ホーム > 特集・メディア > 2010年6月

ゴトと闘う (2010年6月)

千円札を1万円信号に変えるサンド狙う露骨な手口に注意を

本年もまた、不正対策勉強会の全国ツアーが始まろうとしていますので、少し誌面をお借りしまして本年の予定を記載することをお許しください。

本部の遊技機健全化委員会発表によりますと、6月11日(金)の東京を皮切りに6月23日(水)が名古屋、7月6日(火)福岡、7月7日(水)広島、7月9日(金)大阪となっています。今回はどの会場も昨年より小さめの会場となる、と伺っていますので、受講ご希望の方はお早目の申し込みが必要と思われます。本年もまた大勢の方の応援やお手伝いをいただきながらの開催となりますが、どうかよろしくお願いいたします。

昨年は手前味噌ですがそれなりに好評をいただいたとは思っていますが、当然ながら厳しいご意見をいただいた部分もあります。本年はそれらを十分に反省考慮して少なくとも昨年以上内容のある勉強会にしたいと思っています。昨年は人数の関係上、ほとんど一方通行のセミナーになってしまいがちでしたが、本年は会場も狭く参加者も少なくなりますので、私がもともとやりたかった対面的に質疑応答しながらの勉強会にしたいと思っていますので、受講予定の方はぜひともそういうことを盛り込んでご参加ください。

ほとんどのホールが設置しているブリッツシリーズで

またまたとんでもないゴト行為が流行りそうです。ほとんどのホールが設置している日本ゲームカード社製CRサンドユニット「ブリッツ」シリーズ(写真1・2・3)を狙ったゴト行為です。このゴト手口はーか月ほど前にうわさとして耳にしていたのですが、「えーっ!うそでしょ」というような手口であり、単なるパチンコ業界におけるゴト行為で済ますことができないような内容の手口であったため、当初は発表を控えていました。しかしながらここにきて(5月13日現在)、すでにあるホールでこの手口を実行しようとしたゴト師が捕まったことに加え、周りの同業者等も騒ぎ出していることからどうやら現実化している、と考えたほうが無難であることから「被害の拡大を防ぐため、ホールヘの警戒を呼びかける必要がある」と考えて今号に載せました。

さて、現時点において判明しているそのゴト行為の現象ですが、CRサンドユニットの紙幣識別を誤認識させて、千円券の信号を1万円券信号に変えてしまうという非常に驚異的なゴト手口です。ゴトと書きましたが、このような間題はゴトというよりも完全に法律的に罰則が伴うあからさまな犯罪であり、パチンコ業界だけに留まるものではありません。がしかし、実際にわがパチンコ業界で現実として発生し出しているわけですので、今回は現時点においてわかっているだけのことを取り上げてみたいと思います。


サンド本体左側からコネクタ部分に差し込み通電する

先ほどの捕まったゴト師の言葉によりますと、サンド本体の左側にわずかな隙問を作ってゴト器具(過去に種々発生したショートゴト手口から推測すると、基板付きのピアノ線の先がワイヤーブラシのようなものになっているのではと考えられる)を挿入し、サンドユニット内部のコネクタ部分の隙間に差込み通電させることでその状態になる、ということでした。ただ、捕まえたときはすでにゴト器具を仲間に渡してしまったものか、あるいは途中でどこかに投げ捨てたのか問題のゴト器具は所持していませんでした。そのため、どのような形状のものかはそのホールでも確認できていません。

ところで、捕まるようなドジなゴト師はほとんどが下っ端です。リーダーからゴトのやり方を「こういう風にやれ」と教えてもらってはいても、肝心な仕組みなどは一切伝授されません。このことはこの手の他のゴト事例でも証明されていますが、昨年の勉強会の中においてもプログラムとして使用した、電磁波ゴトを一例としてご紹介します。


下つ端電磁波ゴト師落ち着きがないのですぐに監視始める

この事件は、昨年の前半に大阪府内で発生した事例です。あるゴト師が悪仲間にそそのかされ電磁波ゴトを思いつきました。(写真4)のような電磁波発射機をゴト師の元締めから1日8万円(ゴト師の話)のレンタル料で借り、あるホールに出向きパチンコ遊技機で電磁波ゴトに及んだのです。しかし、その男が入店してどの台を打つかと迷っている感じのときに、ひとりのスタッフが「なんか落ち着きがない客だなあ」と不審を感じ、即インカムで店長に報告、店長はすぐに監視カメラでその男を追ったところ確かに挙動が変であったため、すぐに全員に警戒を命じました。店長は監視カメラの前に座り、この男が何をやるかを見極めることと、仲間らしき者がいないかをカメラを振って確認しましたが、どうやらひとりで来店していると感じたためしばらくの間泳がせることにしました。

すると、そうとは知らないその男はある機種の前に座った後に、周りをきょろきょろしながらおもむろに左前腕(アンテナを服の左腕部分に隠している)を遊技台のガラス中央当たりに当てるように近づけ出したのです。店長は「電磁波ゴトだな」とピンときましたが、あわてて捕まえるようなことしないで一部始終をビデオに録画できるように準備し、しばらくゴト行為をやらせてから捕まえました。


使い方も知らないゴト師よりも元締めの逮捕が必要

その後ゴト師に何をどう狙ったかを問いただしたところ、そのゴト師は「スタート上げ」との回答をしました。その時点においてもつと流行っていた賞球ゴトは実行していなかったようですが、それは監視カメラの映像からもそれしかやっていない感じでした。ちなみに、その押収した電磁波発射機は弊社もお借りして確認しましたが、「スタート上げゴト」と「賞球ゴト」が選べるスイッチが付いていたのです。われわれの感覚で考えれば、玉が出てくる賞球ゴトの方が得だと思うのですが、どうやらこのゴト師は発射機を借りるときそのことを教えてもらっていなかったようです。この手の実行ゴト師は「少しでも金になればよい」という類がほとんどなのです。時々捕まるゴト師はこれらのチンピラゴト師ばかりです。ちょっと前に「元を断たなきゃダメ1」というコマーシャルがありましたが、これからは、これらのゴト器具を貸し付ける"ゴト師の元締め"の逮捕が絶対に必要です。

