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ゴトと闘う (2010年5月)

あまりにも簡単な「オニハマ」ゴト器 その上、ネット情報網で異常に速く

今年は気象庁の発表通り、桜の開花そのものは例年よりも2週間ほど早かったようですが、咲き始めてから肌寒い日が続いたためずいぶんと落花が遅れ、私が住む枚方・寝屋川市近辺では4月15日現在においても、いまだ完全には散っていない木が何本もあるくらいです。桜の花が大好きな私にとっ てはその分長く桜を楽しむことができましたので、なんとなく得をした気分です。と喜んでいたのですが、今度は異常低温でマフラーや厚いコートが必要なほど気温が下がりすぎ、昨日のニュースでは作物が打撃を受け農家の方がご苦労なさっていると報じられていました。やはり、季節は普通どおりにめぐった方がよいみたいです。

100円ライター使ってあっという間のゴト発見するのは、ほぼ困難

その桜情報が届き始めた3月の20日、21日、羽日の彼岸の連休中に、わが業界でとんでもない事件が日本全国で急発生しました。すでに業界では知らない人がいない電子ライターによる「アビリット製のオニハマバクソウグレンタイ2」(写真1)でのゴト事例です。このゴト事例は驚いたことにゴト器具(写真2)の作成にしてもゴト手口の再現にしても、実に簡単にできてしまうということでした。そのため、事実が判明した後多くの業界人が再現実験を繰り返したのではないかと思われます。



まずゴト器具の製作ですが、どこででも手に入る通称「100円ライター」の着火スイッチ部分だけを取り外し、3cmほど伸びている針金部分に20cmほどの別の針金を付け足すだけで完成してしまうという代物です。次にゴト手口ですが、その針金の先端をコイン投入口から真下に挿入するといやでもセレクタの金属部分に接触します。その状態でカチッとスイッチを押し放電させるだけでゴト仕込み?は完了となるわけです。モード突入の確認はマックスベットボタンのランプ表示が反転すればOKですのでこれも簡単です。その後プレイを始めるとすぐにビッグが入り、ARTの連荘モードに突入してしまうわけですが、時間的に5秒前後あれば可能な手口であるため、何も知らないスタッフがこの行為を発見することはほぼ不可能です。

一人だけでまず稼ぎ機種の撤去を知って連休狙い情報を売る

このゴト手口は何かの偶然からの発見なのか、あるいはもともと電子ライターは電波ゴトのルーツなので、ゴト師が手近にある全ての機種で実験した結果得たものなのかはわかりません。しかし、最初に気づいた人間、多分ゴト師はある期間こそっと一人だけでゴトを働き稼いでいたものと思われます。それが3月の連休中に全国一斉に発生したのは、前述のゴト師が近々この機種が撤去されることを知り、闇サイトで情報だけを売ったのではないかと思われます。あえて連休を狙ったのは、メーカーに連絡が付かないことを犯人が知っているためと思われます。この情報をいち早く聞きつけ早々と島閉鎖をしたホールは被害も少なく済んだようですが、大きな被害を出したホールもあると聞いています。実は弊社にも20件ほどの問い合わせがあったのですが、早朝の5時ごろの時間帯や島根県や青森県等のホールからの問い合わせもありました。いかにゴト師たちの情報網が出来上がっているか、思い知らされた感じです。当初はわれわれも「なにが起きているのか」という情報がまったくなく、こちらからも方々に電話を入れて確認を急いだ結果、ようやく21日の夕方ぐらいになったころに大方のゴト手口をつかむことができた次第です。あくる羽日にはゴト手口の全てが判明したため、弊社でも実験をしましたが実に簡単にできてしまいました。

昔から知られており今回も徹底した準備か

先ほどこの電子ライターは電波ゴトのルーツであるということを書きましたが、このことは業界の中でかなり有名な話であり、私の周りにいる業界経験の長い方ならほとんどの人が知っていることで、私も何かの機会に誰からとなく聞いていました。

