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ゴトと闘う (2010年8月)

「イタチごっこ」は悔しいがゴト師の研究を上回る執念で

今回のワールドカップサッカー は、日本が戦前の予想をはるかに 超えた闘いをしてくれたおかげで 日本全国がとても盛り上がりまし た。私も普段はプロ野球派なので すが、にわかサッカーファンとな って全試合観戦しました。デンマ ーク戦は午前3時過ぎの開始で、 そこまで起きていようか迷ったの ですが、さすがにこの歳になると 徹夜は堪えるので結局いつもどお り午前-時前に寝てしまいました。 次に目が覚めたのがちょうどハー フタイムに人ったところで、前半 の2点が人った一番いいところは 録画で見ることになってしまいま した。ベスト8をかけたパラグア イ戦では惜しくもPKで負けまし たが、O-1で惜敗したオランダ が決勝戦まで駒を進めたことを考 えると、近い将来、口本もそこま で行けるのではないかと思えるほ どの活躍でした。4年後のブラジ ル開催はぜひともがんばってくだ さい。

勉強会で出たご意見について一緒に考えたい

今年も全匡5ガ所で開催した、 日遊協主催不正対策勉強会も7月 9日の大阪で無事終了しました。 勉強会に参加された方々及びお手 伝いをしていただいた方々、その 他関係者の方々本当にありがとう ございました。

ところで、今年は全会場でアン ケートを書いていただきましたが、 要望や希望・ご批判等いろいろと ありました。今号ではその巾で特 に気になった項目が何点かありま したので、読者の皆さんと一緒に 考えてみたいと思います。

まずは「不正対策を実施する場 合の問題点」についての問いかけ に対してのご意見を、かなりの方 が記載していましたので、これを 取り上げてみたいと思います。

(実際になんらかのゴト事例が発 生しているので)すぐにでも対策部 晶の取り付けたいのですが、県に よって行政のゴトに対する見解の 温度差があり、自主対策部品に対 して許可が下りにくく、メーカー から出る対策部品だけしか許可が 出ない場合が多い。そのためスピ ーディーな対応ができないのです。

この問題はずっと以前からホー ルが抱えている問題であり、ホー ルにとって非常に深刻でありまた 辛い現実でもあります。今回、5 会場から取ったアンケiトにおい て相当数の方がこれと同様な危機 的苦悩を記載していますので、少 し掘り下げて考えてみたいと思い ます。

対策部品届くには 最短でも2か月前後 かかつてしまう

まず絶対的に言えることは、「ゴ トは詐欺行為であり犯罪である」 ということです。たしかに狭い業 界での出来事ではありますが、世 間から逸脱した事件ではないはず であり、いわば泥棒が他人の金品 を盗む行為とまったく同じ類の犯 罪なのです。したがって、当然な がら犯罪から身を守るためにはそ のような危険な筒所があるとわか れば、何らかの対策をして防御す るということはむしろ自然な行為 であるはずです。

どのような環境の社会であって も、不正や犯罪に対する対応とし て大切なことはスピーデイーにや る、ということが非常に重要なキ ーワードです。最近はメーカーか ら出る対策部品の供給が以前と比 べるとかなり早くなりました。そ うは言っても、例えばある種のゴ ト行為でホール側が何件も被害を 出した後に、メーカーにその情報 が屈いて防御方法を探り対策部品 を作り上げる、という手順が必要 ですので、物理的にホールに対策 部品が届くのは最短でも2か月前 後は掛かってしまいます。その間、 その遊技台(周辺機器)は常に危 険に晒されているわけですので、 ホールは監視が非常に大変です。

多くの場合、ゴト事例が発生す る遊技台(周辺機器)は、ほとんど のホールが導入しているような全 国的によく売れているヒット機種 や面白い機種なのですが、ゴト師 はこれらの機種を徹底的に欠点や 弱点を調べた上でそれを見つけ出 し、それに合わせたゴト器具を作 ってきますので、日本全国どこへ 行ってもゴトができるわけです。

