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ホールセキュリティ本番 (2005年5月)

ゴト行為には毅然とした対応を

ホールをむしばむゴト行為は一向に跡を絶たない。 今、こうしている間も日本のどこかのホールで被害が 発生しているかもしれない。 ゴト師の凶悪化も指摘される中、 対応に苦慮するケースも多いだろう。 だが、こちらが弱みを見せれば、 ゴト師はさらに増長しかねない。 ホールは毅然とした対応を取ることで不正は許さないという 決意を示すことも必要だ。

体感器ゴトを捕まえる

 また、警察からゴト器具の鑑定と協力依頼があり、受託しました。大阪府警の2カ所の所轄署から3件(アクアパラダイス専用の電波発射機ゴトと、いずれも吉宗用のスタートレバー内蔵型ぶら下がりゴトと体感器ゴト)、それに和歌山県警の所轄署から1件(吉宗の低周波治療器型体感器ゴト)です。警察に通報があって弊社に協力依頼がある事例はわずかと思いますが、いきなり4件も重なるということは、ゴトはまだまだ廃っていないという証拠でもあります。ゴト行為からの防衛策になにかと腐心しているホールも多いと思いますので、今月号はこの中のひとつの事例を元にホールの取るべき対応を考察していきたいと思います。

 和歌山県でのゴト事例は、残念ながら立件できなかったケースですが、該当ホールの本部責任者の方が「業界のために少しでも役に立つのなら」と、その時の状況を記事にすることを快く了解して頂きましたので、そのてん末を記載します。

 この事件のホールは、弊社が発売している体感器検知器を設置している店です。今年2月15日午後4時ごろのこと。ゴト師2人が来店し、1人がいきなり低周波治療器型体感器を使って、通常ゲーム中の大当たりをかけようと試み出しました。コインは1000円分購入していることがデータとして残っています。10ゲームほど消化した時点で検知器が発報したため、スタッフが席までいき男にボディーチェックをさせてほしいと要請しました。ちなみに店内には「体感器検知器が発報した場合、いかなる方におきましても、ボディーチェックの協力をお願いしています。悪しからず、ご了承願います」と掲示してありました。ですが言うまでもなく、ボディーチェックはあくまで任意ですから、男は要請を拒否して遊技を再開。

 ところが、トータルで20ゲームほど消化したときに再び検知器が発報したため、男はコインを皿の中に残したまま、あわてて店外に飛び出しました。逃げようとしていた男に待機していたスタッフ3人が追いついて、身体検査の協力をもう一度求めました。しかし、男が再び拒否したため、その場に引き止めたまま、警察に通報。警察官の到着後もまだ身体検査を渋っていましたが、押し問答を続けている最中に衣服の中から線が見え、それは何だということになり、観念したのか、体感器を差し出しそのまま署まで連行となりました。

 少し離れた吉宗で打っていた仲間と思われるもう1人のゴト師は揉めている間にコインを遊技台に残したまま姿を消していました。

弁護士接見後の変化

 その後、所轄署での取り調べが始まったのですが、その所轄署では体感器ゴト事件は初めてでわからないことだらけであることと、先に紹介しましたように検知器を販売したのが弊社であることから、弊社への協力依頼となりました。    刑事さんの話では、担当検事は「窃盗未遂罪」の適用を考えているとのことでした。被疑者は逮捕後しばらくの間は素直に取り調べに応じていましたが、途中、弁護士(私選)との接見があってから非協力的になってしまったそうです。その中でこの器具では大当たりは取れないと言い出し、実況検分の時の試射も拒否されてしまったといいます。現行の法律では立証責任はあくまで捜査機関にあるため、被疑者に拒否されてしまうと、実際に打たせることが出来なくなるのです。

 弊社は実況検分まで付き合ったのですが、その時も刑事さんが被疑者の代わりに体感器を使い、再現しようと試射しましたが、結局うまくいきませんでした。今回の体感器ゴトは「低周波治療器」タイプで、「ソレノイド型の釣り糸」タイプとは違い、使いこなすためにはかなりの訓練が必要な道具です。大当たり周期の1周は約千分の五秒ほどですが、その1周の中の数十分の一以下の間隔を叩き続けなくては大当たりを拾えないわけですから、うまくいかなくて当然です。聞くところによると、「低周波治療器」タイプを使いこなすには若くて感覚の鋭い者でも3ヵ月から半年間くらいの訓練が必要ということです。刑事さんが代わりに打って、うまくいかなかったのは仕方ありません。

 結局、証拠不十分で立件は不可能と担当検事が判断し、不起訴となってしまいました。担当の刑事さんは「一生懸命やったのですが、今回は初めて経験する事件でもあり、結果的に立件できませんでした。御社にはご協力頂いたのに結果を出せず申し訳ありませんでした」と丁寧な連絡を頂きましたが、その口調には無念さがにじみでていました。

ゴト行為は警察追放を

 最近、日本においても本当に気の滅入るような事件が多発しています。そんな中、現在の法制度では犯罪を犯した者の権利が徹底して保護される一方、被害者の権利や事実究明が置き去りにされている、と感じることが多々ありますが、皆さんはいかがでしょうか。 先ごろ、大阪高裁で控訴審が結審し、現在判決を待つ段階の和歌山カレー事件では、2002年に1審の和歌山地裁が被告に死刑判決を言い渡しました。1審段階で被告は黙秘を貫き、全く供述はしなかったにもかかわらずです。これは検察側が複数の状況証拠を徹底的に固めて立件、公判を維持し、最後は死刑判決まで持っていった事例です。

 残念ながら和歌山のゴト事件においては、弁護士の接見後から非協力的になったため不起訴となってしまいました。この被疑者は釈放後仲間に「体感器ゴトをやって捕まったけど、弁護士が付いてくれてすぐに出られた。警察など怖くない」くらいの自慢話は言いふらしているかもしれません。刑事さんも話していましたが、このケースのように悪事をしでかして捕まっても責任を引き受けずに済むということになると、また別の店で同様の事件を起こす恐れもありますし、他の若者にも悪影響を与えかねません。被疑者は21歳ですから、将来がある若者とは思いますが、それだけに世間の厳しさを教える必要もあるように思います。

 ただ、嘆いているばかりでは仕方がないので前向きに話を進めます。同じ刑事さんが「今回はこういう形になってしまいましたが、こういう輩を発見したらすぐに警察を呼んでとにかく捕まえることです。これを繰り返すことで奴らには大きなけん制となり、自然とそういうホールへは近づかなくなります」ということを話していました。私も全く同じ意見です。もちろん、スタッフの安全が第一であることに変わりはありません。しかし、こういう輩からホールを守る以上毅然とした対応をとることも必要だと思います。新年号の冒頭にも記載しましたが、「故意であろうがなかろうが不正を見逃がすことはホール自身がそれを助長しているようなものである」のです。私は、例えわずかでも不正遊技者などに勝たせてはならないと考えている一人です。こういう輩が大手を振って横行しているようでは業界は絶対によくなりません。ホールは安全に十分配慮した上でゴト行為撲滅に向けた対応を断固として取るべきではないでしょうか。