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ゴトと闘う (2010年7月)

空き台がかなりあるコーナーで急に3〜4人増えたら絶対注意

暗いニュースが多い中、久しぶ りにわくわくする感動的なニュー スが新聞の第一面に掲載されまし た。小惑星探査機「はやぶさ」の帰 還です。人類初となる月よりも遠 い「イトカワ」という小惑星に着陸 して一定の作業をした後、再度エ ンジンを噴射して地球に戻ったと いうのですから驚きという以外言 葉が見つかりません。その間数々 のトラブルに見舞われ2か月間も の長い間通信不能となり絶望的に なりかけたそうですが、それでも 担当研究者たちはあきらめずに昼 夜を問わず通信し続けた結果、「は やぶさ」からのわずかな電波の受 信に成功したそうです。予定では 4年で帰還するはずであったとこ ろを7年がかりで帰還した、とい うのですから感激してしまいます。

まさに「神がかり的帰還」と言 う以外にないのですが、日本人と してこの研究者たちのすごさを誇 りに思えることと、どんなことが あっても「あきらめない心」の大 切さを教えられたすばらしい山来 事でした。


不正対策が進み ゴト報告の件数は 年々減少している

さて、去る6月11日東京会場に おいて、本年の第-回日となる日 遊協不正対策勉強会を開催しまし た。3時間を超える長時間の勉強 会だったのですが、参加された約 230名の方全員が最後まで熱心 に受講して下さいました。また、 昨年に続きお手伝いをしていただ いた〕遊協本部の担当者及び遊技 機健全化委員会の皆様、その他関 係者の方ともども心よりお礼申し 上げます。

ところで、勉強会の中において も話していることですが、近年は 健全化推進機構や各県(都道府)遊 協による自主的立入検谷が定着し ました。この立入検査は半分以上 の遊協が実施していると思われま す。また、遊技機のメイン基板の 強化やぶら下がり対策が進み、そ れとともに最近発売されている新 機種は、磁石感知センサーや電磁 波感知センサーを標準で搭載して きており、以前とは比較にならな いほど遊技機のセキュリティーが アップしています。これらの取り 組みで、いわゆるホール自らが仕 掛ける自殺行為のような遠隔装置 やB物基板等のうわさが大幅に減 少し、ゴト師が仕掛けてくるゴト 行為の手口も大きく変わり、事例 として表面化する手口はアナログ 的なものが大半になっています。 それとともにA-NET等の情報 収集機関に報告される事例件数も 年々減少しています。ちなみに昨 年をさかのぼる5年問のA-NE T報告事例件数ですが、05年=4 25件・06年=371件・07年= 221件・08年=272件・09年 =198件(表不正事案のグラ フ)となっていて、数字的には確 実に減少していることがわかりま す。木年は6月11日現在で茄件の 報告があり、このままのぺースで いけば本年は150件を下回りそ うな感じです。

しかし現場では 対策熱心なホールも 確実にゴト被害に

水を差すわけではありませんが、 報告件数の減少を鵜呑みにして喜 んで良いのでしょうか。私は少し ばかり疑間を感じてしまいます。

このコーナーにおいても時々紹 介している、近畿支部セキュリテ ィー部会の6月度の議事録が届き ました。私はこの不正対策勉強会 ぜ の準備に追われ今回のセ部会は欠 席させていただきましたが、常時 15名〜20名前後が出席している会 議です。私以外は全員が現場の責 任者たちです。この会議の2番目 には必ず「ゴト事例及びゴト情報」 どいう項目が入っていて、出席者 全員がーか月問に白社で発生した ゴト事例を取り上げて掘り下げた 討論を行うのですが、この日の会 議では7件のゴト事例が報告され ていました。


彼ら(部会員)の准かが「最近よ くゴト事例は確実に減っている、 ということを耳にするが現場にい るわれわれにとっては、そんな感 じまったくしないけどなあ」とい うことをつぶやくと、そのとき参 加しているほぼ全メンバーが「そ うだよなあ」と相槌を打っていま す。現場の最前線で働いている彼 らにとっては正直な気持ちである と思え、このときの言葉はまさに 真に迫っています。