道具使う手口には カバーの取り付けが 簡単で一般的だ

ちなみに、裏ロムやぶら下がり のような電了的仕込み部材の場合 は、一説には2万台以上販売され た機種が採算ラインと云われてい ますが、この場合、工場のライン に乗せて量産することでコストを 下げることになりますので、当然 対象台が多くなくては元が取れな いためです。

しかし、セルやピアノ線ゴト等 のゴト器具の場合は、ほとんどが 手作りか或いはそれに近いために 機種的にはそれほど売れていなく てもいいのですが、欠点や弱点に ついても、一度わかったものを突く ほうがずっと楽であり、これもや はりどこにでもある機種(周辺機 器等)のほうを選ぶことになりま す。

さて、対策部品の装着が必要と なるゴト手ロは、ほとんど場合、 何らかのゴト器具を使ったゴト行 為となります。例えばパチンコで のセルやピアノ線ゴトや、スロッ トでのコイン戻しゴト等の場合、 対策として一番簡単で良い方法は その道具が入りにくくするか、ま ったく入らなくするためのカバー 的なものの取り付けが一般的です。 感知器で警報を出すような対策 方法も考えられますが、費用も相 当かかるため現実的ではありませ ん。

対策部品が届いても 警戒を緩めては 敵の思う壺にはまる

ホールとしては当然ながらいち 早く対策をしたいのですが、先述 の理由等からわかっていながらこ れらの対策ができないわけです。 このような無防備状態で営業を続 けることになりますので、いつゴ ト行為をやられてもおかしくあり ません。メーカーの対策部品が届 くまでスタッフの監視だけでゴト 行為を防御するわけですが、彼ら (ゴト師)はそれほど甘くありま せん。ゴト師はそういう事情を十 分にわかっていますので、そうこ うしている内にまた同じゴト行為 を繰り返されてしまうわけです。

しかも、ようやく待ちに待った メーカーからの対策部品が届きす ぐに取り付けたのですが、しばら くしてからまた同じ手口のゴト行 為にあって被害を出した、という ことも度々起きています。ゴト師 は一度ゴトが成功した機種は対策 部品が付いた後も、ゴト器具の形 状等を変えながら執拗に調査を繰 り返します。特にメーカー対策部 晶の場合はそれが標準となってし まう上に、ホールは対策部品が付 いたため警戒も緩みゴトがやりや すくなるため(ゴト師としても) 力が入ります。

「いたちごっこじゃないか」と 思われている方も相当いるのでな いでしょうか?そうなのです。過 去のゴト事例を振り返ると良くわ かりますが、ゴト行為はまさに「い たちごっこ」の繰り返しなのです。 しかし、「いたちごっこ」いわば 体力勝負であり、根競べでもあり ますからあきらめたほうが負けと なります。

同じゴトであっても 実行簡単にするため どんどん改良する

なお、絶対に誤解しないで頂き たいことがあります。先ほど、メ ーカー出しの対策部品が超えられ てしまっている話題を取り上げま したが、私はなにも「メーカー対 策部品ではだめだ」と云っている わけではけっしてありません。

ゴト行為に使われるゴト器具は 職人的な専門の作り手が作ってい るわけですが、彼らは全ての遊技 台(周辺機器)を対象として徹底 的に欠点や弱点を探し描し、それ に合わせてゴト器具を作り上げて きます。一度、成功した 遊技台や周辺機器は何度 でも挑戦を繰り返し例え ばセルピアノ線ゴトやコ イン戻しゴトの場合、使 用するゴト器具等の形状 次第でゴト行為の成否の 全てを決定しますので、 少しでも実行しやすくな るように同じゴト手口で も形状をどんどん改良し てきます。メーカー対策 部品が装着された遊技機 や周辺機器等もその線L にあるわけですから、当然のよう に、形状を変えてテストを繰り返 すことになります。

