ホーム > 特集・メディア > 2011年2月

ゴトと闘う (2011年2月)

あっという間に「ぶら下がり」被害1億円超も被害届はなし

すでに多くの方が読まれたと思いますが、1月12日付けの各新聞のインターネット版に以下の記事が掲載されていました。「パチンコ違法改造で1億4000万円荒稼ぎ』という見出しです。

中国人など9人逮捕

埼玉県警国際捜査課と川口署、蕨署の合同捜査班は11日までに、パチンコ台に大当たりが出やすくする裏ロムを不正に取り付け、出玉を盗んだなどとして窃盗などの容疑で中国人と日本人の「ゴト師」グループ9人を逮捕した。メンバーは見張りや打ち子などに役割分担。営業中の店内でわずか数分でロムを設置していたという。関東地方など1都10県を移動。この1年で推定1億5000万円程度を荒稼ぎしていたとみられるが、迅速な手口だったためか、店側からの被害届は1件も出ていないという。

逮捕されたのは埼玉県川口市、無職高宇鵬容疑者(31)ら29〜40歳の中国人男4人(3人無職、1人職業不詳)と、28〜43歳の日本人男5人(3人無職、2人自称トラック運転手)の計9人。いずれも埼玉県と都内に居住している。

逮捕容疑は、9人は共謀して昨年6月25日午後、東京都立川市のパチンコ店でパチンコ台1台に裏ロムを設置し、出玉約1万5000個(約4万6000円相当)を盗んだ疑い。一部の男をのぞき、おおむね容疑を認めているという。

1台に数分で付ける役割分担もしっかり

グルーブは役割分担しており、手口は巧妙かつ大胆。県警によると、まずパチンコ店の営業中、「運転手役」が運転する車に乗り5〜6人で入店。不正に大当たりが出やすくなる部品「裏ロム」を「取り付け役」の男が、何らかの手段で台のかぎを開け、1台だけに数分で設置してしまう。その間「壁役」が周囲から見えないよう遮り、店内を「見張り役」が巡回したという。数時間後「打ち子役」の男がその店に1人で入店。裏ロムをセットした台に座り、特殊な打ち方をして大当たりを出しまくる。13〜14箱(1箱約1500玉)程度出したところで終了。換金するパターンが多かったという。

グループは1店につき裏ロムを設置するのは1台のみで、1日に5店前後に設置する…などと決めていた模様。1日40万円程度得ていたとみられ、単純計算で年間推定1億4000万円前後荒稼ぎしていた可能性があるとみられる。少なくとも約-年前から関東地方や周辺の1都10県に出没していたというが、設置に気付いていない店が多いとみられ、店からの被害届は1件もないという。数年前から不正行為をしていたと供述している男もいる。

警視庁などによると、羽田空港の国際ターミナルで正午過ぎ、入国管理局の職員が逮捕状が出ている中国人の男を発見しました。職員が事情を聴こうとしましたが、目を離したすきに男は逃走したということです。警視庁は、空港周辺に緊急配備を敷いて警戒しましたが、行方は今も分かっていません。男は、東京や埼玉などのパチンコ店で犯行を繰り返していた窃盗団のメンバーで、警察が行方を追っています。ということです。

この文面の中では「裏ロム」となっていますが、私どもが日常的に使っている業界用語で言う「裏ロム」ではなく、実際は「ぶら下がり」(写真1)のことであると思われます。警察の発表上、「ぶら下がり」というものにすると一般の方の理解がむずかしく、一般的に普及している「裏ロム」という言葉を総称として使ったのではないかと考えられます。

報道前に記者から取材 「営業中でも設置可能か」

正直なところ第一報を読んだとき、私は一瞬「えっ、うそ!」と思ってしまったのですが、別の新聞記事では一部の逮捕者が自供をしている、ということも掲載されていたので事実であることを実感しました。

