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ゴトと闘う (2010年9月)

焼き直しだが手の込んだ外壁を破り侵入した手口

相変わらず暗く辛いニュースばかりが氾濫しています。その中でも最近特に目立っていることが児童虐待と100歳以上の高齢者の不明事件ですが、「整いました」で一躍有名になったWコロンではないですが、どちらも「家族」というキーワードが入ります。

前者は父親が「しつけ」という名目で、わが子の背中に灯油をかけライターで火を付け大やけどを負わせた事件に続いて、23歳の母親が1歳9か月と3歳の子供を放置して死なせた事件が目新しいところですが、その他にもこの手の事例は相当あるようです。後者は生きていれば113歳のはずの方がすでに30年前に亡くなっていた。ということがきっかけで改めて全国調査したところ、なんと100歳以上の方だけも230人以上の方が行方不明状態ということが判明したというのですから驚きです諸外国からは「日本の長寿大国は疑わしい」という侮辱した批判をされていましたが、私個人の意見としましては、トータル的に典型的なお役所仕事の結果ではないかと思っています。

20年前からあり相当数の実被害最近は宝石店へも

さて、私は「ゴトは過去の手口の焼き回しがほとんどだ」といつも言っていますが、その典型的焼き回し手口である「外壁一に穴を開けて侵入し、基板を交換する」というゴト事例が7月に発生しました。今同はこの事件を詳しく紹介しますが、止直この手の手口は終わったと思っていたので私でさえちょっとびつくりしています。犯行が実行された壁穴が丁寧に修復されていることから考えると、この手のグループはいまだ健在で他でも同様のことを実行しているはずだ、と改めて思い直しました。私のつたない記憶では、この壁穴手口の初発生は2001年だったと思うのですが、そのときは東京が最初でした。その後各地に広がり5年ぐらい問、相当数のホールが実被害にあった事例で未遂も相当ありました。また、この予口は後には宝右店強盗でも使われ何千万だか何億円だかの被害を出しています。

店長が予感を覚えチエツクしたら3台に不正基板が

夜間侵入ゴトそのものはすでそれ以前にまた同時期にも発生していますが、手口としては換気扇の溝(換気扇を外す。帰りにはきちんと元に戻していた)からや、排煙窓からの侵人(排煙窓枠内側のガラスやプラスチック等を固定するために塗りつけてあるパテを削り取って、そのガラス等を丁寧に外して侵入し後に付け直すという方法)するという手口が主流でした。ちなにみに店内の天井に設置してある熱感知センサーは、なんと営業巾に長い棒の先に付けてある熱感知センサー無効カバーを一瞬で貼り付けてしまう、という神業的な手口で無効状態にされたとリユ畢例もありました。

さて、今回の事例に戻ります。発覚の端緒は某ホール店長が本年7月末に「ある特定台の出玉状態がさほど大きな赤は出ていないが、なにかちょっと変だ、もしかしてゴトをやられているのでは?」といやな予感を覚えました。そのためホールコンピューターのデータの精査と閉店後にその特定遊技台の検査を実行したところ、CR牙狼2台、CR北斗の拳-台の計3台の不止基板を発見した、という経緯です。

狭い通路状なのに四角く切りとり犯行後に修復まで

狭い通路状なのに四角く切りとり犯行後に修復まで交換手口の経緯解明のため遊技台裏側の壁を見渡したところ、四角い切込みが入っていることが確認できました。その切込みがある外壁は隣接するビルと間に必然的にできている狭い空間通路(画像1)なのですが、今回の犯行箇所も人。人がやっと通れるほどのスペースしかなく、通路の両側には鍵がかかっている鉄格子が付いていて、途中真ん中ぐらいが10cm以内の付き間になっているため通り抜けることはできません。ただし真上は抜けていますので、鉄格子を上りその上のテント屋根を越えるか、或いはどちらかの建物の屋根に上り真上からはしごのようなものをかけて降りることが可能ではあります(この鉄格子の写真は都合により掲載できなません)。


ちなみにこのホールはオフィス街にあるため、夜中はどちら側の通路入り口とも前を人が歩くようなことがほとんどないため、犯人はかなりゆっくりと仕事ができたものと思われます。

