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ゴトと闘う (2010年4月)

いっそ磁石感知器などの有無を公表したほうが守りいいのでは

この日遊協広報誌「NICHIYOUKYO」に連載中の「ゴトと闘う」も、書き始めたのが昨年の4月からでしたら、今号はいよいよ2回り目への突入第1号となるわけです。

私の記憶では、編集部から「4、5回の連載で書いてください」という内容のお電話をいただいたのが昨年の2月ごろと思うのですが、まさか1年間も書き続けるとは考えていませんでした。しかしながら、こうして本誌に私の拙文を掲載していただいたその1年問を振り返ってみると、我慢して読んでいただいている読者の皆様と、意味不明や間違いだらけの原文を苦労して校正をかけて下さっている担当者の方々の支えがあればこそ継続できたわけです。「心の幸せとはこういうことなんだな」と感じる次第です。改めましてこれらの方々に心から感謝申し上げます。これからも前を向いて一号一号を新たな気持ちで臨み、少しでも業界と読者の皆さんのお役に立てるような原稿にしたいと心から思っています。

開放テストでは反省一同に集まれず結果に差が出てしまう

ところで、2月号で近畿支部セキュリティー部会が独自で「チューリップ及びアタッカーに通常時に無理やり玉を入れた場合どういう反応が起きるか」を調査してその結果を発表しましたが、一部多少の「力加減による勘違い等」によるばらつきがありましたことお詫び申し上げます。「力加減による勘違い等」と書きましたのは、この調査表は近畿支部セキュリティー部会員が独自にテストしたものをまとめたものなのですが、部会員が一同に集まれる時間がなかなか取れなかったために、メーカー別に担当を決めて自社内に持ち帰って自社の遊技機でテストをしたのです。そのことで少しばかり結果が違ってしまった原因です。例えば、チユーリツプの開放テストをしたとき開かないはずのものが、無理やりやれば開いてしまう機種もあるのですが、担当調査員によって無理やりに開かせた人とそうでない人との差が出てしまったのです。今後もいろいろな調査は続けるつもりですが、このことを反省してできる限り全員が集まってテストをしようということに決定しました。

ちなみにこの調査の目的は「ゴト師側は遊技台の欠点・欠陥を綿密に調査した上でゴトを実行してきているにも関わらず、守る立場のホール側はそのような調査はまったくと言ってよいほど実行していない。外部のセキュリティー会社等が調査したものを利用しているホールもあるにはあるが、それはほんの一握りであって、現場を守るホールスタッフの大半は無知状態に等しいというのが現状である。そのことがゴトを簡単にやられてしまうひとつの原因でもなっている。またゴト被害にあってもどういう手口でやられたということもなかなか解明できないでいる。実際に今回調査したわが近畿支部セキュリティー部会の部会員さえ知らないことがいっぱいある」ということがきっかけとなって調査を開始したのです。

少し離れた「範囲外」で巧妙に磁石を使って実際に仕掛けられた

先日、ちょうどそのことを裏付けるような磁石ゴト事例が発生しましたので紹介します。

写真1はサミー製の「デジハネ北斗の拳KVJ」ですが、この機種にはメーカーが標準で磁石感知器を付けています。盤面上で磁石感知器のテストしたところ「かなりの範囲」において反応しました。しかしながら今回の磁石ゴトは、わずかにある「かなりの範囲」外で磁石を使いゴトを実行してきたのです。

写真2の手先をみてください。この位置ですと磁石感知器は反応します。しかし、ほんの少しずらしただけの写真3、4の位置では反応しなくなるのです。ここでは)盤面の右下での写真しかありませんが、左下でも同じような結果です。前述しましたが、彼らはここのところをきちんと調べ上げており、この3や4の位置で磁石を使ってゴトを仕掛けています。


玉を積み上げたあと余分な玉をコブシで叩いて落としていく

それではこのゴトは何を目的に実行するのかということと、そのゴト手口のやり方の詳細を解説します。最終的な目的はスタートポケット左側誘導釘あたり(写真1の赤丸部分)に玉を固め、道を作り出しスタートポケットに玉を入れやすくするためです。

