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ホールセキュリティ本番 (2005年9月)

進化するゴト部品4Pハーネスの場合

科学技術の進歩は、私たちの生活を飛躍的に便利にし続けている。 しかし、その一方で進化した科学技術が逆に私たちの生活を 脅かすこともある。進化するゴト部品もそうした科学技術の 負の側面のひとつではないだろうか。 今月は4Pハーネスを例にしてゴト対策について考えてみたい。

素人でも簡単に付け替え可能な部品

 ゴト部品の進化には驚くばかりです。電子機器などの採用で仕組みが複雑、高度になり、精度や性能が飛躍的に高まる一方で、取り付けや扱い方が非常に容易になり、そしてメーカーやホールの裏をかくような巧妙さも備えてきています。

 「吉宗」の4Pハーネスなどはそうした進化したゴト部品の最たるものといっていいのではないでしょうか。その道のプロでなくては付け替えができないようなものではなく、素人であっても台を開けることさえできれば短時間で付け替え可能な部品です。従って、営業中に仕込みが行われても、まわりの客やホールスタッフもなかなか気付きません。

 しかもこの部品の動きを調べてみると、抽選周期表の対角線を交互に叩くようプログラムされているため、じっと見ていても必ず小役の中に無役がはさまり、従来のゴト行為でのように小役ばかりを連続して引くわけではありません。そのため、なかなかそれが不正部品によるものかどうかを判別するのは難しく、各地で深刻な被害が出ています。

ゴト部品取り付け現場をキャッチ

 これは先日、日遊協近畿支部のS君があるホールで偶然出くわした事件です。S君が7月1日に自宅の近所にあるホールで1時間程暇つぶしにスロットをプレーした時のこと。適当な時間が来たので帰ろうとしていると、正面入り口から紺色のスーツを着た男が入って来ました。ちなみにこの店は中小の町工場が立ち並ぶ地域にあり、総台数は300台程度で駐車台数は100台弱。駅から徒歩10分弱という立地です。駐車場は店の裏にあり、あまり仕事中の営業マンが正面からぶらっと入って来るような店ではありません。

 S君は少し気になったそうですが、そのまま店を出て車に乗り込みました。するとその時、今度は駐車場の外からスーツを着た男が店に入って行くのが目に留まりました。すぐにS君の頭の中のゴト感知器が激しく反応し、アンテナがグルグルと回り出したそうです(S君はこの時点で私に「これからゴトが仕込みをやるようです」という1回目の電話連絡を入れてくれています)。

取り付け完了まで入店から5分足らず

 S君は「これはゴトだ」と判断し、もう一度店に戻ってみると案の定、店を出る際には1人しかいなかった吉宗Sコーナーにそれらしき男が3人並んで打っているではありませんか。もう間違いありません。何食わぬ顔でその背後を通ると既に真ん中の男が台を開ける準備をしていて、S君としっかりと目が合ったそうです。S君は私服だったため、そのまま素知らぬ顔で客を装い、男らから4〜5台離れた席に座って携帯で動画を撮る準備をしました。ゴトの決定的瞬間を撮影しようと考えたのです。しかし、男らが台を開けているところは確認できたのですが、壁の男が邪魔でさすがに付け替えの決定的瞬間を動画で撮影することはできませんでした。そして、実行役、壁、島端で打っていた見張りの4人は確認したものの、島外の見張りとキャッチは未確認だったそうです。全員が店を出たのを確認したS君は台にタバコを置いて休憩中にしました。店内に入って5分足らずの仕事っぷりです。壁役の隣にお客さんはいましたが、気付いている様子はありませんでした。

 その後、私から日遊協近畿支部長を通じて店の責任者に連絡し、その目の前でゴト器具を外して一件落着です。S君は4ピンハーネスコネクター部仕込みパテ埋めバージョンと名付けました。念のため、他の台も確認したところ、やはり数台から同じ不正部品が出てきたそうです。S君のお手柄でした。

ゴト部品進化が一般客をも “汚染”

 とはいえ、S君によるとゴト師たちの手際の良さはとても見事だったそうです。ゴト師に見事と誉めてやるのも腹立たしいのですが、それだけ簡単にゴト部品が取り付けられるようになっているということです。ゴト対策にはホールスタッフによる注意深い監視が不可欠であることはいうまでもありませんが、こうなってくるとなかなか人間の力だけでは対応しきれないことも事実です。ホールはスタッフ教育などソフト面を充実させるとともに、対策機器などハード面でも対応が必要となってきているといえます。これは何も新しい対策機器を導入しましょうと勧めているのではなく、今ある対策機器を有効に活用することでも大きな効果を上げることはできます。そのためにはゴト行為の傾向や特徴を詳細に分析し、またホール側の死角となっていることが何なのかを探ることから始めねばなりません。このことについてはいずれ別稿でご説明しようと思っています。

 また、こうしたゴト部品の進化は、従来プロのゴト師だけを相手にしていれば良かったホールのゴト対策を、一般客にまで広げねばならないような事態へと導いています。一般客までもが出来心でゴト行為に手を染めかねない時代がやってきているからです。実際、インターネットなどではまるでちょっとしたショッピングでもする感覚で体感器などのゴト器具が購入できます。さまざまな可能性が広がるインターネットですが、匿名性の陰に隠れてこうした裏の世界もどんどん広がっているようです。

ホームページで対策のヒント公開

近畿圏以外でも各地からこの4Pハーネスの取付けゴトの報告が届いています。「吉宗」を設置しているホールは全て同じ条件ですから全体では相当な被害が出ているものと想像できます。

今回は営業中の交換をしにくくするための簡単な対策のヒントをここに記載しようかとも考えたのですが、どのような対策であれ所轄署への届け出が先で、全国誌である本誌で発表してしまうといろいろな誤解や問題を生みかねません。また、広く知らせるとセキュリティー上、悪影響も予想されますので、希望者のみに弊社ホームページのゴト対策編で公開することにしました。興味のある方は弊社までご連絡ください。弊社ホームページのアドレスはhttp://www.c-r-k.jp/です。