それによると、パチンコ遊技機に始めてデジタルが登場した同じころに電子ライター(もちろん、100円ライターではない)が流行り出したのですが、ある客がそのデジタル機(平和のブラボーか)を打っている最中に、くわえタバコに火を付けようとそのライターのスイッチをカチッと押した瞬間、盤面中央に表示されているデジタルが勝手に回り始めたことで電波ゴトを思いついた、というのがその内容です。

またそれだけではなく、ゲーム機に詳しい方の話ですが「20年以上も前からゲーム機でもこの"電子ライターによるカウント上げ"という事例が発生していて、その対策のためにほとんどのゲーム機にはすでにそのころから警報器が付いていたよ」と言っていました。そのくらい、この電子ライターの放電ノイズは危険なものなのであり、遊技機のノイズテストにおいて電子ライターの放電テストは避けて通れないものと思うのですが。以上のことから推測しますと、今回発生した「オニハマ」のゴト手口はけっして偶然に発見したものではなく、これらの事を知っているゴト師が電子ライターでのテストを重ね発見したものではないか、と私は考えています。前号でも書きましたが、プロのゴト師は遊技機においても周辺機器においても欠点や弱いところを徹底的に調べた上で、ゴトを仕掛けているのです。当然、他の機種においても同様のテストはしているはずで、たまたまこの「オニハマ」が引っかかったのだと思います。

「緑ドン9」のように間違ったゴト情報も

なお、この件に関してメーカーから後日(1)「鬼浜爆走紅蓮隊爆音烈士編」の他に(2)「GS美神〜極楽大作戦〜」(3)「鴉〜KARAS〜」においても同様のゴトが可能であることが判明した、という誠実な発表がありましたが、このことは後の被害を防げたわけですから不幸中の幸いです。また、これらの機種は全て有料で引き取ります、ということと本ゴト行為により被害を被った店舗においては、それを疎明する資料があれば個別に対応します、旨の追加発表があったことはホールにとって朗報です。

このようなゴト事例が発生すると別の同じような機種は大丈夫なのか?という不安がよぎってきます。これは人間の心理上いたし方のない事と言えますが、先日来、エレコ製のスロット「緑ドン9」においても体感機ゴトが可能である、というような情報が流れました。そのことに対して羽年4月6日、メーカーである株式会社ユニバーサルエンターテインメントの社長名で「緑ドン9におけるゴト関連の誤情報について」という内容の注意文書が関係各位宛に送信されてきました。その本文をまとめますと、

題名は「緑ドン9におけるゴト関連の誤情報について」で、4月5日前後に「緑ドン9」において体感機ゴトによってART突入が可能である、というような情報が流れたため、株式会社ユニバーサルエンターテインメント開発部門においてその検証を実施した結果、そのようなゴト行為を実現することは不可能であり、「緑ドン9」設置店におきましては安心して使っていただきたい。というものです。また、誤情報の意図的な流布については悪質な営業妨害であり、多大な迷惑行為であるため原因追及を徹底的に行い法的手続きも含め断固たる態度で臨む、との内容でした。

メーカーとしては、「こんなとんでもないうわさをいったい誰が流したんだ!」ということであり、怒りは当然のことです。

「スロットに体感機」も考えられないケース

弊社もホールセキュリティーを営んでいる会社ですので、ホールの方に多くのゴト情報を流していますが、ほとんどの場合検証済みで確実な情報だけを流すようにしています。ただ、時々ホール関係者から言われることですが、「多少不確実でも良いので、(ゴトや攻略等に対して)いち早く対応したいのでうわさに上がったらすぐにでも教えてほしい」という、要望を聞くことがあります。先日もわが近畿支部セキュリティー部会のメンバーにこの件を質間したところ、ほとんどのメンバーから同じく「どういう情報であっても早く知りたい」という回答が返ってきています。情報の発信というものはここら辺が難しいところです。ただし、根拠のない情報をいかにも「ある」と思わされるような書き方や言い方のものはマナー違反であると思います。実際にネット上で某セキュリティー会社がどの機種を指しているのかは不明ですが「OOOOで体感器"」という情報を流しています。現行のノー、マルなスロット遊技機において、外部から(ソレノイド等の)体感器攻略ができるとは到底信じられません。なにかぶら下がり器具等を付ければ別かも知れませんが。