ちなみにセルゴトの場合は、通 常、セル先を容易に目的の箇所に 到達させるための通称「ゲタ」と 呼ばれる誘導ガイドと一対ですが、 そのゲタで遊技台等に無理やり隙 間を作ります。そのため非常に頑 丈に山来ていて真ん巾に掘り込み が入っていて、そこをセルがぴつ たりと添うような構造になってい ます。いずれにしてもかなり手先 が器用な人間が作っていることが 伺えるほどみごとなまでに精巧に できています。








規則をぎちんと守り より素早い対応が 可能になるように

ところで、最近はセルゴト等で も数名のグループで来店すること が多く、捕まっても罪になりにく くするために役割分担がしっかり していて、ゲタを挿入する者(ほ とんどの場合これがリーダー格)、 セルを挿入する者、実際にゴト行 為を実行する者が全て別々です(玉 交換も別々の場合もある)。

ゴト行為は犯罪なのですから、 それをいち早く止めるのは大げさ な話ではなく国民の義務でもある はずです。しかしながら、ホール 側は捕まえてもなかなか立件が難 しい環境の中で、ゴト師側はすで に発見した弱点や欠点に対してこ こまで準備をしてやってくるわけ なのですから、わかっている弱点 や欠点の修正は間髪を人れずにや る必要があるわけです。

わが業界にはきびしい規則があ ってそれをきちんと守っているか らこそ、世間からも認められまた 繁栄もできていることは疑いあり ません。がしかし、この手の輩(ゴ ト師等の不正を仕掛ける者)が存 在していることも確かなことであ ります。彼らに甘い汁を吸わせな いためにも犯罪を防止するために も、軽微な変更の温度差がなくな ってもう少し素早い対応が可能に なることを祈るこのごろです。

電磁波ゴトでは 知識と資金が必要 手クレぶコツと貫机

今回のセミナーでは通称「手ク レ」と呼ばれる、手動クレマンゴ ト器具を数種類紹介しましたが、 このゴト手口は電磁波ゴトととも に最近のゴト行為の主流になりつ つあります。

電磁波ゴトは、昨年から本年に かけてグローリー製サンドがター ゲットなり、その後メーカーは対 策として鉄板製のカバーを作成配 布して、一応の終焉をみたはずな のですが、その対策部品を越える 小型化された新たな電磁波ゴト器 具によるゴト事例が発生し始めま した。コインサンドの払い出しシ ューターの内側に挟んだり、シュ ーターのないサンドでは払い出し 口からアンテナを直接差し込んで 電磁波を発射するため、メーカー が配布した対策部品では対応でき なくなっています。

それでも電磁波ゴトの場合は、 使用するゴト器具を作るには相当 の知識がないと製作不可能であり、 購入するにしてもそれなりの資金 が必.娑です。しかしながら、前者 の手クレ用ゴト器具の材料は、ホ ームセンターに行けば手に入るプ ラ板と銅板だけで、製作も平面加 工だけなので誰にでも作ることが できる代物で、これからもかなり 流行るのではないかと思います。 ただし、ゴト行為の実行にはそれ なりのコツと慣れが必要です。ち なみに私もちょっとやってみまし たがエラー続出でした。年配者で はちょっと無理なゴト手口のよう です。そのためゴト実行者の多く は20歳前後の若者が多く、先日関 西で捕まった二人組みも18歳と19 歳の男でした。このときは二入で 来店していましたが、当然、単独 犯がほとんどです。

今回の原稿の最後にこのゴト手 口の特徴を記載してみましたので、 参考にしていただければ幸いです。 セル(手クレ)を使用したクレジ ット上げゴトの特徴

(1)今のところ異物挿入センサー のある台での事例は見受けら れない (2)閉店時の誤差コインとして発 覚する (3)コイン投入ロに手を添える動 きに不自然さがある (4)あまり多くのコインを詐取し ない (5)熟練していないとエラーを起 こしやすい (6)若年層に多い

以上、十分に警戒をしてください。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。