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ゴト現場24時 (2006年1月)

ゴト師一行のツアー?

インターネットにつきまとう表と裏

 このところ、六本木ヒルズの高層マンションに住み“ヒルズ族”と呼ばれるITバブルの寵児(ルビ・ちょうじ)たちによる放送局やプロ野球球団の買収問題が大きな話題を呼んでいます。この人たちは、インターネットという現代社会の最先端の技術分野を制して、天文学的な利益を得ている企業の代表たちです。

 インターネットというものは確かに非常に便利なものであって、いながらにしてニュースやスポーツの結果を知り、地図や交通手段を調べ、エンターテインメントや音楽を楽しみ、おまけに住宅からクルマまで好きな物を買うこともできます。さまざまなことが可能なメディアといえます。 しかしながら、物事には表がある以上、必ず裏もあり、この裏部分を悪用してあくどく稼ぎ、あるいは人をだまし、あげくの果てには殺人を請け負うようなサイトまでもが存在しています。

 わが業界においても、P-WORLDに代表されるように全国のパチンコ店や新機種についての情報を発信する便利なサイトもありますが、逆に打ち子やゴト師を募集するサイトや、ゴト道具を販売するサイトなどもいやというほど存在しています。  少々旧聞に属しますが、一昨年発生した事件は明らかにインターネットを悪用したものでした。かなり特異なケースだったのですが、今後も同様の事例は必ず発生すると思われますので紹介いたします。

 一昨年夏、近畿のあるホールがゴト師に襲われました。ターゲットは例によって「吉宗」です。監視カメラに録画された映像から判断すると、使われたゴト道具も例によって「ナビ太くん」あるいは「俵教授」と呼ばれる体感器であろうと思われます。そのホールには、1ボックス(40台)分の「吉宗」が設置されており、その台数も当時の「吉宗」人気からすれば、必ずしも多すぎるというわけではなく、ごくありふれた台数です。また、このホールは決してゴトに対して甘いホールではなく、その時点においては、通常の釣り糸などの体感器の情報に関しては十分に入手し警戒もしていました。では、いったい何が特異だったのでしょうか。実は私が仰天したのはただひとつ、ゴト師の人数でした。なんと総勢約35人だったのです。

総勢約35人が全国各地から終結

 このホールは鉄道の駅からかなり離れた場所にあり、この集団はおそらく全員がクルマを移動手段としていたはずですが、ホールの駐車場へは1台たりとも駐車していませんでした。これは、彼らの退店時に後をつけたホールスタッフによって判明したものです。ちなみにこのホールは郊外店で、駐車場はとてつもなく広いスペースがあります。それにもかかわらず、近くのホームセンターやファストフード店の駐車場に停めていたのです。

 ただ、これはこうしたクルマで来店するゴト師の行動としては決して珍しいことではないことも確かです。これまでにも彼らの後をこっそりつけると、よほどの場合を除いてたどり着く先はそのホールの駐車場ではありません。彼らは、クルマで来店する以外にないようなケースでも、別の場所に駐車するという行動パターンをとっています。それは、万一見つかった時にクルマのナンバーを覚えられてしまうことや、入り口をふさがれてしまうことなどを恐れるからです。

 しかし、この時はそれ以上の理由が隠されている可能性があることが後でわかりました。後をつけたホールスタッフが確認したことですが、驚いたことにクルマは札幌ナンバーや千葉ナンバー、あるいは名古屋ナンバー、愛媛ナンバー、なにわナンバーなど全国各地のものだったそうです。この駐車場には常時専任の巡回員もいる上、警備のためスタッフも時々巡回しています。いくら広い駐車場といえども、これだけの遠方のナンバーのクルマがそろうと目立ちすぎて、店内の異常が早く発覚しやすいということも理由のひとつであったと思われます。

 さて、この全国各地からのメンバーでゴト集団を組んだ事実は何を物語っているのでしょうか? どう考えても、これだけのメンバーが全員知り合いであるはずはありません。インターネット上で募集をかけ、徒党を組んだものである可能性が非常に高いと思います。また当時、同地域内で他に同様の被害情報がないか調べてみましたが、近隣のホールには立ち寄った形跡はありませんでした。つまり彼らはこのホールだけをピンポイントで狙ったものと考えられます。ちなみに、この集団は翌日、かなり離れた関西の別の県にあらわれたという情報が入りましたが、この時も近隣のホールへ立ち寄りませんでした。

 なぜ上記ホールだけがターゲットになったのかというと、30人以上が徒党を組んで打てるホールであったからだと思われます。なぜ30人以上で徒党を組む必要があったのかはについてははっきりとした理由はわかりませんが、“赤信号、みんなで渡れば怖くない”ということではないでしょうか。このあたりにもインターネットの匿名性がもたらす無責任さや危険性が潜んでいるような気がしてなりませんが、みなさんはどう思われるでしょうか。