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セキュリティー温故知新 (5月号)

再び横行し始めた電波発射機を使ったゴト手口

この原稿を書いているいま、私の地域においては桜が満開を過ぎ早や散りかけていますが、これからの桜前線は東北地方から北海道に向かうわけです。いつか時間を見つけて桜前線を追いかけてみたいと思っています。本当に桜はいいものですね。

電波発射機の使用は必然

さて、業界におけるゴト前線はいまどうなっているのでしょうか?最近はスロットのART機においてまたまた電波発射機を使ったゴト手口が横行し出しています。狙いは当然ARTの継続ですが、このゴト手口に使っている電波発射機はかなりパワーを発生する器具のようです。ホールでの録画映像を2、3見させてもらいましたが、その中の1本にゴト師と思われる男が来店し、電波のテスト発射をしたと思われる動画がありました。彼(ゴト師と思われる男)は来店してすぐに目的の島に向かい(後追い映像での確認)、島端中央約1m離れた位置に立ってしばらくすると、背中合わせの島のナンバーランプのかなりの台数が点灯したのです。このホールはスロット全台に電波感知機を設置しているですが、その警報ランプが点灯したわけです。

推測ではありますが、おそらく彼は下調べのために来店し電波を発射、電波感知器が付いているかどうかを試したものと思われます。前述したようにかなりの台数の感知器が反応しているということは、相当強いパワーの電波発射機であることが想像され、もう一つ言うと、改造はしているかも知れ.ませんが、いわゆる旧型の電波発射機を使っているのではないかと思います。今回の電波によるART継続ゴトは、正直完壁というほど解明できているわけではありませんが、強い電波のノイズによってサブ基板のコンピューター内部をバグ状態にしていまっている、ことが考えられます。つまり簡単に言えば誤作動させているわけです。電波発射機を作ることができるWという友人がいますが、彼の解説では「パワーが強くてもきれいな電波であれば誤作動はほとんど起きることはありません。アマチュア無線やラジオ等はきれいな電波であるため、他の電子機器類に影響ないのはそういうことです。おそらくですが、今回の電波発射機はわざとノイズが多く発生するようにフィルターを夕玉していて、オシロスコープ等でこの電波を計測した場合、電波の山が無数にあるガジャガジャのきたない電波だと思います」ということでした。

電波を受けるアンテナは遊技機内部のハーネスやロムチップ内のパターン等いくらでもあるわけです。遊技機の内部外部のハード的なセキュリティーは昔私が現場にいたころから考えると、比較にならないほど強固になってきていますが、それは実際にA-NET等のゴト事例の報告件数にも表れていています。しかしながら、このままではゴトをやるものにとっては死活問題ですから、狙うところを変更する必要があるわけです。そこであらゆる電子機器類の大きな弱点であるノイズによる誤作動を狙ってきているわけですが、当初はピアノ線やセル等をドアの隙間等から差し込んでショートゴトがほとんどでした。それがやりにくくなったいま、以前から存在する電波発射機を使ってきたということは、ある意味必然的な進行ではないかも知れません。この電波発射機を使った誤作動狙いのゴト行為は今後とも非常にやっかいな問題で、遊技機やサンドがアナログに戻らない限り永久に続く戦いなのかも知れません。

60年前から続く古典的ゴト”持込玉”

ところで、今回の発射機はまだ押収されたことが一度もなく情報が交錯していて、人によっては800メガヘルツから900メガヘルツぐらいのものか、或いはその昔「CRモンスターハウス」の電波ゴトに使われた140メガヘルツの電波帯域幅ではないか、と言う者もいます。ちなみに「大当たり直撃ゴト」に使用された電波発射機は、1.1ギガヘルッぐらいでスタートセンサーをピンポイントで狙えるような可能な高度なものでした。

さて、電波ゴト手口はこのくらいにして、別のゴト行為を検証したいと思います。先述しましたが、遊技機や周辺機器類のセキュリティーがかなり強固になってくると、どうしても多くなるのは馬鹿みたいなアナログゴトです。特に以前からかなり発生件数があるメダルや玉の持ち込みゴトですが、これもまた非常に厄介なゴトです。昭和27年に空前のパチンコブームが起きましたが、この年にパチンコ玉に刻印を入れたものが発売されたそうです。昭和21年にパチンコが解禁され、軍需用のベアリング(直径11.11mm)が大量に放出されそれをパチンコ玉に使用したそうです。昭和23年に1個1円、翌24年に2円となった玉貸し料ですが、当然そういう状況ですから店が管理している以外の玉を客が持ち込んでいたことは容易に想像できます。この当時の持込玉は「闇玉」と呼ばれていたようです。昭和27年は1952年ですが、2012年の今年で60年経過していますが、持込玉は一向に後を絶つことなくいまだもってたった一つのゴト行為に苦しめられています。それもその当時存在していなかったスロット機があり、当然メダルもその対象となっているわけです。

メダルや玉は”持ち出させてはいけない”

ところで、今回この持込玉ゴト或いはメダルを取り上げたのは大きな理由があるのですが、それは「風適法」が絡むからです。玉・メダルの持ち込みは「刑法」においては「建造物侵入罪」(刑法130条)、その持ち込んだ玉・メダルで景品を取得すると「詐欺罪」に抵触しますが、あまり知られていないことは、風適法第二十三条に、メダルや玉を持ち出させてはいけない、という決まりがあることです。持ち出される頻度が多いホールは、風適法を守っていないことにもなりかねません。万一、御社のマークの入った玉或いはメダルを持ち出され、別のホールで使用された場合、訴えられることもあるわけですので、十分にご注意下さい。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。