追いかけ逮捕したが肝心のセルがないあとでわかった常習犯

話は変わりますが、先日大阪の某ホールにおいてスタッフが「CR鮫子の王将」というトヨマル製のパチンコ台でゴトを働いていた男を発見、すぐに近くの交番に連絡したところ制服の警官2名が駆けつけてくれました。これで捕まえるべく手はずが整ったので、事務所のカメラの前から離れそのゴト師のところに向かったのですが、そのゴト師は感づいたのかあわてて店の外に逃げ出したため、警察官2名とスタッフ数名が100mほど追いかけた末に逮捕しました。

その後、店内に戻りスタッフが彼の座っていたゴト実行台を調べたところ、写真3のようなゴト器具が出てきたのです。実はその時点で弊社に応援の依頼電話が入ったため、弊社スタッフを現場に行かせたのですが、初めて見るゴト器具ですぐには判定ができませんでした。推測ではセルを遊技台に挿入しやすくするための「ゲタ」であると思われたのですが、肝心のセルが見当たりません。警察官にこのことを伝えゴト師にセルを提出するよう問い詰めてもらったのですが、ゴト師は罪になりたくないため黙秘権を使って口を割ろうとしません(20日問拘留されたが結局最後まで口を割らなかった)。

そこでスタッフと警察官はゴト師を追いかけた通り道に戻り丹念にセルを探したのですが、残念ながらそれらしき物を発見することはできず、いまもって遊技機に仕込まれていたゴト器具の使い方は不明です。

その後別の日に所轄は次の手として家宅捜査をしたそうですが、なんと、そのゴト師の自宅からは懐かしき「ミルキーバー」という名前が入った裏ロムと思われる物や、数点のゴト器具らしきものが出てきたそうです。それを聞いたとき私は思わず「やはりなあ1」と納得しました。それは、昔からのことわざで「三つ子のたましい百までも」という例え通り、このようにいったんパチンコのゴトに手を染めてしまったまた輩は同じことをやるということを、証明してくれたような話だからです。

こういう変な事件は続くものでつい5日ほど前になりますが、今度は名古屋の某ホールの玄関先にゴト器具数点が置かれているという事件が発生したのです。写真4がそのゴト器具ですが、ご丁寧にそのホールのオーナー名宛のメモ書きが付いていたのです。後日、そこの部長さんがそのゴト器具全てを弊社に持ち込んできたので、使用目的を調べたところ、そのゴト器具は全て4号機用のもので吉宗用と思われる本体付き体感機2台とその付属品、これまた吉宗用のナビタが1台、パルサー用のレバーが一個です。何のために置いたのかまったく不明なためそこのオーナーも部長さんも困っていました。


今号の最後になる記事ですが、株式会社サンセイアールアンドディ社から4月7日に「CR牙狼XX」の主基板点検マニュアルの追加発表がありましたので、念のためお知らせしておきます。今回の追加発表は、昨年、全国で実施した日遊協不正対策勉強会の中でも紹介したことがある、「CR牙狼XX」のぶら下がりの点検目的によるものです。写真5が追加されていますので確認してください。


ちなみに、この「CR牙狼XX」のぶら下がりは大当たりを発生させるものではありません。液晶画面の演出から初当たりとなりますが、そこはゴト師といえどもお金を使って自力で発生させなくてはなりません。大当たり終了後にこの遊技機の特性である「魔界チャンス」に突入するのですが、その「魔界チャンス」を閉店まで継続させることが可能なぶら下がりなのです。実は、大当たりさせるゴト器具も存在しますが、その場合「魔界チャンス」には突入しません。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。