実は、この報道があった5日前の1月7日に某大手新聞の関東圏支局の記者から弊社に電話があり、その中でその記者は「パチンコの不正部品でハーネスものがあり、それって営業中でも簡単に付けられ、ゴト師グループが方々のパチンコ店で取り付けているものなのですか?」という内容の質問をしてきたのです。その時点におきましては、ことの真意がまったくわからなかったことと、新聞記者という触れ込みでしたので業界のマイナスになるようなことはしゃべれない、と考え、私は「まず、ハーネスものといっていますが、それは業界用語でいう"ぶら下がり"或いは承ら下げ〃と呼ばれているものだと思います。確かに訓練すれぱ素早く付けることは可能で、いまでもその手の事例はたまに発生してはいます。ただし、一昔前はゴト師が集団で来店して、多数のホールに"ぶら下がり"を付けて荒稼ぎをしたなどの事例はけっこう頻繁に発生していましたが、いまはそういうことを受けてホールの防犯意識も相当高くなり、遊技台の鍵もセキュリティーの高いハウスキーを付けているため、あちこちのホールでぶら下がりが付けられているということは無いと思います」という答えを出したぱかりだからです。

営業中にゴト師がぶら下がり等の不止部品を付ける場合は、@壁役が特定台を取り囲む(ほとんどの場合、この時点で遊技台の鍵を開けている=流通キーの場合は合鍵を使う。また、ピアノ線等で開ける場合もある)、Aその中に仕込み役が入る、B裏パックのフック等を緩め開く、C正規の部品を取り外す、Dぶら下がりを付ける、E裏パックを閉め直す、F遊技台を閉める、というような工程になります。これにかかる所要時間は、メーカーや機種によってけっこう違いがありますが、なれれば20秒前後から長くても1分前後で済ませることが可能です。(写真2)は、ぶら下がりの取り付き状態を説明するために、基板の外側に取り付けた写真です。これらが全て裏側に隠されます。

店が気付いてないのになぜ警察が発見したか

元の話に戻ります。そのときにはいま流行っているゴト手口の話もしたのですが、彼はそれらの話には興味を示すことなく"ハーネス"ということを何回も繰り返していたのです。後日、私は「なるほどそういうことだったのか、警察発表以前に情報を入手していたのか」と気が付き、彼に改めて電話を入れて私が持つ2つの疑間点を確認してみました。

1つ目は1月7日に私に電話してきたのは、「今回、報道されたことがリークされたためなのか」2つ目が、一番の疑問点である、「なぜホールでさえ気が付かなかったゴト行為を警察が発見することができたのか」という点です。

彼は1つ目を「その通りです」と答えた後、次に2つ目の一番知りたかった件について彼は「警察がマークしていた不良外国人数名が頻繁にパチンコ店へ出入りし、また入り浸りだったことを不審に思い徹底調査したところ、ホール内で不正をしていたことが判明した、ということだそうです」との説明をしてくれました。私は「なるほど、そういうことなのか。やっぱり日本の警察ってすごいんですね」と、思わず相槌を打ってしまいました。

ところで、ホールからの被害届が1件も出ていないということと、別の報道では200店舗から300店舗に裏ロムを取り付けていた、ということが掲載されていました。まず前者ですが、ホールでこれらの不正部品を付けられたとき、〈いつからなのか〉と、被害く金額はどれだけなのか〉ということがはっきりしない、ということが妨げになり被害屈を出していないものなのだと思います。業界全体で被害届が出せるようにこのへんのことをまとめる必要があるのかも知れません。

また後者ですが、私はこの数字はちょっとオーバーではないかと思っています。確かに1年間で約1億4000万円を荒稼ぎとありますが、100店舗以内ではないかと考えています。