そのゴト手口ですが、まずは盤面上で磁石感知器の反応しない位置(通常は左最下側)に磁石を当てて玉を打ち出すと、玉は回収されずにその磁石の周りに留まりだします。一旦固まってしまうと崩れることはないのでその時点で磁石は必要なくなります。そのままの状態で玉をどんどん打ち込むこと自然とスタートポケットの左側まで積み上げります。その時点で道は出来上がるのですが、そのままプレイを続けるとあまりにも目立ちすぎることと玉があふれだして逆に困ることになるので、今度は誘導に必要な玉以外の余分な玉を落す行為です。こぶしなどで遊技機の上皿あたりをコンコンと叩きながら最下段の玉から落としていき、きれいに取れたらプレイ再開です。最終的には10個前後の玉だけがうまく周りの釘に絡み合って残りますので、遊技するぐらいでは絶対と言ってよいほど外れません。スタートポケットヘは打てば打っただけ入賞し回りっぱなし状態になりますが、ゴト師はホールコンピユーターで発見されないように調整しながら打ってきます。ある程度の目的を達した後は先ほどと同じようにこぶしなどで台を叩き、留めていた玉を落としてしまうので形跡が残りません。まさに証拠隠滅です。ちなみに今までは磁石感知器が付いていなかったので、スタート釘の真横下あたりで磁石を使い玉止めして道を作っていたのでこのような作業は必要ありませんでした。

甘デジや「1円」でもよく狙われる左端下側のポケット

今回の場合は、彼ら(3〜4人ほどのゴト師グループ)が帰った後に常連のお客様が「なにか変なことやってたで」と言ってくれたことが発見のきっかけになりましたが、「余計なことを言うな1」と脅されたそうです。すぐにその遊技台のガラス面を念入りに点検したところガラス中央下部やや左側に何かで擦ったようなキズが残っていたのです。

当然ながらビデオ確認もしたのですが、カメラが少し遠めであったため詳細はわかりにくくこぶしで台を叩く行為だけが確認できたことと、週刊誌のようなものを持っていることが確認できました。おそらくスタッフが真後ろを通ったときに週刊誌を広げ読んでいるような感じで溜まっている玉を隠すためのアイテムではないかと思われます。

ところで、今回のようなゴト手口はなにも今に始まったことではありません。それに遊技機の種類を選ぶものでもなくセブン機も羽物もまったく関係ありません。また今回もそうなのですが、甘デジや1円コーナーであることもまったく関係ありません。それに今回はスタートポケットがターゲットになっていましたが、盤面の左端下側についているポケットも同じ手口で狙われます。このポケットは大当たり時のアタッカー入賞と同数の15個を払い出すのですが、位置的に非常に目立たないばかりでなくホールによってはご丁寧に「磁石を隠すアイテムを用意してくれている」箇所なので、スタートポケット以上に頻繁に狙われています

善意のアイテムだがクリアケースをまんまと利用されて

それではその「磁石を隠すアイテムを用意してくれている」を使ったゴト手口例をひとつ紹介します。皆さんのホールで実行されているかどうかわかりませんが、時々ホールを覗くとA6かB5ぐらいのゲーム説明等をコピーしてクリアケース等に入れ、盤面の左側あたりにゴムひもでぶら下げている光景を見かけます。多くはパチンコ初心者への親切心からの発想だと思うのですがこれをゴト師が悪用するのです。

写真5は実際のゴト画像ではありませんが、クリアケースに入っているゲーム説明書等を使って実行する磁石ゴトを再現した動画の一部を切り抜いたものです。この場面はゲーム説明書等の裏側で磁石ゴトを実行中なのですが、仮にスタッフがこういう輩の真後ろを通過しても気づくことはないのではないでしょうか。先述しましたようにこの場合のゲーム説明書等の吊り下げは、あくまでもお客様を大切にしたいという善意からの発想であることは十分に理解できます。しかし彼ら(ゴト師)は実行ホールの下見をするわけで、当然のごとくこのような格好の隠しアイテムは見逃さないことも頭に入れておいてください。


