて対策を説明しようと、ホールに出向きました。実機を前にしてゴト師がどのようにワンベットボタンを交換し、どのように使うのかなどを説明している最中のことです。遊技機のドアを開いてスタートレバー配線のコネクタ回りを指さして説明しながらコネクタを引き抜いてみると、そこに何か変なものが付いています。これは何だろうと思って外してみると、なんと赤外線受光センサー付きの「ぶら下がり」でした。これが写真のNO.2です。触ってみると接着部分の糊がベタベタしていて明らかについ最近仕込んだものと思われます。他の台も確認したところ、計5台から同じ「ぶら下がり」を発見しました。糊がベタベタしている点も全て同じでした。

 その日は入替のための定休日でしたので、「ぶら下がり」が付いていた該当台の前日までのデータを確認しましたが、データからはゴトをやられている様子はうかがえません。つまり、付けられたばかりであったと思われ「実被害はなし」ということでした。その2〜3日後に一人のアルバイトがなぜか急にドロンしたことを付け加えておきます。

 最近、弊社に入ってくる事例で内部犯行的なゴト事例の報告が非常に多くあります。右に紹介しました事例も可能性としてはその線が非常に濃いと考えられます。最近増えているこの内部犯行によるゴト事例については、別の号で稿を改めて述べてみたいと思っています。

スタートレバー型とメインハーネス型

 この2つのゴト部品は付けられている場所こそ別ですが、基板は全く同一のもので、明らかに大量(少なくても1000枚)生産されたものと考えられます。そうであれば全国的にもっと多くの事例報告があってもおかしくなかったのですが、ちょうど同時期にワンベット交換ゴトが大流行したことを受けて、多くのホールがホットボンドなどの対策をし始めたために、結果的に対策する部分が同一(特にNO.2)であったこのゴト部品を付けることができなくなってしまったのだろうと考えられます。何が幸いするかわからないものです。

  その「ぶら下がり」ですが、皆さんもご存じの通り、現在わかっているもので数種類が確認されています。それらを取り付け場所で分類すると、スタートレバー取り付け型とメインハーネス取り付け型(64ピン)に分かれます。

 スタートレバー型は当初、外部取り付け型が主流でしたが、最近非常に増えているタイプとして、スタートレバー内蔵型の「ぶら下がり」があります。これは、ホール側が自営のために付ける場合(各都道府県公安委員会の承認が必要ですのでご注意下さい)と、ゴト師が付ける場合の両方があります。以前のタイプですとどちらの場合もレバーと中継基板を接続している外部ハーネスに取り付けるタイプであったため、発見も容易でしたが、内部型はホールスタッフだけで発見することはかなりむずかしくなっています。64ピンハーネスのぶら下がりも外付けが主流でしたが、これも以前モンスターハウスの時にあったようなコネクタを改造してその中に押し込んでしまったタイプも出回っており、十分に注意が必要です。

 また、これらの不正部品を使用方法で分類すると、特定の手順で大当たりするセット打ち型、赤外線をセンサーに当ててスタートさせる赤外線受信機型、両者の併用型などがあり、また、大当たりを直撃できるタイプと、大当たりは自力で引いてジャックゲーム中に俵取りのみできるタイプなどがあります。

 複雑な機械内部の点検には苦手意識を持っている人もいるかもしれませんが、今回述べたポイントも頭に入れて普段からこまめに遊技機を点検することが不正部品の早期発見につながるでしょう。