前記した7件が多いのか少ない のかは別として、非常に興味のあ る現象といえます。この7件のゴ ト事例は全てセ部会員のホールで の出来事なのですが、彼らは毎月 多忙の中わざわざ時間を割いてセ キュリティー部会に出席していて、 特に最近流行っているゴト手口等 の情報を分析し、自社ホールに持 ち帰り対策を実行している熱心な ホールであるわけです。彼らはよ く「俺のホールはゴト師に好かれ ているのかなあ」とかの冗談を口 にしていますが、セキュリティー をこれだけしっかりやっているホ ールでさえ、毎月のようにゴト師 を発見し捕まえたり追い出したり をしているのです。

他ホールの玉が混在 常連でも 持ち込みは犯罪

ところが不思議なことに、彼ら (セ部会員)の勤め先がある地元の 組合に出席しても「ゴト師が来店 した」とかの話題がほとんど出な いということです。たまに全一国的 になったゴト事例が話題になるこ とはありますが、ほとんど他人事 のような感じで話が進むそうです。 実際に私も前々から感じているこ とですが、セキュリティーに関心 があるホール(地域)と、あまり関 心がないホール(地域)の差はかな りあり、多分ですが、後者のホール はゴト師が来店していても気づい ていないのではないかと思います。

ところで今同も、東京開催の不 正対策勉強会でアンケートを集計 しましたが、参加者の90%以上が 記入してくれました。そのアンケ ートの項目に「あなたのホールに ゴト師と旧心われる者が来店したこ とがありますか?」という質問を 入れていたのですが、209名中 「来ていない」が4名、一「わから ない」が13名、無回答が33名とい う結果でした。昨年集計したアン ケートでもほぼ同様の数字が出て いました。

これは断言できます。日本国中 でゴト師が来店していないホール は1件もありません。現在勤務し ている白社のホールのパチンコ玉 やコインを思い浮かべてください。 すべて自社マークが付いています か?他店玉や他店コインが相当数 混じっているはずです。新規オー プン時には100%自社のマーク が入った玉でありコインであった はずですが、5年ぐらい経過する とほとんどのホールが全体の2〜 3割ぐらいまで混在が進みます。 どうしてこんなことになるのでし ょうか。理由は簡単です。客とし て来店している誰かが持ち込んで いるのです。もちろん、いわゆる 一般客が持ち込んでくるものがほ とんどであると思われます。よく よく考えていただきたいのですが、 いくら常連的な一般客といえども 持ち込みは「ゴト」なのです。な ぜなら、その玉は全て貸玉料を払 わずに遊技して、うまくいけば景 品まで持って帰るのですから。こ のことはわがパチンコ業界にとっ て死活問題でもあるのです。その 上に時々ゴト師グループが持ち込 み他店玉やコインがどんどん増え ていくのです。

まるで普通客のよう 役割分担を決め ピアノ線で仕込む

話を戻しますが、わかっ ていただきたいのは、ゴト 師はいかにも一般客のよう な雰囲気で来店しています。 いわゆる普通のお客様とほ とんど区別がありません。 けっして顔にゴト師と書い ているわけではないのです。 写真1をご覧下さい。ちょ っと古いものですがゴト師 グループが実際に来店して ゴト行為を働き、その後何 食わぬ顔をして帰ったとき のビデオから編集したもの です。


まず矢印先の4人の男がゴト師 ですが、どう見ても全員とも60歳 以上の年齢であると思える集団で す。普通の感覚ですとこれだけで ちょっと油断してしまうのではな いでしょうか。彼らが実行したゴ ト手口はピアノ線ゴトでしたが、 役割分担が決まっていて一番奥の 男が仕込みと下見役(実は約1時 間前の録画にこの男がこのコーナ ーを通り過ぎていた。ちなみにこ のホールの半径2kmほどの周辺 には5-6店舗のホールがある)、 一番手前がリーダーと思われ、2 番目3番目ともども壁役とゴトの 実行役です。その手口ですが、ま ずは什込み役が手前から3番目の 男のすぐ右隣に座りピアノ線の仕 込みを開始します。仕込み終了後 はすぐに立ち上がり別の台で遊技 しているような仕草をしながら玉 が溜まるまで待機します。仕込み 台には3番目、2番目、そしてリ ーダーが順番に移りゴトで玉を出 します。玉がドル箱いっぱいにな った時点で、今度は先ほどの仕込 み役が玉箱を持ちジェットカウン ターまで運びスタッフを呼んで交 換しました。この最後のほうの動 きはちょっと不可解な行動ですが、 おそらく万一発見された場合のた めの準備でないかと思われます。

