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セキュリティー温故知新 (1月号)

ゴト行為をしにくい環境作りが最重要課題

新年明けましておめでとうございます。
本年は辰年です。昨年は大震災の影響等もあり、あまり景気の良い話は聞かれませんでしたが、今年は辰年にあやかって昇り竜が如く良い話題に包まれたいものです。

メーカーの対策部品でも完全には防げない電磁波ゴト

さて昨年の11月8日(火)になりますが、わが日遊協近畿支部セキュリティー部会主催による電磁波ゴトの実地検証テストを試みました。当日は日遊協会員企業でセキュリティー部会にも社員さんを出して頂いている、E商事株式会社さんのホールをお借りして実施しました。 このテストの目的は、

  • 1.三洋が配布した大当たり直撃ゴト対策用メッシュフィルムのシールド効果テスト
    • (ア)大当たりノイズ受信に対する効果
    • (イ)電磁波発射に対する減衰効果
    • (ウ)その他
  • 2.ホール内における電磁波発射効果及びノイズ受信感度の違いはあるのか?
    • (ア)ホール内において遊技台の設置位置による電磁波発射及びノイズ受信の強弱の有無。
    • (イ)各島における同上の有無。
    • (ウ)他の機種或いは他の設備等による影響の有無。
    • (エ)その他
  • 3.海系以外の機種のノイズ受信等の調査
  • 4.その他

等です。
検証結果 ですが、まずは1の件です。(ア)及び (イ)については非常に効果があり、大海SPでのテストでは正面からのノイズ受信及び発射攻撃はほぼ不可能でした。ただし1(イ)については、シールドされている範囲が正面のみであるため、高周波電磁波発射機による下皿などからの攻撃については当然ながら防御不可能です。配布されているシールドはあくまでも直撃ゴトを防ぐものであり、たしかに電磁波の減衰効果(表1は、大阪住友セメント樺供の電磁波減衰テスト結果です)は認められますが、完全に遮断するものではない、ということが再認識されました。

次に2の件です。(ア)については、遊技台が設置される場所によるノイズ受信に対する影響は思った以上にあり、(イ)及び(ウ)も同様でかなりのばらつきが見られ、ほとんど反応しない島と簡単に反応する島があることを確認できました。ただ、それが他の機種の影響なのか、或いは他の設備(反応しなかった島天井にはインカムの中継機が設置されていた)による影響なのかは、かなり大掛かりな調査が必要です。

「直撃ゴト」の実態

ところで私は仕事柄、一昨年から昨年にかけて発生した「直撃ゴト」の実行録画を何本か見ていますが、非常に疑問に思ったことが2点ありました。


まずは(1)、なぜか大海SPの直撃ゴト実行録画で成功しているものは、ほとんどが島端であることで、何本か台間監視カメラで撮った島の真ん中あたりのものはいずれも失敗していることですが、それにはなにか理由があるのだろうか?ということです。
次に(2)、ゴト器具についてですが、なぜ沖海2の方が先に登場したのだろうか?という疑問です。私はどう考えても大海のほうがゴトを簡単にできる、と考えていました。


それは、沖海2のゴト器具は大当たりノイズをメイン基板から拾うため、先に受信用のセルを差し込み、それをメイン基板のIDナックチップまで到達させなくてはなりません。セルを差し込むのには、遊技台を持ち上げて先にゲタを差し込み、それに沿って挿入するわけですから、手間はかなりかかります。


対する大海SPは全てが一体型で、大当たりノイズは前面で2mmほどのLED(バイブレーターの場合もある)の反応で拾えるのですから、ずっと簡単と思えます。これの操作は、スタートセンサー近辺にアンテナを近づけるとLEDが強く光るところがあり、その位置で電磁波を発射するとデジタルを回りだし、大当たりがかかります(ちなみに最直近の大当たりゲームプラス残り4個の保留玉はほぼ大当たりがかかっています)。これらを考えたとき、使い勝手は当然大海用の方がずっと上と思っていました。がしかし、なぜか手間のかかると思える沖海2が先に登場したわけです。沖縄2の事例発生と同時にすでに大海SPもゴトできる、といううわさが出ていたのですから、大海SP用も用意されていたことはまちがいありません。


次に(1)についてですが、私は今回の調査でホール内における遊技機の設置場所による受信や発射感度は、他機種や機器類にかなり影響され変化があるため、そこまでは調査できていない実行ゴト師がもたもたした大きな原因であったのでは、と結論付けました。
今回の検証テスト結果によってどうやら(1)も(2)も関連していて、むしろ手間のかかると考えられていた沖海2の方が、ずっとゴト行為がやりやすかったのではないだろうか?と思い直したのです。


沖海2の場合は、ゲタを遊技台右下部分にかましそれに沿って受信用セルを差し込むと、セル先がメイン基板のノイズ発信箇所にぴったりと吸い付くような形状になっています。これはかなり計算されたものであり、他からの邪魔なノイズ等がはいりにくく、後は電磁波を発射するだけで大当たりをかけることができます。
対する大海SPの場合は、電磁波発射機はカムフラージュ用のカバン等に隠しいれていますが、ノイズ受信用LEDは目で確認する必要があります。これがけっこう手間のかかる難しい作業なのです。その上、ホール内の位置により受信や発射環境が変化しているわけですから、ゴト行為の実行は相当苦戦しているはずです。実際に両機種の何本かの実録画を確認すると、沖海2の方はスムーズに大当たりをかけていますが、大海SPの方はかけるまでかなりの時間を要していたり、まったくかけられなかったりで、相当もたついています。つまりは、一見手間がかかるように見える沖海2の方が確実に大当たりをかけられていたわけです。


ところで、この沖海2を残しているホールはまだかなりあると思いますが、そのご担当者の方にひとつだけご注意しておきたいことがあります。それは、メーカーから届いているメッシュシールドはメイン基板の上面にだけ貼り付けてあるはずですが、実はこのメイン基板に繋がっている橙色のハーネスからもノイズが出ていて受信もできる、ということです。つまりは、挿入するセルアンテナの形状をその橙色のハーネスにあわせることで同じゴト手口が可能である、ということを認識しておいていただきたいのです。


ゴト行為を防ぐためには、実際にやられているゴト手口の解明が非常に重要で、それがわからなかないと対策も不可能ですが、このような検証はいままでほとんど行われていません。わが日遊協近畿支部セキュリティー部会では、今後とも発生したゴト事例のホールにおける現場検証を実行していく予定です。

紙面の最後となりますが、今回の実証検分による私の独断と偏見による感想を参考までに記載します。それは「ゴト師はかなり苦労してゴト行為を実行していて、簡単にはできていない。だけど弱いところが見つかるとまたやってくる」ということです。業界では「ゴト撲滅」という謳い文句を言っていますが、いかに(ゴト行為が)やりにくい環境を作るか、ということが最重要であると私は考えます。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。