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セキュリティー温故知新 (9月号)

一番記憶に残っているのは初代「CRギンギラパラダイス」の電波ゴト

先日、ロンドンオリンピックが終了したばかりですが、大会期間中は日本全国が毎晩寝不足だったと思います。今回の日本勢は金メダルこそ7個でしたが、メダル総数は38個で過去最高でした。選手の皆さん、すばらしい感動をありがとうございます。今月号は編集部のほうから、

(1)過去で最も被害が大きかったゴト。
・それは何故か?
(2)過去で最も対策に手こずったゴト。もしくは、手口を限 定するのに手こずったゴト。
・それは何故か?

をテーマに書いてほしいということでしたので、それにそって進行しようと思いますが、まず(1)ですが、正直、かなり難題です。
実際には、どのゴト事例においても被害額等は店側の公表等がほとんどなないだけではなく、業界としてもこういう嫌な数字を統計はまったくしていないので、あくまでも周りの情報等から私自身が推測したものとなることをご了承願います。

また、(2)についてもゴト手口として、1回だけで終わったようなものだけでなく、例えば、磁石ゴトや玉やコインの持ち込みゴトのように、パチンコが戦後再開してからずっと付いて回っているゴト手口もあるわけで、この2例はかなりてこずっているわけです。
どのゴト手口も何回も繰り返し使われているので、それに近いことを紹介しようと思います。

いつの時代も『ヒット機』が狙われる

これまでには、数え切れないほどのゴト手口が発生していますが、私の歴史の中で特に強烈な印象が残っているのが1996〜7年ごろから発生した、初代「CRギンギラパラダイス」への電波ゴトです。
この電波ゴトは、後にスタートセンサーを特別に交換したぐらいですから、被害額は計り知れないほどだと思います。この機種は空前の大ヒット機種であることは読者の皆さんもよくご存知と思いますが、中古機の値段が最終的にはなんと1台200万円になったほどなのです。
視覚的には液晶内で普通の魚と同じように横に動く動作が初めて取り入られ、後の海物語シリーズ等にも受け継がれている事から、それが当時のパチンコファンに圧倒的に支持された大きな要因であったと思います。
私の記憶が正しければ、面白いことにこの「CRギンギラパラダイス」の盤面はなんと赤色だったことで、当初の印象では「なんか、海の中のイメージではないなあ1」と思ったのを覚えています。
同じ時期に出ている「ギンギラパラダイスV」や「ギンギラパラダイス2」の盤面は青色だったので、こっちの方が指示されると思っていましたが、1台200万円にもなったのは「CRギンギラパラダイス」だったのです。

余談はさておき、肝心のゴトの話しに戻します。
このギンパラの電波ゴトは、私が直接確認したゴト行為の・・つですが、その日は遅番勤務でしたので午後2時に出勤したすぐのことでした。
私は現場に出るとまずは必ず全コーナーを巡回することから始めるのですが、ギンパラコーナーを巡回中に、ドル箱を積み上げていた30代ぐらいの一人の男性客が気になったのです。
その男は一見客で、出していることもあるのか、やたらちゃらちゃらしているのです。私はコーナーの担当者を呼び止め「えらい、出してるな?」と問いかけたところ、担当者は「まだ、来店してからそんなに時間が経ってないのですが、やたら連チャンしているんです」という答えでしたので、私はその客から見えない位置に隠れ、しばらく監視することにしました。
すると男は、遊技をしながら携帯電話のようなものを取り出しボタンをいじり出したところ、液晶画而を確認するとなんのアクションのない通常絵柄のリーチがかかり、そのまますっと揃って大当たりとなったのです。私は正直驚きました。
いままであんな感じでの大当たりは一度も見たことありません。また、当時は私自身も休み時間や休日等にけっこうパチンコをしていましたが、あんなかかり方の大当たりは店舗の内外を問わず経験したことありません。
すぐに事務所に戻り、メーカーの営業所に電話をかけていま起きたことを説明し、ゴト行為だとしたら何をやられているのか、また他の店でもこのようなことが発生しているのか等を問い合わせしましたが、どの問いにもまったく坪の明く答えはありませんでした。私は仕方なく現場に戻り今度はわざとその男から見える位置に立ち、遊技を監視し出したところ、落ち着きが無くなり遊技の途中で立ち上がり隣のおばちゃんになにか耳打ちした後、急に立ち上がりドル箱いっぱいの玉をおいて遊技をやめ、レシートをカウンターで交換して店を出て行きました。

私は玉を引き継いだおばちゃんに「いまの方は知っている人ですか?」と聞いたところ、「いや、ぜんぜん知らん人だよ。俺用事があるから帰るけど、玉と台と上げるからこっちで打ちな。と言ってくれたのでそのまま打っているだけだよ」と、いうことでした。

このことが電波ゴトである、と判明するのには1週間もかかりませんでした。その当時は今のような情報交換がほとんど無い中でしたが、営業マン等が頻繁に出入りした関係から、三洋以外の営業マン等が「他のホールでも軒並み同様のゴト行為をやられていて、手口は電波ゴトをやられているらしい」という情報をもらえたからでした。
その当時は電波感知器を設置しているホールはほとんどありませんでしたので、それがきっかけで業者による電波感知器の開発そして販売合戦が始まりました。

先述しましたが、この「ギンギラパラダイス」については、メーカーが特別な許可を得て電波の受けやすいU字型の通過センサーを、電波の受けにくいスタートセンサーに交換してそのときは一応一件落着しましたが、ここ最近の後年になって、そのセンサーも攻略されたことは記憶に新しいことです。

被害額が最も大きいのはカード不正

さて、数字的にかなりはっきりしているゴト手口としては、玉貸機用のプリペイドカードではないかと、思います。
このときの被害額は約1,300億円から1,500億円と言われています。このプリペイドカードの導入については導入以前から他業種ですでにカード不正が発生していたことから、かなり不安視されていたのですが、案の定、全国的な導入から1週間も経たないうちにゴト事例が発生しています。

このゴト手口も私は現場にいたときゴト師グループを捕まえたことがありましたが、そのときのゴト師は東南アジア系で、なんとポケットに50枚以上の不正カードを所持していました。
またこのゴトの全盛期には、ホールの駐車場等で不正カードが売りさばかれていたほどですから、云われている被害額は納得できます。

さて、話しを変えて(2)の手こずったゴト手口ですが、先に磁石ゴトや玉やコインの持ち込みゴトというアナログの2例を紹介しましたが、電波ゴトも同様にかなり手こずっています。
このゴト手口はパチンコが手打ちであったときにはまったく無かったわけですが、パチンコが電子的になった時からずっと付いて回り、いま現在でも進化して発生していることは、皆さんもよくご存知の通りです。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。