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セキュリティー温故知新 (3月号)

過去の事例から現在のゴト師グループの習性を知る

ここ最近のパチンコバッシングはひどいですね!2月号にもその関連記事が掲載されていましたが、その冒頭に「最近になればなるほどバッシングの勢いが増している」と記載されています。以前からパチンコを斜視することしかしない連中によるそういう流れはあったのですが、東日本大震災後の石原都知事の発言が大きな弾みになり、あちこちから大バッシングの嵐がおきだしたのは間違いありません。その2月号では「特殊景品を配布するホール営業の実態は違法」、京都地検がホール企業を訴えた告訴状を「受理」、ということを特集していますが、これは非常に深刻な問題です。

さて、先月号ではサンドゴトで全国展開しているゴト師グループを取り上げましたが、このゴト師グループの画像はホール関係者の方でしたら、1回や2回見かけたことはかなかったでしょうか?もし自店の監視カメラにこのグループの画像が残っているようでしたら、ぜひご一報ください。ちなみに昨日(2月2日)ことですが「釈放されたゴト師が大阪市内のビジネスホテルを出入りしているところを確認した」いう情報が入ってきています。どうも大阪に土地勘があるようす。近辺のホールは十分に注意してください。

ところで、先月号でお伝えしたことはまさに最新のゴト情報でしたが、この連載は「セキュリティー温故知新」というタイトルです。これだけで終わるとタイトル名と合わないですよね。つまり最新があれば過去もあるはずです。実は先月号の元原稿ではその過去事例のさわりを記載していたのですが、紙面の関係上削除していました。今月号では先月号で紹介し切れなかったその過去事例の紹介となります。ゴトの手口こそ違えゴト師グループの集まり方はほぼ同じなので、これを読んでいただければゴト行為はいかに繰り返されているか、納得してもらえるかと思います。

「組織ではなく、必要なときに連絡を取り合いグループで実行」

まずは先月号を読み返してください。サンドゴト師グループの逮捕された男が「われわれは組織ではなく、普通は皆ばらばらに住んでいて、必要なときにネットやメール等で連絡を取り合い5~6人が組んで実行する」ということを言っていましたが、2004年の夏のこと、関西の郊外店へ25人前後の集団で現れたゴト師グループの連絡や集結方法も、まったく同じものであった、と推測できるのです。

この年の夏、関西系の某中堅会社が関西北部の某地域に800台ほどの新店を開店しました。ホール立地は当時流行の兆しを見せていた、大型スーパーや専門店等を集結させた郊外型商業地域の一角で、駐車場は平地ですが、800台ぐらいの車が駐車できるのではないと思えるほど広さです。このころは4号機時代で「吉宗」が大流行していた時ですから、機種構成もその吉宗をスロットの主流として、片側20台島の両面となるワンボックスに計40台を設置していました。

新規開店から約1ヶ月が経過したある日、そのホールの部長から弊社に一本の電話が入りました。内容は「吉宗でなにかわからないが集団でゴトをやられているようだ。すぐに来て調べてくれないか」というものであったため、我々はただちに弊社事務所から1時間ほどかかるその現場に直行しました。部長は「吉宗コーナーにおいて、昨日までの3日間で計1千万円近くの赤が出ていたので調べたところ、どうやら多数の同じ客がずっと勝っていることがわかった。そのため、3日目の閉店間際にその日の景品交換を断ったのだが、20名から25名ぐらいの人間が集まり騒ぎ出した。それがそのときの写真だ」という説明の後に、その3日目の監視カメラ画像を5~6枚差し出しましたので、それを確認したところ、カウンター近くの広場に25名前後の男性客が集まり、騒いでいるような写真でした。

3日間で約1000万円近くの赤ということですから、ゴトの可能性がかなり高いわけですが、その時点ではどんなゴト手口を使われたのか不明です。この吉宗は特にゴト手口の種類が豊富な機種で仕込みの可能性もあることから、閉店後に点検したのですがそういうものは一切出てきませんでした。真っ先に考えたゴト手口は、その当時大流行していたソレノイドによる体感器ゴトでしたが、写真で彼らの服装を確認したところ、季節が真夏(7月24日)であったため、半ズボン姿の人間も多数写っていたのです。ソレノイドゴトはゴト器具を隠すための服装が必要であり、半ズボン姿では到底隠し切れません。ましてや、集団でソレノイドゴトをやるとなると相当目立ってしまうはずですが、写真からはそれらしきものが感じられず、ソレノイドゴトではないと断定しました。

結局のところ、「ナビ太」というゴト器具を使われたのですが、このころはこの「ナビ太」の情報がほとんどなく、残念ながらこれは後日わかったことでしたから、いいようにやられたしまったわけです。

ちなみにこの「ナビ太」は、大当たりを自力で発生させた後、ボーナスゲームの連荘を可能なるための押し順を教えてくれる(最近においても、緑ドン9の仕込みゴト手口でマックスボタンの点滅によって押し順をナビしてくれるゴトがある)機能を持っているゴト器具ですが、電源を切らない限り継続可能なため、閉店まで連荘が続くことになります。器具は縦10cm、横7cm、厚みが1pほどのものですから、半ズボンのポケットにも無理なく入ります。信号はバイブレーターが伝えるのですが、ゴトをやられていてもこのゴト手口を知っていないと、普通のスタッフでは発見がかなり困難です。この器具を25名前後のゴト師全員が所持し、3日間やられたわけですから被害額も相当なものであったわけです。

ところで先にこの吉宗のゴト集団と、先月号に掲載したサンドゴト師グループは、ほとんど同じ連絡方法で集結している、と記載しましたが、それはこのときに彼らの後を付けた当該店スタッフが見て確認した状況からの判断からです。彼は全員とも自分たちが乗ってきた車を、当該店の広い駐車場に着けることなく、隣接する大型スーパー等の駐車場に駐車していたのですが、これはゴト師がグループで来店する場合の常套手段なのです。理由は2つありますが、まず1つ目は、店内でゴト行為が発覚したときに、その店の駐車場ですと閉鎖されてしまう恐れがあることです。次に2つ目は彼らの車のナンバーです。スタッフが確認した彼らの車のナンバーは、なんと札幌・千葉・練馬・愛知・浪速・愛媛等でしたから、当該店の駐車場に着けると他府県ナンバーということで警戒されてしまう、ということです。そしてこの多くの他府県ナンバーが集まっているということは、そのときすでにそういうゴト師のネットワークが出来ていて、おいしいゴトネタが出たときに連絡を取り合って集合、全国をゴト行脚している、ということを物語っているわけです。つまり、先月号のゴト師グループとほとんど同様の連絡及び集結方法を取っている、ことが考えられるわけです。

ひとつ言い忘れましたが、このホールに手引きした人物は地元の人間であることがわかっています。それは店側が、当日の景品交換を拒否した変わりに「後日なにもなかったら渡す」ということにしたため、氏名記載条件として運転免許証で氏名を確認したことによるものでした。

ちなみに彼らのこの前後の間においては、当該店以外はその県内でまったくゴトをしていません。半月程ほど後に、同じ関西の某県のホールにその2~3日後に来店していて、この県でも同県内ではゴトをしていない、という情報が入ってきていました。その後の足取りはまったく不明です。

この2004年のときのゴト師グループと、先月号のゴト師グループはもしかすると繋がりがあるのかも知れません。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。