破られた壁を確認するため、鉄格子を開けて遊技台が設置されている真後ろの位置まで行ってみたところ、雨風で焼けたグレーに近い白壁に3cm幅ほどの真新しい白い修復痕が縦横30cm×45cmほどの四角枠(画像2)を形成していました。この四角枠部分が切り取られそこから出入りしたことが断定できます。その修復痕は色こそ違っていますがかなりきれいに修復されていることから相当手馴れた者の仕業であることが読み取れます。その上おどろくほど正確に目的の遊技台の真裏をくり貫いているのですが、店内を何回も歩いて歩測したものと思われます。


不正基板を設置その後正規チップを移し喚える作業

不正基板を設置その後正規チップを移し喚える作業交換された基板ですが、手口は現時点において不。止基板の手口として一番流行っている通称ゲタと呼ばれる、メインチップ台座への不正チップ仕込みです。ご存知のように現在のLET製V4チップは偽造防止のためID番号が連番になっていないので、偽造しようとした場合相当の手問や資金がかかるわけです。現実にV4チッブの偽造はほとんどなくなっていますが、といっても皆無になったというわけではなく、それでも偽造品を作ってくる輩がいてサミi系でこの偽造チップを使った不正基板が発見されています。

今回の場合の仕込み現場の手順を推測すると、以下のような手順ではなかったのかと思われます。この不正基板のメインチップそのもののID番号は店が登録したものでありましたので、あらかじめメインチップ台座へ不止チップが仕込まれている基板本体を準備して持ち込み、目的の基板を開き正規基板とそっくり交換します。次に正規基板から正規チップを外して不正基板に移し替えて基板ケースをかぶせ直して作業終了です。メインチップのID番号管理は重要ですが、基板点検時にはこのような手口の不正があることを念頭に入れておくことも必要です。

この不正基板についてもう少し詳しく解説します。まずCR牙狼から説明します。画像3ですが、ケースの横側からメインチップを縦に撮った写真です。チップ真下の隙間にグリーン色の線(赤色線円内)のようなものが写っていますが、これが不正チップを乗せてある小さな基板です。次にカシメを外す方法ですが、カシメの裏側をドリルでぎりぎりまで穴を開け(画像4)、そこに鉄棒等を差し込みハンマーで軽く叩くとカシメが抜けます。この不正基板の特徴と言えるのですが、メインチップを抜き取ったところ(画像5)のように、なぜかその下側の不正チップを隠すような感じで同色のプラ板を張ってあったのですが、正直なところ意味不明です。CR北斗の拳のゲタ(画像6)にはこのようなカバーは張ってなく、これまでに発見されたこの手の不正基板のゲタも全てむき出しでした。防犯協会シールはめくって貼り直してありますが、地域が断定されるため写真の掲載はしません。





次にCR北斗の拳ですが、カシメは裏側を壊し(画像7)カシメを抜いています。この基板の場合、メインチップ縦側からの隙問では小基板は確認できませんでした。


どちらとも基板裏側の半田部分はきれいでした(画像8がCR牙狼、画像9がCR北斗の拳)。念のため、レントゲン写真を添えておきますので参考にしてください(画像10がCR牙狼、画像11がCR北斗の拳)。





精巧な作りのうえ打ち子も変えて長い間抜くつもり

このホールの責任者が、仕込まれた時期について調査するためホールコンデータを遡って確認したのですが、3台とも大きな赤が出た日がありません。最近のゴト事情がそうであるように、おそらくゴト師は長い期間抜くつもりでちょびちょびしか抜いていなかったものと思われます。また、監視カメラの録画を確認しましたが、3台ともほとんどの日で打ち子が変わっているほど手が込んでいます。この手のゴトは仕込む人間と打ち子は分業化しているのは当たり前の話なのですが、今回の場合も組織化された集団であることは間違いなく、当然ながら他でも同じことを実行していることが推測できます。

ところでこのところ、外国において目本人が交通機関事故に巻き込まれ死亡したり重体に陥ったりした事件が連続して発生していますが、なにかひとつ起きると同様の事件が連続発生するってことはよくある話です。この壁破り事件前後にもう一つの不正基板がまったく別の地域で発見されていますが、その不正基板はいままでにないほど非常に精巧な作りになっていて、本当は今号で写真等を紹介したいところなのですが、少々事情があって現時点においては残念ながら公表できません。来月号でなんとかそのあたりをクリアして紹介したいと思っています。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。