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ゴトと闘う (_2009年10月)

「磁石」など半世紀も続く、なぜゴトはなくならない

現在、わが業界は日遊協や全日遊連などの業界各種団体が中心になり「ゴト撲滅!」というスローガンに真剣に取り組んでいます。このゴト撲滅という言葉はまさにわがパチンコ業界の願いでもあり悲願でもあるわけです。

「ゴト」は特殊な言い方どの業界にもある犯罪だということ

いったいなぜ、わがパチンコ業界からゴトがなくならないのでしょうか?皆さんの中にもいろいろな答えやご意見があると思いますが、今回はあえて私、南光が独断と偏見を持ってその原因を考え、そして決めつけてみようと思っています。ただし、「ゴトがなぜなくならない?」かの問いに対しては、簡単な答えで済みそうもなく、今号だけのぺージ内で全てを解答するということは不可能です。本誌での連載がいつまで継続できるのかはわかりませんが、このことは非常に重要なことに思えますので、連載継続中は忘れずに取り組んでいきたいと思っています。

さて、われわれは「ゴト」とか「ゴト師」という言葉を常時使っていますが、まずはどういうところから来ているのかをネットで調べてみました。それによると、賭博場(鉄火場)において「イカサマ賭博」を行う者、つまり「イカサマ師」のことで「ゴト師」の語源は仕事師からきている、と記載してありました。わが業界はけっして賭博場(鉄火場)ではありません。風営適正化法というきびしい法律の中において守り営む、れっきとしたビジネスなのです。たしかにゴトといういやな言葉が存在していることや、ゴト行為の手口こそ独特のものであることは事実ですが、本来ゴトとは許されない犯罪行為を業界用語に置き換えたに過ぎないものであって、これはどのような業界でも発生している犯罪でもあるということを、絶対に忘れるべきではないと思うのです。

社長は怖い顔で「なめられるな」とゴト師対策の注意

業界において、いつごろから}ゴト」とか「ゴト師」とかの言葉が定着しだしたのかは不明ですが、私は不思議なことに私自身がようやくパチンコを打てる年齢になった昭和認年(1963年)ごろに、偶然にもこの言葉を聞いた覚えがあるのです。

当時私は一応名のある某大会社に就職している身ではありましたが、ちょっとしたことが縁で駅前にあったパチンコ店の社長さんに可愛がってもらっていて、店の裏側奥まで出入りするようになっていました。その時代にも新台入れ替えは一大イベントでしたが、そのホールもオープン前日は忙しく新台運びや古い遊技台の掃除などいろいろと仕事も多く、時間が余っていた私は時々それらの手伝いをしていました。オープン初日は当時でも玉を多く出し、その分早仕舞いして業者や店員にご馳走を振舞うのですが、私もご相伴にあずかることがありました。テーブルには巻き寿司やキムチなどが大きな皿に山盛りにもられていて、会社の食堂でカレーライスを2杯、3杯と食べても全く足りない年頃であった私にとっては、とてもありがたく遠慮なくいただきました。そういう団攣のときであったと思うのですが、その社長さんが怖い顔をして店員さんを叱るような感じで、口から「ゴト師になめられるな!」という言葉を何回も発していたのです。その話題の中に「セル使い」とか「磁石使い」という言葉も出てきたと記憶しています。

いまでも記憶にある言葉なのですからそのときに聞けばよかったのですが、頼みの社長さんが怖い顔をしていたこともあり、さすがに話の中に入ることもできず何一つ詳しいことは聞きませんでした。いまとなっては「とてももったいないことしたなあ!」という気持ちでいっぱいです。可能であればタイムスリップしてでも質問してみたいところです。

ところで私がパチンコ業界にお世話になったのは、前述の出来事があってから20年以上も後のことです。それまでは全く関係のない職場にいたわけですから、ゴト師などという言葉が出る機会など皆無であり、すっかり忘れていました。それがいまなんとホールセキュリティーに携わる身となり、毎日のように「ゴト(師)」という言葉を使っている自分自身がここにいるのです。その時代にゴトとかゴト師とかの言葉を聞いていたことが非常に不思議に感じています。

