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ゴトと闘う (2010年12月)

安価な器具でアナログゴト危機防御強化の反映で増加

今年のゴト重大ニュース

私が子供のころ、年齢を重ねた方が「歳をとると、1年が経つのが本当に早くなるもんだなあ」ということを感慨深く言っておられましたが、私も最近はその言葉を実感しています。ほんの少し前に、2010年1月号用の原稿の冒頭に「新年明けましておめでとうございます」を書いていたと思うのですが、記録的な猛暑円が続いた長〜い夏もいつしか過ぎ、もうすでにストーブが恋しい季節を迎え1年の締めとなる12月号分の原稿を書き始めているのです。「光陰矢のごとし」ということわざがありますが、まさに身にしみる言葉でもあります。

ライターの放電ゴト 可能な事実に驚いた

毎年のことですが、年末になるとテレビ等のマスコミで「今年の10大ニュース」が取り上げられますが、その中でも先月号でも取り上げた「検察官による改鼠事件」と「尖閣諸島沖でおきた中国漁船による日本船への衝突事件についての日本政府対応のまずさ」の2件は間違いなく最上位にくるものと思われます。その上後者は「衝突時ビデオ映像の流出」なる事件まで発生、発生当時、前原外務大臣が盛んに「ビデオがあるから、ビデオがあるから」と繰り返していましたが、その時点でニュース的に初めから公表しておけば中国にもあれだけの侮辱を受けることなく、またこんな二次的な事件は発生しなかったはず、と考えているロ本人は私だけではないと思います。いずれにしても、この2件は口本国民にとって非常に腹立たしくストレスの溜まる事件でもありました。

せっかく「今年の10大ニュース」というものに触れましたので、今年発生したゴト事例等を何件か取り上げ、それに解説や注意点等を加え]コト関連での10大ニュース」はなんだったか考えてみました。ただ、1位、2位等のランク付けは人や地域等によって違いがあると思いますので、ランク付けは読者の皆さんが独自に決めてくれれば幸いです。

まずは3月の連休中に日本全国で連続的に発牛し、多大な被害を出した「鬼浜爆走紅蓮隊爆音烈士編における使い捨てライターの着火部を使った放電ゴト」。私はこんなゴト手口がいまの遊技機で可能であること自体が不思議でしたが、いずれにしても、これは相当上位にランクされると思います。(写真1)

スロットの仕込みゴト 早い進歩、注意が必要

次に咋年から続いている「電磁波ゴト」、このゴトは器具がどんどん進化して電波感知器を内蔵している三洋系さえもターゲットになり、またグローリーのサンドにおける電磁波ゴトも、メーカーが後付けした鉄板カバーの弱点を越えた小型の電磁波ゴト器具が出回りました。

その次がスロットのART機が狙われた仕込みゴトです。「緑ドン=アルゼ」での中継基板への仕込みゴトが最初の発生ですが、このゴトは後半ワンベットを利用され外側からでも仕込むことが可能なゴトに進化しました。(写真2)

この手の仕込みゴトはその後、サミー系スロットのフイルム基板ゴトヘと発展、現時点においても相当注意のいるゴト手口のひとつとなっていて、過去にはぶら下がりの主流であった「蓑虫タイプ」や、ハーネスのカプラ部への仕込みに進化することは十分に考えられますので、遊技機の検査点検時にはそれらを考慮して実行してください。

コインサンドヘの攻撃 疑問が残るカギの問題

また上記の遊技機へのゴト行為ばかりではなく、「コインサンド」への複数のゴト行為も目立っています。その一つが「サンド金庫の鍵を開けて紙幣抜き取り」、同じく「コイン補給口の鍵を開けてコイン抜き取り」等が連続発生しましたが、私はこの事例が発生したことがちょっと不思議な気がしました。それは私が20年ほど前にホール現場に在籍していたときから、コインサンドの金庫(コイン投人口含む)キーはどのメーカーもサンド設置時におけるものは流通キーで、下手したら2種類ぐらいしかないメーカーもある、ということを聞かされていたのです。その当時は多少の不安感を覚えつつもメーカーキーを使っていたのですが、この頃にはこういう手荒なゴト行為を仕掛けるゴト師がいなかったために、これらのゴト事例は1回も発生していません。しかし、どうやらカギの状況は時代が大きく変化した今でも同様であったことを私も知りませんでしたが、知らなかったホールもけっこうあったようで、結局今回のような被害を出してしまったのです。メーカーにばかり責任を擦り付けるつもりはありませんが、このことをきちんとホールに伝えていたのか、ちょつと疑問が残ります。

