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ゴト現場24時 (2008年11月)

不正基板を初めて見た時の感動

今、世間では残留農薬などで汚染された「事故米」の不正転売問題で大騒ぎです。食用に適さないものを食用と偽装して流通させる。人の口に入るもので、こういうことをやれる人とはどのような人なのでしょうか。理解に苦しみます。関係法令に照らして厳罰に処してほしいものです。

業界では遊技機メーン基板の偽装が後を絶ちません。その対策として今では珍しくなくなったレントゲン撮影による透視検査ですが、この検査方法を業界に紹介したのはだれあろう、弊社役員の松波義文(当時、ホール経営のコスモ産業社長で松波整形外科院長)です。松波が不正基板のレントゲン透視を思い立ったのは、整形外科医という職業がら、普段からレントゲンを使って仕事をしていたからです。

もっとも、この時点ではまだ現在のコスモローム研究所は立ち上げられておらず、私はコスモ産業の防犯部長として、系列4店舗(計1650台)で毎晩のように基板検査をしていました。役職は部長でしたが直属の部下がいたわけではなく、遊技台検査機器や対策部品などはすべて私の手作りでした。ちなみに当時コスモ産業に出入りしていたある会社が、私が考案した対策部品を盗用し、各県警に自社の製品として届けていたことがありました。盗用されたことには憤りも感じましたが、それほど私の部品が実用的だったのだとひそかに自信を深めたものでした。

当時(1998年前後)もゴト事案は相当あったはずなのですが、まだ自分のホールで起きた被害は一切外に出さない風潮がありました。ですから、ゴト情報の収集にはかなり苦労したものです。始めた当初は素人同然で基板やロムのことなど何一つ知識がありませんでしたが、すべてに一から取り組んだことが今日のいしずえとなりました。

初めてレントゲンを使い、不正基板を確認した日のことは今も鮮明に覚えています。松波の提案で不正基板と正規基板の2台を、彼の診療所内にあるレントゲン室に運びました。通常は人が乗るためのレントゲン台に2台の基板を並べ、別室のモニターテレビを2人でのぞき込みました。

するとどうでしょう。写しだされた正規基板と不正基板のロムは明らかに異なっていました。ここまではっきりした違いが写し出されると予想していなかった私は、画像を前に背中がゾクゾクしてアタマの中が真っ白となり、大コーフンの放心状態でしばらくの間、体の震えが止まりませんでした。おおげさに聞こえるかもしれませんが、まさに人生最大といっていいほどの衝撃と感動を受けたのです。

全国的に裏ロムやぶら下がり、電波などによるゴトがまん延し、被害に遭っていないホールは皆無といっていいような時代です。特に裏ロムについてはホールで検査する方法といえば、目視か市販のロムチェッカーを使っての検査以外になかったのですが、ホール独自で自主点検をしたくとも情報があまりにもなかったため、不正ロムと正規ロムの判別ができないホールがほとんどでした。

ただ当時でも、自主的に検査してインシュロックなどの対策をしていたホールはありました。しかし、後にコスモローム研究所を立ち上げ、そういうホールでレントゲン検査をしたのですが、不正基板にインシュロックを巻きつけていた例もかなりありました。つまり、不正基板を大切に守っていたわけです。

診療所のレントゲン室で初めて確認できたものと同タイプの不正V1チップ(上側が不正チップ)。下側は正規チップ(トムソン製)だが、上側の不正ロムはパターン形状そのものも違う。黄色円内の鉄砲玉のようなものは、不正基板に切り替えるための部品と考えられる。 どちらにもある泡のようなものは製造時にできる空洞部分(巣)。