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ゴトと闘う (2010年10月)

ゴトに「疑い過ぎか」はない

今年は本当に暑い夏でしたが残暑も強烈で、9月に人づてからもすでに半分が過ぎようとしていますが、日中は記録的な猛暑日が続き水銀柱もいまだ30度を下回ることがありません。それでも、日が落ちるとさすがに秋を感じるほどの気温になりますが、読者の皆さんは休調など崩していませんでしょうか?

さて、先日終了しました日遊協不正対策勉強会において、皆さんに11項目で構成した「ゴトの本質を知る」という題名の資料を配布しましたが、今月号と来月号の2回に分けて各項目をもう少し深掘りして考えてみたいと思います。

(1)ゴトは詐欺であり犯罪 常連だから安心それが間違いだ

●ゴト師は、ホール内で詐欺行為を働こうとして来店している。ホール内においてゴト行為をする者はお客様とは呼べない。しかしながら、彼ら(ゴト師)は一般客に紛れ込んで来店し、外見上はほとんど変化がない。

●ホール側は、詐欺行為を見破る目の訓練と、発見した場合には毅然とした対応を必ず取る。

言うまでもなくゴト(不正)行為は詐欺行為であり犯罪です。これはゴト師と呼ばれる側が実行する場合も、ここでは記載していませんが、ホール自らが手を汚すいわゆる「遠隔装置」等においても同様で、れっきとした犯罪であることは問違いありません。どちらにおいても来店される一般的なお客様にとっては何一つ恩恵を受けることがないわけで、非常に迷惑な話であります。

これも当たり前の話ですがゴト師が来店する場合、できる限り目立たないように入店するわけです。まれに入店時から挙動不審のためスタッフに警戒されている中でゴト行為を実行して簡単に捕まってしまう、とてもゴト師とは呼べないような素人のゴト師もいますが、私も現場にいたときこういう輩を何回か捕まえたことがあります。

注意深く見れば「なにか違うなぁ」

プロのゴト師はこんな馬鹿みたいな失態はしませんが、それでも常にそういうこと(ゴト師の来店)もあるということを意識して店内を注意深く観察することで、ちょっと他のお客様となにか違つなぁ!(ゴト師)じゃないかな?と思えることが出てきます。

たぶん、これを読まれた方の中にはお客様を疑えって言うことか、という反発を感じられた方がいると思いますが、超常連であった客が実はゴト師であったというような話は過去にごまんとあったことは紛れもない事実なのです。過去にホールスタッフを抱きこんだゴト行為は数多く発生していますが、その手の客が初めからその目的(スタッフの抱きこみ)であったのか、途中からそういう考え(ゴト行為の実行)になったのかは不明ながら、誘い込んだ側はほとんどの場合、常連客と呼ばれる類の者でした。

特に店長等の役職者はホールではこういうことも起こりえるということを頭の片隅にとどめ、どのような場合においても常連客だからとか単発的な客であるとかの区別をせずに、常に毅然とした対応をとることが重要なのではないかとい思います。

(2)弱いものいじめが好き 超人気の「吉宗」は旧種類以上のゴト

●ゴト師は、弱いものいじめが大好きだ!そして、弱いとわかったらとことん、虐(いじ)めぬく。彼ら(プロのゴト師)は、事前調査で弱いものを探し出し、弱い順にゴトを仕掛ける。このことはホールにおいても機種や周辺機器類においても同様だ。

●ホール側は、常日頃から彼らに「弱い者」と思われない対応と対策を取っておく。

過去のゴト事例を振り返ると、そのときに使われたゴト手口はほとんどが弱点や欠点を狙ったものであることがわかります。

スロットの4号機で「吉宗」という機種がありましたが、この機種はわかっているだけでも12種類以上のゴト手口が存在していて、撤去期限が切れる寸前まで新たなゴトチロが出現したほどでした。まさにゴトの総合商社みたいな機種です。ちなみにこの機種はけっして射幸性が低い部類には入らない機種だと思いますが、その射幸性の高低とゴト手日数の多様性についてはここでは触れるつもりはありません。ゴト師が好んでターゲットにする遊技台はどういうタイプなのか、ということと、一つの弱点を見つけるとそれに関連したゴト手口を次々に考え出し実行してくる、ということの見本機種として紹介したいと思いますが、過去の機種ということでその事実だけを考えていただければ幸いです。

