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ホールセキュリティ本番 (2005年7月)

遊技機メーカーのゴト対応は十分か

ゴト撲滅のためにはホールの毅然とした態度が必要であることは 繰り返し述べてきた。 だが、ホールの努力だけでゴトができるのかというとそうではない。 メーカーや警察にもゴト撲滅に対する決意を共有してもらうことが 不可欠だ。関西のホールであったゴト事案をもとにメーカーや 警察のゴトへの対策を再考したい。

ニューパルでの体感器事案

 今月号もまたまた体感器についてですが、いつもの「吉宗」系ではなく今回は「ニューパルサーRX」という機種です。先に断りを入れておきますが、私はメーカーにけんかを売ろうとしているわけでも、けちをつけようとしているわけでもありません。また、むやみやたらにゴト行為を吹聴して危機意識をあおり、対策部品等を売りつけようとしているわけでもありません。私もこの業界にはひとかどならない恩を感じていますが、現在は、僭越ながら遊技団体の役職等も務めさせて頂いている以上見て見ないふりや無責任なことは、許されません。そこであえて書くことにします。

 ちまたでは「ニューパルサー」系の機種のうち、「R」「T」の機種までが体感器攻略が可能であり、「RX」「X」以降の機種では体感器攻略は不可能と言われています。実際にメーカーも攻略は出来ないと断言しています。ということなので、「ニューパルサーRX」での体感器ゴトという記事を書くと波風が立つおそれがありますが、いくら否定されても実際に起きている現象は体感器によるゴト行為そのものであり、すでにこの機種については、都遊連のA-NETの事例でも登場しています。

 このところ弊社にも、3件ほど立て続けにこの手のゴト事案が入ってきています。うち2件のゴト事例は発生日時の間隔が10日程で、隣接したA県とB府にまたがっています。最初に発生したA県での事案は知り合いのホール責任者の方から電話での相談でしたが、後々への影響等様々な事情と実機(体感器)を検証することができなかったため、本稿での言及は控えます。

「RX」も小役狙いで十分な動機に

 さて、B府の件です。先日、C警察署から「管内で『ニューパルサーRX』の体感器ゴト師を捕まえましたので、今から押収した体感器を持って行きます。また鑑定頼みます」という電話があった後、刑事さん2人がデータなどの書類と依頼書及び体感器を持って来社しました。体感器は弊社に持ち込まれる際には内部を破壊されている場合があるので、すぐに実際に作動するかどうかスイッチを入れて確認しましたところ、ちゃんと作動しました。続いてデータ表を確認すると、明らかに体感器を使用しなくては絶対にありえないデータであることもわかりました。

■B府のホール「ニューパルサーRX」データ

回 数 時 刻 アウト セーフ 差 玉 ベース 売 上 出 玉
12:01 606 334 272 55.1 \5,000 337
2 14:11 2398 1405 993 58.1 \2,000 347
3 14:29 552 340 212 61.5 \0 396
4 15:06 1344 1170 174 87 \0 354
5 15:16 227 295481 -68 129.9 \0 364
6 15:29 293 450 -188 164.1 \0 360
7 16:04 528 0 78 85.2 \0 17
8 17:00 141 0 \0

4回目から7回目(黄色部分。8回目に逮捕された)を見ていただければ一目瞭然です。ベース値が87・129,9・164,1・85,2と異常に高く100を超えている場合もあります。ノーマルな打ち方ではこんなことはあり得ない。 いつものごとく被疑者の拘留期限等から、弊社がこれらを預かって調べる時間は限りがあります。いつもは、私もスタッフも多忙でなかなか実験等にかかれないのですが、ちょうど土曜日でしたのですぐに調査にかかることができました。

 弊社での実験ですが、正直なところきちんとした周期や乱数まではまだ解析できていません。また、仮に解析できてもこの原稿では書くことはできませんが、概ねのことはわかっていて、「ソフト乱数」がどういう感じで入っているかもわかっています。

 体感器使用の現象だけを言いますと、例えば以前の「ハード乱数」だけであった「R」や「T」の時であれば、体感器を使って50分の1程度の確率まで精度を上げることができました。ところが、この「RX」はその半分の100分の1か、150分の1くらいまでしか精度がありません。ですから、同機のBB確率が250分の1以下ですので体感器を使えば、かなり精度は上げることはできても、大当たりを取るにはかなりの時間がかかることになります。とはいえ、小役出現率は大幅にアップしますので、コイン持ちは抜群となり、小役狙いを目的とするなら、体感器を使う動機は十分にあります。今回の急な実験(鑑定依頼の体感器)でもそういう現象は出ていますが、この原稿の締め切りが本日で実験の先まで載せることが出来ません。

ゴトは難しくても不可能ではない

 最後にメーカーの皆様方にお願いしますが、思い出して頂きたいのです。十何年か前、誰かの主導によりインアウトをクリアにするという目的で、サンドイッチにプリペイドカードの導入が推進されました。その当時私はパチンコ店の主任でしたが、4店舗あったこの系列店はPカードの導入が地域一番で、導入前にこのPカードの代理店である某社の営業マンはきっぱりと「このカードは、最低10年は偽造や改造はされない」と断言していました。ところがです。ご存じの通り、導入後すぐに偽造カードが出回っていることがわかり、挙げ句の果てに業界全体で何千億円という被害にまで発展したのです。しかもです。いま大きく不正を働いているグループはその時の資金が元手であるということも言われています。

 結論として、いくらむずかしい乱数も検定作業というものが、存在する以上、不正集団にとっても解析できないことはないと思います。特にロングランになる機種ほど狙われやすいのは、当然のなりゆきです。

 実際に「北斗の拳」も彼らの実験室ではゴト器具により攻略できているようです。「ゴトは難しくあっても不可能ではない」と考えるのが無難です。振り返ってみると一昔前まではスロットでの「体感器ゴト」は不可能と思われていましたがいまでは簡単に出来るわけです。それも水晶発振器等やその他の電子部品が急激に進歩したためです。そのため、手口も巧妙になっており、発見が非常にむずかしくなってきています。また、ゴト師グループなどによって、スロットやパチンコの乱数や周期等もどんどん解析されています。

 キャッシュカードのコピーや偽造が簡単に行われ、その対策として登場しているICカードでさえも危うい(先日のテレビ番組ではそれらしき人物がインタビューに答え、「偽造は簡単に出来る」と豪語していた)時代です。こんなことを言うとしかられるかもしれませんが、所詮パチンコやスロットの乱数や周期の解析などは、彼らゴト師グループにとってはたいしたことでないと考える方が自然です。この「ニューパルサーRX」専用の体感器はインターネットで堂々と売られています。そうである以上、すでに解析されていると考えて間違いないでしょう。こうした現実を放置していれば、ますますゴト師ら不正を働く輩の思うつぼです。ホールだけでなく、メーカーも含めて関係者すべてがゴトへの認識を新たにすることが必要ではないでしょうか。