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ゴト現場24時 (2006年7月)

電波ゴトの対策

手口はさまざま

 いよいよ5月1日から、改正風適法が施行されました。ホールにとってその改正のポイントである"人的欠格(広辞苑によると適格の反対語)事由の拡大"が、罰則の強化以上に重く厳しい意味を持つということは、いろいろなセミナー会合や、業界誌などで紹介されていますが、本誌の本年1月号及び3月号、5月号にもその関連記事が掲載されていますので、未読の方はぜひお読みください。今回はそれに関連する記事をと考えていましたが、降って湧いたようなことがおきましたので、少し予定を変えて書きます。

 さて、皆さんは電波発射機ゴトをご存知でしょうか?きっと皆さんは「馬鹿にするな!そんなものだれでも知っているよ」と思っておられることでしょう。そうです、業界人であれば、100人中100人が知っているゴト機器です。しかし、その電波発射機を実際に手にとってみたという方は意外と少ないのではないかと思うのです。ましてやそれを実際に動かして(電波を発射してみて)パチンコ台やスロット台がどのように誤作動するものかを確認した方はごくまれだと思います。私のようにゴト対策に直接かかわる職業にたずさわる者ですらなかなか手に入りにくいものですから、ホールの皆さんならなおさらでしょう。

 ところで、この電波ゴトが大きく脚光を浴びたのが、例のギンギラパラダイスという一世を風靡した名機が深刻な被害に遭ってからです。ギンギラパラダイスが狙われた最大の理由は、使用していたコの字型のスタートセンサーが電波の乗りやすいタイプであったためでした。当時私は現場にいて店長をしていたのですが、電波ゴトに関する知識はありませんでした。昼ごろに出勤すると同時にスタッフから「○○番で打っている客はもうすでに10連チャンぐらいしていますが、ゴト師ではないでしょうか?」と報告を受けました。私がすぐに該当台に向かうと、その客は見かけない顔でちょっとやくざ風な男。手には携帯電話のようなものを持っていて、なにやら頻繁に操作を繰り返していました。気付かれないように真後ろに立って盤面を確認すると、いきなりリーチ(魚群のでるようなスーパーリーチではない)となり、そのまま大当たりしたのです。

 私はあわてて事務所に戻り、メーカーに間い合わせたのですが、その時点ではメマカーもまったくわかっていないようでした。何人かの知人に尋ねてようやくそれが電波ゴトだということがわかりました。後に、A-NETの関係者らが奔走して行政に掛け合い、スタートセンサーを交換してからずいぶん落ち着いたものです。

 ギンパラでの電波ゴトが落ち着きだすと、次はCRモンスターハウスにターゲットが移行していきました。話題性においてはその2機種が筆頭でしたが、当然その他の機種や周辺機器(サンドイッチ、ジェツトカウンターなど)も狙われ、A-NETにも多数の事例が載りました。

 この電波発射機ゴトですが他のゴトと同様に決して手口は一つではありません。ちょっと整理しますと、

  • ア. 発射機から大きな出力の電波を発して基板などの誤作動を誘うタイプ
    • 1. 羽モノや以前存在した権利モノの一部(この場合、スタートセンサーを外してテストしたこともあるが、それでも大当たりは発生した)
    • 2. スロットの初期設定戻しなど
    • 3. サンドイッチやジェツトカウンターなど
  • イ. 体感器との組み合わせで使用するタイプ
    • 1. 玉の通過は関係なく、スタートセンサーを通して大当たり番地を直撃するタイプ
      • ・ モンスターやギンパラなど
      • ・ 後に海6等がセルピアノ線を使われて玉止めされ被害にあった。このタイプがステルスなどと呼ばれた
    • 2. スタートセンサーに乗った(通過)玉の感知を遅らせて大当たりをかけるタイプ
      • ・ 一部権利モノ(フルーツパッションなど)
      • ・ スロットの大花火など
  • ウ. 受信機を仕込みそれに反応させるタイプ
    • 1. 設定変更用や大当たり直撃用のぶら下がりを付けて実行するもの
    • 2. 吉宗のワンベットのように電波というより赤外線によるもの

 などですが、意外とやっかいなのが(ア)です。 ピンポイントで電波を受けているわけではないので、何に乗っているのかなかなかわかりません。電波ゴトの検証のむずかしさは、前述したとおりゴト師が使っている電波発射機はなかなか手に入りにくいことと、また、手に入ってもすぐに壊れたりするので、テストが簡単ではないという事情があり、そのため、メーカーもその対策に苦労しているのであろうと思われます。

メーカーの責任は?

 最近のA-NETに大一製のレレレと、SANKYO製のアクアパラダイスとマジカルカ書ペットの電波ゴトの事例が載っていましたが、そのうちのレレレは残念ながら検証できていません。しかし、偶然にもSANKYO製の2機種は検証でき、動画にも収めたのですが、この2機種はスタートセンサーに乗っていたのでないことだけはわかっています。

 まずアクアですが、役物の上部から磁石の付いた棒が瞬間的に降りてきて、回転体に乗った玉をキャッチし、その玉をスタートセンサーにまで運んで、そこを通過させることで大当たりが発生し、連続的に羽根が動く仕組みになっています。そして、この機種に対するゴトの手口は磁石棒が降りる瞬間に電波を発射し、棒を震えながら止まったようにさせ、回転体の玉を拾いやすくするものでした。

 マジカルカーペットとなると、さらに強引です。電波を発射するだけで勝手に大当たりがかかります。もうこんなことをする人はいないと思いますが、スタートセンサーのコネクタを抜いても関係ありません。ちなみにこの二つの電波発射機は形状的にも周波数もほとんど変わらないものですが、どちらもその機種専用なのです。

 このマジカルについては、もうひとつ違う種類の電波発射機があります。それはピアノ線を遊技台の隙間から通して基板にできる限り近づけ、そのピアノ線の反対側を電波発射機と接続して電波を発射し、羽根を作動させるものです。このうちレレレとマジカルは基板に直接反応しており、アクアはソレノイドに反応している可能性が非常に高いのです。

 やっかいであるというのはそういうことなのですが、電波を遮断することが不可能である以上、現段階での対策としては電波感知器を設置する以外にありません。つまりそれだけ電波はむずかしいのです。おそらくですが、レレレもそうであろうと思われます。

 ところで、SANKYOの広報の方が「次の羽根モノのミラクルカーペットはソフト上で電波ゴトをできないようにしている」と、話していました。それはホールにとって大変な朗報ではあるのですが、いまはまだ前述のアクアもマジカルも現役のマシンとして混在している状態です。「これらの機種の防御は?」とうかがったところ、「外れていく機種なのでなにもしません」と明言していました。この業界の特殊性がうかがわれる話ではないでしょうか。他の業界であればこういう場合、メーカーがなんらかの対策を打つだろうと思います。今回の場合であれば、電波感知器をメーカーが設置ホールに提供することで、かなりの効果があります。

 今回はあえて機種名も明らかにしましたが、これはホール現場の混乱をさけるため。そもそも、電波ゴトが可能な機種については、それがわかった段階できちんと発表してホールに注意を呼びかけるべきであると思いますが、こう思うのは私だけなのでしょうか?