この機種は仕込みゴトだけでも8種類ほどありましたが、その他に音楽等で使うメトロノームと同じ原理を持つ、リズム体感でボタンを押すタイミングを教える「ナビ太」という永久連荘を可能にするゴト器具もありました。この「ナビ太」がまだ業界で知れ渡っていなかったとき、某ホールにこの器具を全員が所持している30名近い集団が来店し、3日連続で居座られて高額な被害を出したこともありました。

「ノイズに弱い」で電磁波を考え出す

ところで、当時弊社が開催したゴトセミナーにおいてその古宗の実機に7〜8種類のゴト部材を仕込み、参加者に見つけてもらうというゴト器具の「宝探し」をやったのですが、参加者の中で全てを見つけた方は皆無で大抵の場合4種類程度しか発見できませんでした。

この吉宗については、ホールもある程度ゴト手口数が多いことはわかっていたとは思いますが、超人気機種であったため外すことにはためらいがあり、ほとんどのホールが最後まで使っていたと思います。ゴト師側もそういう事情を十分に把握していましたから、彼ら(ゴト師)にとって非常においしい機種であったわけで、外せないという弱い事情と弱い箇所が多様でしたのでとことん虐めぬいたわけです。

現時点においてはここまでゴトが可能な機種は存在しませんが、前述したような弱点を徹底的に突くという図式は同様に受け継がれ、いま遊技機やコインサンド等における電磁波ゴトが大流行ですが、これらに使用されている電子式の通過型センサーがノイズにはけっして強くない、という弱点を徹底的に突かれているわけです。この電磁波ゴトに使う発射機も次々と進化してきて、メーカーが苦心して対策した箇所やカバーをすり抜ける電磁波発射機が登場していることはすでにご存知であろうと思います。

(3)ゴト師の狙いは金だけ コインサンドの鍵を付け替えるべきだ

●ゴト師は、けっしてテクニックを楽しんでいるのではない。金になりさえすれば何でもやる。

●ホール側は、彼ら(ゴト師)はお金になるところはどこでも狙う。特に現金の取扱には十分に注意がいる。営業中の集金業務には、必ずガードを付けるなどの警戒が必要だ。

ゴト師はなにもゴト手口のテクニックを楽しんでいるわけではありません。典型的な例が最近特に流行しているコインサンドの紙幣金庫の鍵を開け紙幣を抜き取るゴトです。これなどだれでもが考え付くような手口で、非常に手っ取り早いゴトでもあります。

ちなみに全国でホールが1万店舗あるとすれぱ、その分のハウスキーが存在しなくてはならないはずですが、純粋な流通キーの種類は驚くほど少ないようでホールがキーを付け替えない限り、どこかのホールで合鍵として使えてしまうのです。

ところでこれとは別の話ですが、最近はホールの中でも凶悪な事件が起きる時代になっているにも関わらず、たまにホールをのぞいてみると、前述したサンド等の金庫の集金業務担当者がカバンを首にかけ、なんと1人だけでそれも女性が集金している光景に出くわすことがあります。非常に怖い話であり、衆人の中なので強引な引ったくり等は起きないとでも思っているのでしょうか?