サンド留め部に注目 かんぬぎを狙われる

ところでこのコインサンドの金庫ですが、前述したキー交換だけではOKとはなりません。例えば、日本金銭REXI-PROシリーズでは、サンドの前面開閉カパーの留め部が押し上げ式のかんぬき式になっていますが、そのかんぬきをピアノ線等で押し下げ開けてしまうゴトが発生しているからです(写真3)。この場合、サンドの留め部が表側にせり出していることが条件ですが、一つの盲点でもありますのでサンドがそのようになっているホールは、面位置以内に付け直すことをお勧めします。(この説明でわからない方は直接私までご連絡下さい)また、このシリーズはピアノ線による過剰払い出しゴトが発生しています。

このサンドゴトはその他に「紙幣識別機に投入後の紙幣抜き取り」や電磁波によるゴト事例など多く発生していますが、昨年後半あたりからこのサンドに対するゴト行為も増加していますので、今後とも十分に注意をしてください。

仕方なくアナログヘ 誤差玉の相談が急増

そして今年日立ったのが「釘曲げ」や「磁石」、「持ち込み」、「デカ玉」、「糸釣り」(写真4)等のアナログゴトです。これらのゴト行為は他のゴト手口と比較してもかなり割合が高くなってきています。最近弊社への相談の巾でも圧倒的に多いが「誤差玉(コイン)」ですが、このアナログゴトの増加が誤差玉(コイン)の原因になっていることは疑いのないところです。

10月号と11月号の2同に分けて主題にしました「ゴトの本質を知る」、の中でも繰り返しお伝えしていることですが、ゴト師側が実行するゴト手口はその時々の一番弱いところを突いてくるわけです。あちらが強くなればこちらの弱いところ、またこちらが強くなればあちらの弱いところいう具合にいつもギッコンバッタンしていて、まさに俗に言う「いたちごっこ」の繰り返しです。今年の10大ニュースとして、いままではマイナス的な悪い現象だけを取り上げていましたが、メーカー側の努力による遊技機や周辺機器などのセキュリテイi度のアップが著しく、またホール自らにおける監視や管理が強固になってきています。その上、遊技産業健全化推進機構や各県遊協における立入検査の強化そして通年化等、ホールを取り巻く環境はますますゴト師側にとって都合の悪いものになってきているわけです。そのことは当然(ゴト師の)活動範囲の狭まりとなり、このところでは「弱いところ」を狙うというよりも仕方なく、手っ取り早いアナログゴト増加の一つの大きな要因となっていると思います。

玉を使わずにビーズで すぐ作れる「糸釣り玉」

玉を使わずにビーズですぐ作れる「糸釣り玉」今年A-NETに掲載された事例件数は11月11日現在で131件ですが、ゴトの実行手口は先ほども言いましたが、アナログ的なものが相当の割合を占めています。その巾でも特に多く発生しているゴトは「釘曲げゴト」ですが、この「釘曲げゴト」はほとんどがワープ釘を曲げる行為であるため、それを実行するには筐体前面左側のガラス枠を無理やりこじり開けることになり、かなりのキズが入ります。パチンコ遊技機は筐体そのものがプラスチック等の樹脂を多く使っているわけですから、なんらかの強力な道具を使って無理やり隙間を作ることはさほど難しいことではありません。本来これはゴトと呼ぶよりも暴力的な破壊行為なのですが、全てを分厚い鉄板で覆うわけにもいかずメーカー側もこの対応はかなり苦労していると思います。