玉に刻印入れた昭和27年にはすでに「ゴト」があった

さて、今回は「ゴトがなぜなくならないか?」ということをテーマとして、冒頭に私の独断と偏見で決め付けるとお断りしていますが、なにから手を付ければよいのかを考えた末に、まずはパチンコの歴史とその時代時代におけるゴトとの関係がどうなっているのか、を少々調べてみることにしました。ただしそうは言っても、パチンコとゴトの関係が掲載されている歴史本などあるはずもありません。そこで調べましたところ、パチンコ玉の製造会社の集まりである、一般社団法人遊技球製造協会のホームページに「遊技球の歴史」(写真1 ドル箱に入っている大量の玉)という項目がありましたので勝手に参考にさせて頂きました。ところで当ホームページを拝見中2、3の疑問点が湧きあがり、直接当協会に電話を入れて質問を試みたところ、あいにく担当の方が外出中ということでしたが、しばらくして担当のM様からお電話が入り丁寧に教えて頂くことができました。当協会及びM様、ご多忙中本当にありがとうございました。紙面を割いてお礼申し上げます。

さてそれによると、戦後復活したパチンコは、戦時中飛行機の部品等に使われていた7/16インチ(11.11mm)のベアリング球が必要なくなり、大量に放出されたのですが、当初はそれをパチンコ用遊技球に流用したそうです。「正村ゲージ」という本格的パチンコが登場したのが昭和23年(1948年)、このときの貸し玉が!個1円、翌璽年には1個が2円になっています。盟年には連発式パチンコの一大ブームがあり、「ヤミ玉」も相当出回ったため、遊技玉に簡単なアルファベットの刻印(写真2 現在の刻印玉)を入れたのです。刻印の技術はネジきりの技術を応用したということですが、この時代に玉に刻印を打ち込む技術を開発していたということは、本当にすごいことです!

考えもつかなかった電波ゴトやその進歩を見据えろ

ところでついでですが、昭和35年にはパチンコメーカーの銀座が1枚であったパチンコの前面ガラスを2枚にしています(日遊協本部広報調べ)。ガチャガチャという音のうるささを消す意味もあったとは思いますが、最大の理由はもちろん磁石ゴト対策なはずです。その後すぐに他メーカーも追従しているようです。この磁石ゴトにおいてもいまは磁石センサーを初めから搭載しているパチンコ機種も出始めましたが、完全解決には至らずイタチゴッコを繰り返しています。

先ほどのパチンコの歴史ぺージを見ても、「ヤミ玉」以外はゴトに関するようなことは一切記載されていません。しかし、私の独断と偏見による推察でなくても、「玉の持ち込みゴト」(ヤミ玉)と「磁石ゴト」(2枚ガラスを採用したこと)は当時すでに発生していた.ことは明らかです。つまりこの2つのゴトは、すでに初発生から50年とか60年も経過しているはずなのですが、西暦2009年になる現在においても消滅することなくいまも発生し続けている、という事実がここにあるわけです。何度も繰り返しますが、初発生から50年とか60年もの長い間、ホールは同じゴト手口で苦しんでいるのですよ1ましてや現在のゴト手口の種類を考えてみてください。皆さんが思いつくだけでも相当あると思います。それにこれらゴト手口の種類数の増加だけではなく、当時では絶対にありえなかった電子ゴトや電波ゴトなどの新たなゴト手口の誕生、またそれらゴト手口の驚異的な技術的進化、それを裏付けるごとく毎年のように登場するレベルアップされたゴト器具、そして裏ロム基板やぶら下がり等々。これらの現実を真正面に見据えて考えていかなくては、業界の悲願である「ゴト撲誠」などというお題目の成就は到底ありえないのです。

磁石がつかない玉作ることはできるでも使えない

私は各種のゴトセミナーや業界誌において、常に「ゴト手口は過去に起きた手口の焼き回しである」ということを繰り返し述べていますが、現在発生中のゴト手口はほぼ以前にあったゴト手口の焼き回しです。本来、焼き回しであるのですから、その対策や対応はさほど難しいものではないはずです。がしかし、先ほども述べましたが、この焼き回しによるゴト手口で何回も何回もやられているのです。これはどういうことなのでしようか?