機種と機種の転換期そのパザマを狙われる

このような磁石ゴトヘの対策対応としては、機器的には磁石感知器を随所に付けることとスタッフの巡回による見回りも非常に重要になってきますが、最新版の遊技台はこの箇所にも磁石感知器を付けてくれているメーカーが出始めていますので、よく確認してください。このようにホール側がイベント等の目的で展示したもの等が、結果的にゴトをやりやすくさせてしまうアイテムになってしまっている例はまだまだけっこうありますので、一度見直してみてはいかがでしょうか。

また、全機種に磁石感知器が標準で付いたとしても今回のゴト行為のように、彼ら(ゴト師)はわずかな隙間を突いてきます。それに現状は全ての機種に磁石感知器が付いているわけではなく、過去のほとんどのゴト事例でもそうであるように、逆にこのように付いている機種と付いていない機種が交じり合っているハザマの期間は、(感知器が)付いていない機種はとことん狙われます。しかしながらホールが個別でこれらを調査するというのは簡単なことではありません。そこで提案なのです。どうせゴト師たちは確実にこれらのわずかの隙間を徹底的に調べ上げてからゴトを実行するのですから、メーカーが先手を打って磁石感知器(それ以外の電磁波感知器等も)の付いている機種名と付いている箇所、そして付いていない機種をきちんと仕分けして公表してしまったらどうでしょうか。そうすれば現在のようにゴト師は知っているがホールは知らないという逆転現象が解消するのですから、ホールはかなり守りやすくなるはずです。

ゴト師は渡り歩いて「勉強」と「稼ぎ」を

ところで最近は、経費削減ということからスタッフが極端に少ないホールが多く、どうしもアマデジや1円コーナーの巡回は後回しになってしまいがちです。今回紹介したゴト事例もそのアマデジを狙われたわけですが、このようなコーナーの巡回が後回しになってしまうことはなにもスタッフだけの間題ではありません。ホールオーナーの中にも1円コーナーではゴトは起こらないと考え違いをされている方もおられるぐらいなのですから、ある意味仕方がない現象です。しかしながらそれはまつたく身勝手な思い違いの世界であって、ゴト師は1円コーナーにも来ていること忘れないでください。なぜなら、1円コーナーの機種配列を考えてみてください。少し前までの主力機が1台か2台ずつにごちゃ混ぜになっているのですが、これはゴト師にとって格好の練習台となっているのです。1円コーナーに回す機種のほとんどは、ここの地域あるいはこのホールでこそ人気がなくなってしまったための応急処置だと思われますが1円専用の機種はまったくありません。そこが味噌で、別の地域あるいは別のホールに行くといまだもってそこそこの人気がありほぼ主力機として使用しているのですから、スタッフがほとんど来ないで十分過ぎるくらい練習ができ、自信が付いてきたら主力機として残っている地域やホールに出向いてゴトを働くという悪循環が出来上がっているのです。

ところでこの問題はもっと突っ込みたいのですが、紹介した紙面が残り少なくなってきていますのでまた次の機会に論じたいと思います。

「鮫子の王将」でゴト器押収したが使い方全く分からない

最後に先日、大阪のあるホールで豊丸製の「鮫子の王将」という機種でゴトを働こうとしていた男を捕まえゴト器具も押収したのですが、その器具の使い方がまったくわかりません。実は弊社のスタッフもその日のうちにそこのM署に呼ばれゴト器具を確認したのですが、残念ながらわからないのです。われわれの同業者にも連絡を取り確認したのですが知っている者は皆無でした。正直、こんなことは初めてのことです。デジカメ写真を掲載しますのでなにか知っている方がありましたらご一報いただけたら幸いです。ただし、本誌が発行されるころには解明できているかも知れませんがその場合お許しください。

追伸、ユニットケーブルゴトが静かに蔓延しだしているようです。この器具の基板にマジックで番号が打たれていますが、すでに400番台(弊社が入手したものは200番台)が発見されています。十二分にご注意ください。


■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。