また、昨年あたりから新たな事案として発生し出している「変形玉或いはデカ玉ゴト」や、「糸釣り玉ゴト」事例も時々掲載されていますが、後者にちょっとした変化が出てきました。この釣り糸玉に使っていた玉は従来パチンコ玉そのものを使っていたのですが、最近新たに発見されたものは、樹脂性で透明感のある穴が初めから開いているビーズ玉に糸を通したものでした。この材料ですと加工する必.斐もなく簡単にゴト器具が作れるため、この手のゴト行為が流行る恐れがありますのでト分に警戒してください。

機器トラブルもあり 悩ましい誤差玉問題

スロットのゴト事例である「手クレ」おいても同様なのですが、最近のゴト行為に使うゴト器具に共通していることはゴト器具にコストがかかっていないということです。逆に考えると、これらの現象は遊技機やその他のセキュリティーが強固になったために、資金をかけてゴト器具や不正部品を作ってもすぐに発見されてしまう、という裏返しではないかとも思えます。

先ほど少し触れましたが、「原因不明の誤差玉(コインも含む目以下誤差玉)が多くて困っている」ということと、「持込玉(コインも含む=以下持込玉)をなんとか防ぐ方法がないだろうか?」ということも、最近特に多い現象ですので、これも10大ニュースに入れるべきものであると思います。持ち込み玉イコール誤差玉でもあるのですが、誤差玉は持ち込み玉だけ或いはゴトだけが原因とは限らず、機械的なトラブル等でも誤差玉となる場合があるわけで、非常に悩ましいことでもあります。来年はこの誤差玉について少し突っ込んで取り上げていきたいと思っています。

他にも個別的なゴト事例等で10大ニュースに入りそうなものはありますが、紙而の関係上このぐらいにして、別の件に移ります。

ていねいな目視こそ 不正発見の最強手段

弊社は発足当峙から遊技台検査やその点検を主体にしている会社ですが、その道具として高度なレントゲン装置(マイクロフォーカス)や、ロムチェッカー、ハーネスチェッカー等の検査機器も使用しています。しかしながら、それらの道具より最も重要なのが検査貝の目視力です。で、その目視力とは「とにかく丁寧に見る」ということに尽きるわけです。

例えばパチンコでもスロットでも「ぶら下がり」という不止部品は昔から存在しますが、ここではパチンコ台における「ぶら下がり」の検査方法をちょっと解説します。このぶら下がりという不正部品は、ほとんどの場合何かの後ろ等に隠すという手法をとるものであり、そのため部品がどんどん小型化されてきていることは皆さんも良くご存知であろうと思います。

それではその検査方法ですが、最初の検査時に遊技機の裏パックを全開して(もちろん、電源は落とします)確認できる箇所を隅々まで丁寧に目で見ながら、同時にハーネス等を手で触ったりしての作業を繰り返すだけなのです。その後裏パックを閉めコネクタをしっかり留めなおして電源を再投入、表側から何個かの玉通しをしてセーフ玉が払い出されるかどうかの確認をして終了です。ぶら下がりはここまでやれば囎%以上の確率で発見できます.、つまり、特に特殊な検査はなにもないのです。これはどの検査においても基本であり、これを1台-台やっていくわけなので当然時問がかかるものなのです。

もうすぐ正月が来るわけですが、不安を抱えて新年を迎えたくないものです。良い正月を迎えるためにもぜひ時間をかけた検査をやってみてください。

海シリーズの沖縄で 新手のゴトが発生か

ところで未確認なのですが、いま入った情報で「海シリーズの沖縄2(詳細機種不明)三洋」においてゴトらしきものが発生しています。それは、3〜4人で来店してこの機種に座り10回転ほどで全員大当たりをかけている、というものですが、当初埼玉県で発生した後、東京に回り千葉で何件かが被害にあい、今日大阪で発生しています。

推測的な情報として遊技機の基板系列線をピアノ線等でショートさせて強引にラムクリし、ゼロスタートを狙って電磁波を発射しているのではないか?と言われていますが、不明です。三洋系の機種は市場の設置割合が高くこのゴトが本格化した場合、10大ニュースのトップに違いありません。私の経験ですが、これまでにうわさに上がったゴト手口はほとんど現実化しています。この原稿を読む頃にはどういうことか判明している可能性は高いですが、十分にご注意下さい。

それでは、どちらの方も良いお年をお迎え下さい。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。