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ゴト現場24時 (2008年9月)

意外とアナログなラスベガス

以前、専門外であるにもかかわらず、厚かましくもカジノについてこのコラムで取り上げたことがあります。書いた後で勉強したようで恐縮なのですが、実は6月14日から6日間、日遊協の研修旅行で初めてラスベガスに行ってきました。今回はそこで見聞きしたことを少しご紹介したいと思います。

セキュリティー研修は2部構成でした。第1部は大学でカジノセキュリティーを教えている教授の1時間半ほどの授業です。教授は背が高くがっしりとした体格。聞けば、元プロバスケットボーラーだそうです。当初、予定していた場所が使えず、静かな一角での立ち授業となり、かなり疲れましたが、せっかくですから、私はひとつ質問をしてみました。

「カジノのオーナーが自ら不正を働くことはないのか?」

日本では時々不正改造などでオーナーが検挙されることがあります。アメリカではそうした不正をどうやって防いでいるのだろうかと思ったのです。ところが教授は不思議そうな表情で答えます。

「なぜ、オーナーが不正をやる必要があるのか? 不正を働いてライセンスを取り上げられたら、カジノホールだけでなく、そこで働いているスタッフなど全てを失うことになる。だから、絶対にやらない」

不正で得る利益よりも不利益のほうがずっと大きいということのようです。日本も本当は同じはずですが、実際はどうでしょうか…。

第2部は、カジノのセキュリティー室に移動しての授業です。セキュリティー室は2部屋あり、カジノに無数に設置されている監視カメラからの映像を監視することが主な業務だそうです。どちらのセキュリティー室にも壁側にはそのモニターテレビ(かなり年代物の日本製で、ほとんどが白黒)がびっしりと並び、ビデオテープラックには、大量のテープが整然と置かれていました。誰かが「なぜ、DVDではないのですか?」と聞くと、「予算が足りないからだ」という答えでした。

ひとつ目はカジノゲームホールを主体に監視する部屋(監視員3人)ですが、多くのモニターがカードゲームを映し出していました。人間(ディーラー)が介在するゲームは不正が生まれる可能性がもっとも高いというのが理由だそうです。

ふたつ目は、建物の内外を全体的に監視する部屋(監視員6人)です。これはパチンコ店も同様ですが、当然のことながら監視カメラの数と同数のモニターがあるわけでなないので、1台のモニターには10台ぐらいの監視カメラが接続されているようで、4分割されているモニターもあれば、1〜2秒前後でめまぐるしく動いているモニターもありました。慣れていないわれわれはそれを見ているだけで疲れてしまったほどです。24時間3交代で監視しているといいます。

また、監視員はお世辞にも広いとはいえないワークスペースに、1日8時間(休憩1時間15分)張り付かねばなりません。ストレスも相当たまるはずです。私はそのことも質問してみました。回答した監視員はむしろ誇らしげに「この仕事に就くことが出来たおかげで、すばらしいサラリーを得ることが出来、家族に感謝されている。君もよかったらこの仕事を覚えないかい?」(笑)というジョークまでもらいました。

それにしても、ラスベガスはもっとハイテクなセキュリティーで守られているのかと思っていました。実際は驚くほどのアナログ。もっとも考えてみれば、パチンコ機の検査でレントゲンというハイテク機械を使っても、「不正」だからといって、機械が勝手に「ブー」と音で知らせてくれるわけではありません。フイルムなどを人の目で見て白黒を判定するわけで、こちらもまったくのアナログです。日本のパチンコも、ラスベガスのカジノも、結局は人こそが最も重要なのだ、ということをあらためて認識した旅でした。