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セキュリティー温故知新 (4月号)

ゴト事例件数が減少しているのは手口の巧妙化が要因!?従業員教育から見直す時

今冬は例年になく寒く雪の多い年でしたが、実は私も被害に遭った一人です。2月2日が東京出張だったのですが、その日の未明から雪が降り続き、特に米原周辺では多いところで50センチぐらい積り新幹線はべた遅れ、東京へは1時間半ぐらい遅れて着いたため、当然会議には間に合いませんでした。ただ、新幹線が米原近辺を通るときには超スロー運転でしたから、雪景色がとても風情がありました。

年々、減少するゴト事例件数

先々月号と先月号では、ゴト師グループの形態について書きましたが、皆さんの感想はいかがだったでしょうか?本来知らないもの同士が連絡を取り合って徒党を組み悪事をするわけですが、一昔前なら手紙や葉書での連絡か、せいぜい固定電話による連絡であったため、なかなか知らない者同士が引っ付くということはそんな簡単なことではなかったと思います。

しかし、今は携帯電話があり、その上メールやネットで簡単に連絡が取れるわけです。これは想像ですが、ネット上にそういう悪いことをするための道具や、方法等のサイトが存在していて、例えば先月号で取り上げた「ナビ太」や、一昨年暮れから昨年初頭に大騒ぎになった、「大当たり直撃ゴト」の電磁波発射機のように彼らにとっておいしいものが登場したときに、集団で動くのではないかと思います。これはなにもパチンコにおけるゴト師グループに限らず、一般社会における振込み詐欺等の悪事も同じような仕組みになっているものと思われます。

さて、最近は遊技機においてもまたサンド等の周辺機器においても、セキュリティーがかなり強固になってきており、その分、A-NETに報告されるゴト事例件数も以下の数字のように年々減少しています。特に裏ロムやぶら下がりのような電子的な仕込みゴト手口は、昨年の後半ぐらいからほとんど報告がありません。

目立つゴト対策部品の取り付けミス

そんな中、特に目立っているのが、外部からピアノ線等を使ってARTの継続を狙ったゴト手口です。このゴト事例はかなりの報告件数がありますが、その中にはホール側のいくつかのミスによる事例もけっこう発生しています。その一つは後付けの対策部品の取り付け方についてです。対策部品にはメーカーから送られてきたものと対策部品会社から出ているものがありますが、説明書どおりに取り付けていなかったため、肝心のセルやピァノ線の侵入経路をきちんと塞ぐことができていなかったことや、雑な取り付け方したため外れてしまっていた、等々のことが起きています。またもっと最悪なのは、付けることを忘れていた、という事例もあるわけです。

後付けの対策部品は、ほとんどの場合両面テープで取り付けるようになっていると思いますが、取り付けるときにちょっとした注意が必要です。それは、遊技台は中も外も見た目より汚れているということなのですが、その汚れたままの状態で取り付けてしまうと硬いピアノ線等で突かれるわけですから、簡単に外れてしまいます。そのため、まずは取り付け部分をアルコールで丁寧に拭きあげ、乾いてから空拭きして始めて取り付けるという工程を踏むことが非常に重要なのです。その検証と言ってはなんですが、弊社スタッフが時々目にする光景を一例として紹介いたします。某ホールに入店したときにことです。同じ機種が10台設置されていましたが、人気機種であるがゆえにピァノ線ゴトのターゲット機種となっています。すでにメーカーから後付けの対策部品が出ていてそれを付けているのですが、全台を確認すると欠損している台が2〜3台ありました。また、付いている台においても対策部品を触ってみるとぐらぐらしているものが何台かあって、もう少しで外れてしまいそうになっている、というような状態です。おそらく、前述したアルコールできちんと拭き上げるという工程を省いているのではないかと、思われます。

次はあってはならないことです。先日もあるホールで「スロットのOO機種でARTゴトをやられた。ちょっと来てほしい」という連絡があり、弊社スタッフが駆けつけ遊技台を開けて中を調べたところ、付いているはずの対策部品が付いていなかった、ということがありました。付けようと思ったときに他の用事が重なり、そちらが優先されてしまったことにより、コイン1,600枚ほどのゴト被害にあってしまったのです。セキュリティーはどうしてもロ以上にならないため後回しになりがちですが、この場合もそうであったわけです。少しだけ考え方を変えて、そのため(対策部品取り付け)の時間を必ず取ることも非常に重要なことです。

変わるホール運営事情。それに合わせた従業員教育の見直しを

ところで、先ほどのA-NETに報告されるゴト事例件数ですが、減少しているからといってもろ手を挙げて万歳というわけにはいかない、という事情もあります。それはゴト行為をやられていても発見できていないではないか?という懸念です。最近はパーソナル等の導入や、ホールの事情等からホールスタッフの人数がかなり減っていて、以前のように一人1コースということが少なくなっていることも起因していると思います。それも正社員ではなくアルバイトの女の子が一人で複数のコースを巡回している、というホールがかなりあるわけです。正社員だから、またアルバイトの女の子だからどうというつもりはまったくありませんが、ゴト師を寄せ付けないホール作りには、最前線で働くこれらアルバイトスタッフの何気ない動きが非常に重要であり、日ごろからゴト対策等の教育ができているかどうかなのです。

一例を挙げると、あちこちのホールでデカ玉や糸吊り玉が発見されていますが、裏返せば、それぞれにおいてゴト行為を実行されている証拠でもあるわけです。デカ玉の場合で付随してくるゴト手口は、賞球センサーにデカ玉を停めて電磁波発射機を使った過剰賞球ゴト、糸吊り玉の場合はデカ玉と同じ手口にも使いますが、多くの場合、糸吊り玉を盤面のワープ入り口釘付近に引っ掛けて玉をワープ内に誘導するゴト手口です。どちらのゴトも手に持った磁石をガラス面に当てて目的の箇所に玉を誘導するため、スタッフが頻繁に巡回しているホールでの実行は、ゴト師側にとって相当リスクがあることになります。

デカ玉は一旦センサーに入れられてしまうと営業中の発見はまず不可能であり、また糸吊り玉ゴトの発見はほとんどの場合もアウトタンク等からであり、複数のコースを巡回しているアルバイトスタッフが釘に引っかかっている糸吊り玉に気が付いた、という報告はほとんどないというのが現状なのです。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。