常に意識を持って 巡回してこそ ゴトは発見できる

このコーナーの担当者は女性ら しい心遣いで、コーナー内や遊技 台テーブルのゴミを何回も拾った りしています。また、一度だけ男 性スタッフが通り過ぎていますが、 残念ながらいずれも気づいていま せん。しかしながらこれはいたし 方ないことで、この機種は当時の CR天才バカボン(大一商会)です が、この時点においてはこのピア ノ線ゴトだけでなく、その他のゴ ト事例も報告がほとんどなくA- NETなども未掲載でした。その ためどちらかというと、警戒が甘 い機種の部類であったわけです。 また、この当時発生するゴト事例 はほとんどがスロット関連に偏っ ていたことも一つの原因になって いたと思われます。

このセ部会のメンバーのホール で度々ゴト師を捕まえたり追い出 したりできているのは、常にそう いう意識を持って巡回しているか らこそ、普通なら見逃してしまい そうなゴト手口でも発見できてい るのです。けっして彼ら(セ部会具 だけのホールだけに現れているの ではなく、周りのホールにも当然 来店しているのです。

繰り返しますが、ゴト師には地 域性などまったく関係なく、ゴト 行為がやりやすいホールであれば、 また標的になる遊技台や周辺機器 があれば全国どこへでも行きます。 ただし、どこへ行っても見つから ないようにゴト行為を仕掛けてく るわけで、こちらとしても それ相当の周到な準備と訓 練が必要なのです。

目的のコーナーに まっすぐ集まり 時問差なく作業

ゴト師グループが来店し た場合の事例動画を何十本 となく見て気づいたことな のですが、どのゴト師グル ープも店内での行動がほと んど同じパターンなのです。 まず1番目ですが、ゴト 師がグループで来店する場 合の多くの理血は、仕込みが必要 な手口(即実行する場合もある) です。これは電子的な器具の仕込 みでも、セルやピアノ線のような 器具の仕込みであっても同じです。

次の2番目が非常に電要なこと で、入店してから目的の場所に着 くまでの行動です。入店する入り 口はたぶん別々の所から入ってい ると思いますが、グループ全員が ほとんどまっすぐにターゲットコ ーナーに向かいます。壁役が立っ ている場合と空き台を占領して座 る場合がありますが、座る場合は 先着している壁役が4-5台(最 低でも3台)の空き台を確保、何 秒か後に仕込み役が座ってすぐに 仕事を始めます。その間ほとんど 時間差がなく、どの実例動画を見 ても必ずと断言できるほど同じ行 動です。おそらくですが、怪しい と思われないうちに素早く仕事 をして、退散したいという心理 が働いているためではないでし ょうか。

このことは重要なことなので先 に一つの発見方法を紹介しておき ます。

空き台がそこそこあるコーナー において、急に3〜4人客が増え たときは絶対に要注意であること を記憶しておいてください。

罪を逃れるため 完全に分業制 知らぬ同士の場合も

少し話しがそれますが、国民性 の違いなのか中国系ゴト師グルー プの壁役の場合は、必ずと言って いいほど座りません。遊技台を背 にして立ち、周囲を確認しながら 羽を広げるように上着や手を広げ て仕込み役の仕事を隠すのです。

3番目は、仮に捕まっても罪に なりにくいように役割分担がしっ かりしていることです。特に最近 のゴト師グループは完全に分業 (写真2)していて、仕込み役(釘 曲げゴトなども同様)、実行役、 玉を交換する役をしっかりと分け ています。中には顔さえも知らな い場合もあるようです。


また、複数なければ役に立たな いゴト器具の場合は、はじめから 分けて持っているため、捕まえて も一つだけでは役に立たないこと がほとんどです。正直腹立たしい のですが、この手のゴト師グルー プは捕まえてもなかなか刑事事件 になりません。対応としては、い まのところゴト行為をやらせない ように先に発見する以外、方法は なさそうです。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。