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ゴトと闘う (2010年1月)

2万台がゴト師の採算分岐点 面白く特殊な機種は発売すぐ

「光陰矢のごとし」ということ わざのごとく、本年は2!世紀に突 入してから早くも10回目の新年を 迎えるわけです。
ここ最近は「100年に一度の 大不況」と言われるほど世界的に 経済が落ち込んでいる中、業界を 取り巻く環境も同様でますます厳 しい状況下に置かれているという 現実はありますが、嘆いてばかり では前に進むこともできませんの で、ここはひとついやなことはで きる限り忘れて、とにもかくにも しゃにむにがんばっていきたいも のです。

ゴト件数にも波 最近減っているが 油断はできない

ところで、昨年から新型インフルエンザの大流行が懸念されてい て、全世界においてその対応のためのワクチンが不足している状況が続いていましたが、いまのところどこかの国で流行しだしたというようなニュースは流れていません。素人的にはやれやれというところですが、ネットで調べてみると歴史的にも何回もの大流行期を繰り返しているわけであり、短期においては多少無事平穏であったとしても将来的な不安が取り消されたわけではありません。わが業界に置き換えてみるとゴト(不正)の歴史と重複してきます。私はゴト問題に取り組みはじめてからすでに20年前後過ぎていますが、これまでにもある時期もうゴトは終わったのではないだろうか?と思えるほど極端に事例が少なくなることがあります。実はここ2年〜3年内においてもパタッと減った時期があったのですが、またまたいまがちょうどその時期なのか事例の報告が非常に少なくなっています。それこそこのまま完全に消滅すればよいのですが、それは今後の動向を見ていかなくてはわかりませんので、絶対に油断はできません。

追い込まれたゴト集団 店員ばかりでなく お客様も威嚇

ここ最近は業界が総力を上げて 取り組んでいるゴト防止対策の努 力が実り、明らかにゴトの全体的 実行件数が減少しています。ゴト 師側は相当追い込まれている様子 が伺われ、営業中のぶら下がりの 取り付け行為においてもそういう ことが見て取れます。昨年後半に 大阪で起きたものですが、あるホ ールにゴト師グループが10人ほど で来店し前記の行為を実行しよう としたところ、同店スタッフが気 づいて止めに入ろうとした瞬問、 今度は見張り役が気づいてそのス タッフを5〜6人が取り囲み、持 っていた特殊警棒等でメッタ打ち にして大怪我を負わせるという、 まるで強盗行為のような事件が発 生しています。この事件は組合の 広報に緊急情報ということで、立 ち寄った先のホール情報と日時を 明記し、各ホールヘ厳重警戒注意 の警告文が発信されています。実 はこのグループは明記されている ホール以外にも立ち寄り、同じ仕 込み行為を実行していました。そ の行為を監視カメラが捕らえてい て録画動画として残っていました ので、当該ホールにお借りして確 認してみました。残念ながら固定 カメラのため実行台を直接は映し てないのですが、見張り役の行動 が一部始終映し出されていました。 どうやらそのホールはスタッフが キャッチ役に捕まっていたようで、 その仕込み現場の周りにはスタッ フはいませんが、当然ながらお客 様の出入りがあってその近くを通 ります。その見張り役はそれらの お客様の足取りと目の向きなどを 鬼のような顔で威嚇凝視、お客様 が自分たちにマイナス(例えば、 店舗スタッフヘの通報)になるよ うな行動に出た場合、先述した怪 我をしたスタッフと同じような暴 力をいつでも使うぞ!というよう な構えを取っていることがありあ りとわかります。
この映像を見て自分なりに感じ たことがあります。それは、先 の怪我をされたスタッフには大 変気の毒ではありますが、お店 に来店されるお客様に危害がな かったことはいろんな意味合い から不幸中の幸いであったとい うことです。

5号機への移行で 2007年度は ゴトが極端に減った

年はこれまた大阪において、 ご存じのように悲惨な放火事件 がホール内で発生して器人もの死 傷者を出しました。この事件の犯 人はホール、または業界に恨みを 抱いていたわけではなく、単に自 暴自棄になっての行動であり人が 集まる場所であればどこでもよか ったのです。発生当時、テレビで 事情を知らない、または知ろうと もしない人達がここぞとばかりに パチンコの悪口雑言を好き放題言 っていましたが、非常に腹立たし い思いをしたのは私だけではなか ったと思います。とにかくは亡く なった方のご冥福と負傷者した方 の全快を祈るばかりです。
いずれにしても、このような事 件は他の地域においても発生する 可能性は当然あるわけですが、お 客様の安全が第一であるというこ とを再度確認したいものです。

さて、話題を変えまして都遊協 が1999年からデータベース化 しているA-NET情報(画像1) をお借りして、近年のゴト事例の 傾向と発生件数等を年代別に比較 してみたいと思います。以下はA -NETのゴト情報データベース 欄に掲載されている事例項目の数 量を数えたものです。
・2000年度11234件
・2001年度0310件
・2002年度"495件
・2003年度"757件
・2004年度"611件
・2005年度0483件
・2006年度0367件
・2007年度睡218件
・2008年度目250件
・2009年度H195件
 (12月15日現在)

