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セキュリティー温故知新 (12月号)

2011年のゴト事例を振り返る

本年もいよいよ最終月となりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
それにしても、今年は辛いことが沢山ありました。極め付きはなんと言っても、いまだ避難所生活を余儀なくされている方が7万人ほどいる3月11日の東日本大震災です。そのときテレビでは、大津波の発生と同時に大きな船が何隻も流され、それが濁流となり高い堤防を超え、町そのものを飲み込むという、まさに悪夢のような光景が映し出されていました。そして安全神話がもろくも崩れた原発事故による広範囲な地域での高い濃度の放射能漏れ、9月には十津川田辺地方の集中豪雨による山崩れでの集落の崩壊、10月に入ると海の向こうのタイの大洪水、などなど数え上げたら切がありません。これらの災害では多くの人命が奪われていますが、改めて心から哀悼の意を表します。

昔から、怖いものの代表として地震・雷・火事・親父(いまは昔の面影がない)と4つが言われていますが、津波も含む水も本当に怖いですねえ。
世間の話題はこれくらいにして、一転わが業界、とりわけ私の専門であるゴト関係の話しに戻します。先月号では、この題名になっている「温故知新」の由来を書きましたが、今号は2011年の最終号ということでもあり、本年中に特に目立ったゴト事例を簡単に振り返り、分析してみたいと思います。

「大当たり直撃ゴト」から始まった2011年

まず1月は前年11月に発生した「大当たり直撃ゴト」(画像1)の続きで明けました。発生当初は多くの業界関係者が実際の事例動画を見ているわけでもなく、また、業界の常識として「空間で大当たりがかかってしまう、ということはありえない」との思いもあり、口を揃えて「電磁波だけで大当たりがかかるわけがない。なにか仕込みがあるのではないか?」という関係者がほとんどした。私も正直、発生当初は「まさか」との思いでしたが、初発生時から「ホールを転々としている」ということを聞いていましたので、「仕込みをするのにはちょっと無理がある」と思っていました。それに加え、関東で初発生してから約10日後の11月17日に、大阪のホールの「沖海2」(画像2)で発生した事例録画を入手、それを見て「間違いなく仕込みはない」と確信できました。直撃ゴトの主流はその後、「大海スペシャル」(画像3)に移行、いまは甘デジのアグネスで発生中であることに加え、保留上げゴト等もいまだ健在です。この直撃ゴトについては、メーカーの三洋から対策としてシールドパネルが配布されています。

日遊協近畿支部セキュリティー部会が去る11月8日に部会員のホールをお借りして、どの程度防御できるものなのかを実験してみましたが、効果はかなり高いものでした。その詳細についてはこの号でご報告したかったのですが、紙面の関係上今回は見合わせました。ただ、電波ゴトのルーツは、電子ライターやトランシーバーによる偶然な誤作動からと言われていますが、常に業界を悩ましてきたゴト行為でもありますので、今後の号でじっくりと取り上げていきたいと思っています。

パチンコに多いアナログゴト

パチンコ関係で本年中に発生した他のゴト事例を上げてみると、ちゃちなアナログゴトだけとなりますが、パチンコのセキュリティーが強固になったためゴト師側もかなり攻めあぐんでいる、という一つの証拠なのかも知れません。

ところで、その他のそのちゃちなアナログゴトでは、変形玉(画像4)と糸付き玉が各地のホールでかなり発見されていますが、この二つは使用目的が微妙に違ってきます。

まず変形玉ですが、電磁波ゴトを実行するための補助具なのです。この玉を誘導して賞球センサーにはまったままの状態を作り出すことで、電磁波を受けやすくするわけですが、この状態で電磁波を発射すれば好きなだけ賞球を獲得できます。つまり、この玉が出てきたホールには必ず電磁波ゴト師が来店している、ということを証明しています。ちなみにこのセンサー玉止め電波ゴトは、すでに2004年に「CR海物語6」(画像5)で発生している復活ゴトなのですが、そのときの手口はセルを賞球口から差込みセンサーの真下で止めておいて、普通に遊技をして玉を止めていました。

次に糸付き玉は、概ね他の玉をワープ等への誘導が目的です。これも非常に効果があり、ワープ釘の最上段ぐらいに引っ掛けられるとスタート回数が倍以上上がります。

スロット人気に伴いゴト行為も増加

スロットに目を向けると、このところお客様の付きがよくなってきた反面、ゴト行為もかなり発生しています。特に目立っているのが緑ドンで始まったARTのゴト行為ですが、その手口もショートゴトあり、仕込みゴトありと様々です。

例を上げると、ショートゴト手口では、ワンベットやマックスベットを外す、ドアの隙間を大きくしてセルを差込む、刃の付いたセルでハーネスのビニールカバーに傷を入れて線に直接触する等々ですが、最近では、カシメカバーしている箇所を無理やり破壊して行ったゴト行為も発生しています。

仕込みものとしては、蓑虫タイプやフィルムタイプのぶら下がり等もありましたが、新鬼武者ではサブ基板(画像6)の不正改造が暗躍しました。このサブ基板のメインチップは書き直しができるロムであるため、見た目にはまったく変化がありません。正負の判別は基板ケース等のキズ等を見つける以外ない代物です。いまだ不正基板が付いたままの状態でホールに残っている可能性もあり、特に中古機購入時の点検は相当の注意が必要です。

パチンコではアナログゴトが大流行ですが、スロットにおいても同様です。それは、手クレと呼ばれる手動型クレマンゴトの横行です。クレマンゴトは約8年前に初発生したのですが、そのときはもちろん電動タイプで登場しました。そのときのゴト器具はかなり高価な値段で取引されていましたが、いま発生している手クレ用のゴト器具は、ほとんど原価がかからないと言えるほど安く製作できます。プラ板等をセレクタに合わせて加工するわけですが、わかっているだけで7〜8機種ぐらいの手クレゴト器具を確認できています。このゴト器具は使い方がけっこう難しく、熟練にならないとすぐにエラーを出してしまうほど技術がいるため、これを使うゴト師はほとんどが若い年齢のものがほとんどです。メーカーがクレマンゴトのための対策をしているのですが、それを上手にかいくぐるためにプラ板を巧妙に曲げることや、またコイン戻し用のボタンを悪用するなどして、エラーを出さない工夫もしています。この手クレゴトは意外と知られていませんので、この原稿を読まれた方は十分に警戒してください。

 

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。