(4)過去の手口の焼ぎまわし ヤミ玉、磁石ゴト60年延々と続く

●ゴト師は、過去使ったゴト手ロを何度も使う。ゴト手口のほとんどが過去の手ロの焼きまわしだ。そのための事前調査は絶対に怠らない。

●ホール側は、過去のゴト手ロの見直しは絶対に必要だ。そうすることで守るべき箇所等が見えてくる。

私は「ほとんどのゴト手口は過去のゴ上手日の焼きまわしである」ということをいつも言っていますが、本来、ホールという狭い範囲の中で実行する「ゴト行為」という名の不正行為なのですからそれは当たり前のことなのです。

まずは持ち込みゴトと磁石ゴトを考えて見ましょう。この、一つのゴト行為は、戦後パチンコが再出発した日からまとわり付いているゴト手日であり、今日に至ってもまだ継続的にホールを苦しめているゴト行為でもあります。今回の円遊協全国セミナーおいても「パチンコの歴史とゴトの関係」という題名で生い立ち等を紹介しましたが、セミナーに参加されていない方もあると思いますので、ここでもう一度振り返ってみます。

パチンコの玉を作っている会社の組合で遊技球製造協会という組織があるのですが、そこのホームぺージに、昭和20年に戦争が終わり、16分の7インチ(11.11o)のベアリングが必要なくなり、大量に放出されたものをパチンコ王に流用したのが始まりである、と記載されています。貸玉料は昭和お年に1円、翌盟年に2円になったのですが、このときにすでにヤミ玉(今の持ち込み玉)を持参した客がいたようで、

昭和35年にはこの玉に自店の刻印を入れ始めていることでそのことが推測できます。昭和閲年にはパチンコメーカーの銀座が2枚ガラスを採用、他メーカーも追随していますが、明らかに磁石ゴト対策であったことを物語っています。このたった二つのゴト行為でさえ発崖してから60年前後経過しているのですが、無くなってはいません。このことからでもゴト手口は過去の焼きまわしである、ということをお分かりいただけたと思います。

今回の不正対策勉強会終了時に取ったアンケートの中に、「過去のゴト手口はいいから、今流行っているものとこれから発生しそうなゴト手口だけを教えてほしい」りというようなことを書かれていた方がいましたが、それがいかにナンセンスなご要望であるか、理解していただけるととてもありがたいのですが。

(5)ゲーム性への徹底攻撃 「魔界チャンス」の特殊性に目を付け

●ゴト師側は、面白いゲーム性を持つ遊技機が大好きで、それらの機種は徹底的に調べ、弱点を探し出す。そして、そのゲーム性を悪用する。

●ホール側は、ゲーム性をいち早く理解する必要がある。それをおろそかにしては守るべき箇所もわからない。

遊技中の演出でゲーム性を盛り上げるということは最近特に盛んに行われていますが、それはそれでよいことですが極論を言えば、1時間に一度大当たりしたら次の1時間まで大当たりしないような遊技台はだれも打たないでしょう。誤解を招くことを恐れずにあえて言うなら、連荘があったり、またスランプがあったりなどが上手に組み合わされている遊技台が面白い遊技台と言えると、私は思います。そんな中、いま市場に出ている「CR牙狼XX」のような機種はまさにそうです。この機種は権利物に分類すればよいのでしょうか、大当たり終了後に「魔界チャンス」という特殊なチャンスタイムが隠されていて、同じスイッチヘの入賞で「魔界チャンス」がON/OFFされ、どちらになるのかは通常わかることがないのですが、それが次の大当たりに突入できるかできないかになるため、打ち手側にとってはどきどきわくわくする時問でもあります。

1年以上前に発見された「ぶら下がり」は、大当たりこそ自力で引かなくてはなりませんが、「魔界チャンス」の突入でOFFにならないようにコントロールしてしまう機能を持っていて、電源を切るまで大当たりを引き続けるわけです。まさにゴト師は「CR牙狼XX」の「魔界チャンス」というものの性質をいち早く見抜いて、そのゴト器具を開発したものであると思います。ただし、このゴト手口もCで述べました焼きまわしゴトで、過去にも別の機種においてこれと同じようなゴト器具が存在していたのです。

ホール側としては少なくてもいち早くゲーム性を把握することで、ずいぶんとゴト行為を防ぐことができるのではないでしょうか。

ところで先月号の最後に、最近発見された精巧な不正基板を今月号で紹介するつもりです、と書いたのですが、事情が解除されていません。どうか、あしからずご了承ください。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。