1999年度については初 年度ということで途中月から のデータのため掲載していま せん。またこの中にはゴト事 例ではなくメーカーからの発表文 等も多少入っているため、すべて がゴト事例というわけではありま せん。2003年度をピークとし て年々減っていることがわかりま す。2007年度はスロットの5号機への移行期であったため、ス ロットヘのゴト事例が極端に少な かった年です。今回は事例の詳細 内容についてまでは触れていませ んが、その中身を見るとその時代 その時代のさまざまなことがわか ります。ゴト師側もターゲットに する機種はまずよく売れていて全 国のホールが設置していることが 第一の条件で、聞くところによる と2万台(例北斗の拳"画像2) がペイラインとのことです。次に 面白く特殊な機種はまず絶対と言 ってよいほど狙われていて、権利 もののような機種は過去に遡ると ほとんどの遊技機がターゲッ トになっています。今で言え ばCR牙狼(画像3)とかC R戦国乱舞(画像4)等ですが、これらの機種もお客側にとっ ても非常にわくわくする遊技 機であり、メーカーとしても 満を持して発売しているので しょうが、残念ながら発売と 同時にゴト師側の格好のター ゲット材料となり、事例が発 生していることは皆さんもご 存知の通りであります。いやな言葉であり反感を買うかも 知れませんが、これまでの遊 技機の歴史を語るときゴトの 歴史もどうしてもはずせない という現実がそこにあるので す。

貴重なデータを 提供してくれる A-NETの重要性

ところでちょっと余談にな りますが、このAINETと 1999年という年度につい ては私なりの思い入れがあります ので回顧的にはなりますが、ちょ っと触れてみたいと思います。
私は原稿やセミナー等において、 このANET情報欄を時々利用 させていただいていますが、この ページは都遊協の組合員と有志の 人たちしか見ることができません。 ご存知のように業界の不正に関す る情報のすべてが網羅されている、 と言っても過言ではないくらい多 くの情報が載っています。しかも 項目および各年度別に仕分けされ ている事例および手口は、例えば、 ゴト手口であればパチンコ・スロ ット・関連機器類等に仕分けされ、 またその他にも業界内外で発生し ている犯罪関係や警察発表分が掲 載されているため、非常に貴重で また重要な事柄がデータベース化 され残っています。
A-NETが立ち上がった1999年当時、私はコスモロームの 前身となるコスモ産業の防犯部長 を務めていて、来る日も来る日も 社内のゴト防止対策に躍起になっ ていました。状況的には野放し状 態と言ってよいほどゴト事例は発 生していて、たった4店舗しかな いコスモの系列店にもゴト師がた びたび来店、多額な損害を出して いました。当時はセパレーツタイ 、プ(計数機と印字機が別々)であ ったジェットカウンター(現行は 一体型"画像5)にぶら下 がりを取り付けられて、2 50万円以上の被害を出し たこともあります。
当時はいまのように、ゴ ト被害が発生した場合、組 合などに届けて地域など全 体で守るというような機能 がなかったため、逆に外で 起きているゴト事例もほと んど入手することができま せんでした。ましてやそれ らをまとめたものや手口を 解説した情報の入手が不可 能であったことから、弊社 の現会長である松波義文(現 在整形外科院長)の提案によって 情報の共有化を目的として近畿支 部にセキュリティー対策部会が立 ち上がったのです。
ただしそうは言っても、すぐに 情報が集まるわけではありません。そこで私は社長に了解を得て法外 な受講料を取られることを覚悟で、ゴト師と思えるような者が主催するゴトセミナーにも積極的に参加 し、また会員にもなって情報収集 に努め、社内のゴト対策に取り入 れていきました。ちなみにそのと きのセミナーで受けたノウハウは 高い受講料を支払っただけに以後 の私の知識向上に非常に役に立ち ました。

梁山泊に立ち向かう 後ろに立って「断固」 単発打ち許さなかった

ところで、このころはホール側 にとっては悪名高き梁山泊グループが大手を振っていまして、テレ ビなどでは1時問の特集番組が度々登場していましたから、まるで英 雄のような扱いでした。たしかに 彼らはゴト行為をしていたわけで はないのですが、攻略打ち(タイ ミング打ちu単発打ち)で全国を 股に稼ぎまわっていました。私が 勤めていたコスモ産業の4店舗の うち2店舗にも現れたのですが、私は立場上からもまた倫理的にも 非常に腹立たしい思いを抱いてい ましたので、このグループのリー ダーに対して「店内に単発打ち禁 止という張り紙をしています。単 発打ちをした場合すぐに遊技を止 めます」と宣言、実際に遊技して いる台の真後ろに立ち、タイミン グ打ちは絶対にやらせませんでし た。
話は戻りますが、ゴト事例をま とめたAINET情報というもの を都遊協が作っていることをある 人から伝え聞き東京に出向き、当 時の都遊協青年部の幹部であった K氏(現在代表取締役社長)に 配信をお願いしたところ、「単に 受信するだけでなくあなたのほう からもANETに情報を送って ください」ということを条件に、 今日に至るまで継続させていただ いています。私は部外者であるた め詳細は計り知れませんが、AI NETを立ち上げた方達はいまで は業界の各方面において重鎮とな り、ご活躍されている方ばかりで あります。その方たちとは時々お 会いする機会がありますが、都遊協青年部であった若きころの熱い 思いが今でも伝わってきます。お 世話になってばかりの私としては 心より御礼申し上げます。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。