以上のことからも、下っ端ゴト師には実行するための手順以外は何も教えられていない、ということがよくわかると思います。話を戻しますが、先に書いたサンドゴトについてはゴト器具が入手できていないため自分自身の目で確かめ切れていませんが、現在早急に調査中であり6月から開催される勉強会までにはなんらかの答えが見つかるかも知れません。

紙一重と思える不良客とゴト師の間見逃す方に問題が

さて、ここで話題を変えて「ゴトって、またゴト師ってなんだろう?」ということを考えてみたいと思います。

私はいまの会社を作るきっかけとなったK産業株式会社には長く在籍しましたが、そのときに「ゴト師は不良客の延長である」であり、「ホール側の油断等から不良客がゴト師になる」ということと、「不良客とゴト師は紙一重である」というひとつの結論を出しました。もちろん異論のある方もいると思いますが今回はこのことだけに絞って考えて見ます。

このK産業入社3年目ぐらいにホール現場の班長を任命されたのですが、当時は不良客がホールの中で多くのさばっていて、客のマナーがとても悪い時代でもありました。一例を上げると、当時は島の上から遊技台に流す玉は細い蛇腹を通していたのですが、大当たりがかかると(玉の)流れが追いつかずに止まってしまうことが時々ありました。そういうときに、客がスタッフを呼ばずに勝手に幕板を開けて蛇腹を叩いたり、遊技台テーブルに両足を乗せてプレーするなどは当たり前のようにやっていました。ちょっと、油断すると前止まりなどでガラスを開けたとき、釘を曲げられるゴト師まがいのことをやられたスタッフもいましたが、そのほとんどが常連客なのです。当時の同僚や先輩はそういうことを見ても見て見ぬ振りをしていて、客ともめそうな場面には絶対に登場することがなく、当然店の雰囲気もよくありませんでした。

班長になりたての私は張り切っていたこともあり、元来客とのトラブル処理を「いやな仕事だ」と思っていなかった私は、逆に「班長の主な仕事は不良客の監視と追い出しにある」と考えていました。それを積極的にやったのですが、それが認められたのか後年防犯部長を任命され、それが結果的にいまの株式会社コスモローム研究所になったのです。ただし、決して自慢話をしているわけではありません。この章の始めに「不良客とゴト師は紙一重である」と言ったことの証明をしただけです。

ルール破り見逃しバイトは客から金を受け取っていた

ことのついでに過去の恥をもうひとつさらすことになるのですが、先ほどのK産業のS店で起きた事例を紹介します。この事件も、「いかに不良客を野放しにしてしまうと店が悪くなるか」ということの見本みたいなものです。具体的な内容については大阪という地域柄とその時代であったために発生したという事件ですが、別の内容としていまでも発生する可能性は今後も十分にありえます。

そのころの大阪はパチンコの交換率が覗個で、ほとんどのホールが全てのセブン機でラッキーナンバー制を採用していました。ちなみに、初回大当たりが3と7のとき、そのまま持ち玉遊技となり、途中奇数での大当たりは継続、偶数での大当たりは交換しなければならないルール決めでした。

私が部長当時のある日のこと、4店舗あるK産業の系列店だけを毎日のようにぐるぐる回っている常連客からとんでもない話を告げられたのです。それは「S店のアルバイト(以下バイト)と悪(不良)客がつるんで悪いことをしているよ。そいつがセブン機コーナーに入るとつるんでいる悪客がどんな出目でも交換しないのを見逃している。しかもバイトは金をもらっている」という衝撃的な内容です。私はこのS店に出向き店長にそのことを告げて、監視カメラを使い2人でそのバイトを追ったところ、一部の客が大当たりになると、そのバイトに空箱を渡していたのですが、どうも、その箱の下側になにかを隠しているような感じでした。

不良客がはびこればあとの始末に手間と時間がかかる

すぐに店長に現場を押さえるように命じ見つからないように見張らせたところ、客がそのバイトに空箱の下に隠した金を渡す瞬間を捕まえることができたのです。その後、そのバイトを事務所に呼びつけ間い質したところ、悪びれることもなく「金をもらっていた」ということを白状したのですが、なんと、毎日合計で8000円から10000円になっていたというからまたまた驚きです。もちろんすぐにそのバイトは解雇しました。しかし、不良客についてもすぐにでも追い出したかったのですが、そのときには他の客の何人かがこの不良客をまねて同じ行為をし出していたため、どの客がやっているのか区分けができなくなっていました。私はしばらくそのS店に張り付き勤務をしてそのコーナーの見張りを続けたところ、1か月ほど経過したころいつの間にかその不良客は来店しなくなりましたが、いったん、こういうことになってしまうと後の処置もいかに大変であるか、ということを思い知らされた事件でした。

ところで、この事件の原因の多くは、正社員がコーナーに入ることがほとんどなく全てバイト任せになっていたためです。先述しましたが、いまはラッキーナンバーなどやっているホールは皆無なので同じ事件がおきることはありません。しかしながら現在のホールを覗くと、500台や600台ぐらいの遊技台を3〜4人のスタッフで見回っているホールもあり、しかもほとんどがアルバイトのようです。ホールは内外において誘惑が発生する機会が多い環境であることは、昔も今も変わっていません。十分に注意したいものです。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。