コツなどない、隅々まで丁寧に調べる以外ない

次にちょっと気になることが関束中心の1都10県となっていることです。先ほどの記者に聞いたところ「場所は分かりませんが、関西の県も入っているようです」ということを言っていました。いずれにしても現在においても不正部品が発見されないまま、営業を続けているホールがあるようです。この項の最後として、先に"ぶら下がり"の取り付け手順を記載しましたので、見つけるための手順を掲載したいと思います。実は発見のためのコツなど一切ありません。まずは裏パックを90度以上の角度に開放するのですが、そのときにそのラインのハーネス類はいやでも外すことになります。その上で隅々まで確認することで99.99%は発見できます。残りの0.01%は単なるボーッ、としていての見逃しです。もちろん、見るポイントはあります。これはわれわれプロでも同様で、時問をかけて丁寧に検査するということが絶対的な基本なのです。当たり前のことですが、不正を実行する者はとにかく見つけにくいように隠すわけで、その上ますます小型化しています。裏パックを閉めたまま、懐中電灯を照らして次々に台を移動していくような検査手法を取る方もいるみたいですが、これでは見つからないものの方がずっと多くなります。

毎日5台〜10台点検を

また通常の検査では、ぶら下がりだけを注意しておけばよいというものではなく、当然メイン基板等も含むわけでこれも同様にあらゆる角度から見る、ということに変わりません。

ホールでは毎回、毎回それをするわけにはいきませんので、少なくとも全国的に売れているメイン機種を中心に丁寧に検査してシール等で封印する。毎日5台か10台程度の台数を点検する、ということを繰り返せば、仮に不幸にして不正部品を付けられたとしても、何日か後には初めに戻るので早ければ半月前後で発見できるわけです。この点検の注意点として、他の用事と重なるとどうしても後回しになってしまいがちですが、例え、台数を減らしても必ず毎日継続するということがポイントです。もちろん、ホールコンピューターのデータとの組み合わせ等も必要なことは言うまでもありません。

あの直撃ゴトの内容はかなり判明してきたが

さて、先月号でも取り上げた電波発射機による大当たり直撃ゴトですが、かなりのことが分かってきました。ただ、そうは言っても非常に専門的なことを含んでいて、私としても知ったかぶりはできませんので、言えることのみを掲載します。

ところで、この関連事例として、先日大阪の某ホールに14人の集団が現れ全員が大当たりをかけた、ということが、A-NET等に掲載されていました。残念ながら詳細は不明なのですが、今回被害にあったホールはかなりの繁盛店で開店時の飛び込みも相当あり、その開店時のどさくさにまぎれて同時入店しゴト行為を実行していますので、どの時間帯であっても十分にご注意下さい。

さてゴト器具ですが、「沖縄2」の場合は、ある目的からアンテナを基板のある箇所に近づけることが必要であったため、右下側からアンテナがセットされたセルを差込みそこに到達していました。その後、左手に持っている電波発射機から、電波を出し、大当たりをかけるわけです。

しかし、「大海」に関しては右からのセルの挿入はまったく必要ありません。一体化されたゴト器具で大当たりをかけます。それも電波を1回発射すると玉の入賞がなくても回転を始めそれが全て大当たりになります、つまり、5回発射すれば4個の保留玉も全て大当たりになるわけですがそれだけではありません。通常チャッカーの真下にチューリップがありますが、その保留玉も上げてしまうため連続発射すると9連チャンが確定してしまうのです。

代打ち禁止の徹底を

さて対応と対策ですが、まずは対応策として私は昨年の勤務最終口にまずは「代打ち禁止」のポップを貼りそれを徹底すべき、ということを提案しそれを流しました。常連客との兼ね合い等があり、大変なことは分かりますが、ゴト師に不正な金を取られることイコールまたそれが資金となってゴト行為をしてくるのですから、なにかを我慢する以外には無いと思います。ちなみに私がホール現場にいるとしたら絶対にこれは採用します。対応については他にもありますが、紙面の関係上残りは私のブログを見てください。

最後に今同の電波発射機の電波は非常に特殊です。電波感知機の設置は重要な対策になってくると思いますが、感知機は全ての電波を受けるというものではなく、それに対応した目的のために作られているものがほとんどです。今同の電波には反応しないようなタイプもあることを理解して導入する場合は慎重に選択してください。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。