例えば、磁石ゴト砂手口について考えて見ましょう。先ほども言いましたが、少なくともホールはこの磁石ゴトに50年以上苦しめられているのですから、いっそのこと一番簡単な方法である磁石に付かない玉を使ってはどうでしょうか?先に登場七た遊技球製造協会にお願いすればひょっとするとそういう玉を作ってくれるかもしれません。しかし、これはだれでも知っていることですが、仮に営業中などに万一お客様が玉箱をひっくり返してしまったときなど、床に散らばってしまった何百個か何千個かの玉の拾い集め作業は、途方もなく時間がかかってしまいます。

これ禄逆の意味で大きな事件になりその時のホールスタッフは、ほうきやモップなど別の道具で玉を拾い集めることになり、狭い場所や角などの落玉は細い棒のようなものを使う必要も出てくるわけです。しかしいまの玉は幸いなことに磁石にくっついてくれるわけですから、どこのホールでも必ず常備されている、取っ手付き磁石棒(写真4 取っ手付き磁石棒に付いた玉)でさほど時間もかけることなくほとんどの玉を拾い集めることが可能なのです。たしかに、玉が磁石に付くという性質の悪用から磁石ゴトが発生している、ということは事実なのですが、ゴトというマイナス面だけを考え、磁石に付かない玉を使うという発想はどうやらナンセンスなようです。これらを考えると磁石ゴト対策は、遊技台にできる限り感知幅の広い磁石センサーを設置するのが一番良い方法と思います。ただし新たな磁石センサーの設置(別付けする場合は、必ず所轄と相談してください)、あるいはスタッフの目視による監視以外なさそうであり、磁石ゴトとはまだ付き合わなくてはならないようです。物事のプラス面とマイナス面の詰をしましたが、これは置き換えると損得でもあり表裏でもあることから、今回のテーマである「ゴトがなぜなくならないのか?」という課題に密接に纏(まと)わり付いているのですが、これを書き出すには残りの紙面数が全く足りません。この課題はまた次回にしっかりと考えてみたいと思います。

グローリー製サンド・被害が拡大さらに注意してください

ところで、前号で内部犯行による主基板不正事件を取り上げましたが、そのと,き記載しましたように正直なところあまり触れたくない事例であり、できることなら「耳をふさいでまた目隠しをして避けて通りたい」心境であるという思いも書きました。しかしながらわが業界から「不正を無くす」という悲願を達成するためにも、実際にホール現場においてあのような事件がいまも発生している、といういやな現実を直視することは絶対に必要なことです。避けて通ってしまったところで何一つ問題解決に役立つことがありません。逆にわれわれが避けなくてはならないことは「裸の王様状態に陥る」ことと思っています。特に不正問題においては、業界最上層部とホール現場最前線の考え方の一致こそが最重要と考えていまず。それは業界を悩ましているほとんどの不正事例は、ホール現場の最前線で発生しているからです。

ところで、現在進行中である日遊協主催による不正対策勉強会ですが、先日(9月且日)5番目になる近畿開催が終わり、残りは10月23日の中国・四国支部だけとなりました。当初(3月)の予想通りゴト手口は大幅に入れ替わってきていて、現時点のセミナーにおいては特に注目すべきゴト手口として、グローリー製サンドの電波ゴトの動画を流していますが、被害が拡大していますので十分注意してください。(電波発射機が小型化され、タバコより小さいものになっています)

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。