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ゴトと闘う (_2009年11月)

納得できない最高裁メダル判決「ゴト」と「購入」分けられるか

先月号(10月号)で、財団法人地球・人間環境フォーラムの専務理事である平野喬氏が書いている「里山・ひと・暮らし」を読ませていただきましたが、東京には銀座ミツバチプロジェクトというものがあり、すでにその銀座のビルの屋上では養蜂が始まっていて、本年はなんと農薬汚染されていないハチミツが750kgも取れたそうです。そのおかげで、日比谷公園の桜にはサクランボが実るそうですが、本当にびつくりしました。以前私のふるさである日光市中禅寺を紹介したことがありますが、その頃は夏になると甘く熟すサクランボが実っていました。学校の先生からは「赤痢になるから食べてはだめです」と強く注意されてはいましたが、当時甘いものに思い切り飢えていました私はそんなことはお構いなしにじゃんじゃん食べていました。またそればかりではなく、山には季節によっていろんなグミや木の実、山葡萄などの果物が実り熟すのを待って必ず食べていました。でも1回も赤痢になったことはありません(笑)。

そういえば桜の満開時分に沢山のミツバチがとまっていたことをうっすらと思い出しましたが、ミツバチが働いてくれていたのですね。

ところで、いまはどうなっているのでしょう?そのころには阿寒湖に次いで透明度が高いと云われていた中禅寺湖でしたが、後年私が成人になったころに湖底に大量のヘドロが溜ってしまっている、というニュースがテレビで放送されていました。そのときは本当に悲しい気持ちになりましたが、人の手で壊した地球環境です。復活も人の手で必ず出来るはずです。

混じっていても不正に得たメダルだけ窃盗罪の判決に

それでは本題に入ります。まずはわが業界内でも話題になりました、ゴト行為で逮捕された後の裁判での量刑及び主文での最高裁判決結果についての1件と、スロットの設定漏洩での逮捕事件の1件を、前回から取り上げている「ゴトはなぜなくならない」というテーマに絡めて私の独断と偏見で考えてみたいと思います。

【裁判】パチスロの"ゴト行為"、窃盗罪成立は「不正に得たメダルだけ」量局裁

パチスロで不正にメダルを出す「ゴト行為」をした場合、通常の遊技で出したメダルも窃盗罪の対象に含まれるのか?こんな争点の刑事裁判で、最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は「罪が成立するのは、不正に得た分だけ」と判断して、逆の判断をした高裁判決は誤りだとした。ただし、量刑には影響しないとして、懲役1年とした一、二審判決の結論は支持し、無職男(42)の上告は棄却した。

一、二審判決によると、男は08年7月、仙台市でほかの男2人とパチスロ機に針金(メダルを不正に払い出すセルゴト器。画像1-1、1-2、1-3)を差し込んで誤作動させ、不正にメダルを払い出させた。男は防犯カメラや店員からゴト行為を隠す「壁役」だった。

発覚時、男のメダル箱にはメダル414枚が入っていた。ゴト行為で得たメダルが交じっており、不正に得たのが何枚なのかははっきりしないが、仙台高裁は「遊技も犯行の一部」として、全部について罪が成立するとした。

これに対し、最高裁第一小法廷は「通常の遊技で得た分には窃盗罪が成立しない」と犯罪の成立範囲を厳格に解釈しながら、「相当数は盗んだものと認められる」と述べ、高裁の結論を支持した。

現場を知らずに出てしまう判決世間とは違うのか

正直なところ、私はこの判決文を読んでとても驚きしました。窃盗罪成立は「不正に得たメダルだけ」って、どういうことなのでしょうか。量刑こそ懲役1年とした一、二審判決の結論を支持していますが、実際に購入した分とゴト行為で取得した分をどうやれば分けることができるのでしょうか。絶対に不可能なことは誰の目にも明らかであり、現場というものをいかに知らない人が下す判決だ、ということをつくづく思い知らされます。私のセミナーではホール現場の最前線の方が参加されますが、彼らはよく「もつとゴト行為の刑罰が重くなればいいのに」ということを発言されます。これまでにも、ゴト行為を発見してゴト師を捕まえに行ったところ、逆にゴト師集団に囲まれ凶器で殴られ大怪我をさせられたことや、ひどい場合は殺されたことまであるほど大変な思いをして捕まえているわけです。こんな矛盾に満ちた不条理な判決はどう考えても私は納得できません。ある意味、ゴト行為を手助けしているような判決です。

時々他の裁判でも世問の考え方とはかけ離れているような判決が下る場合がありますが、この手の法律は、悪いことを繰り返させないためにあるとばかり思っている私が変なのでしょうか。それとも日本では昔から「盗人にも三分の理」ということわざがありますが、今回はまさにそれを当てはめた結果なのでしょうか。

ちょっと話しは変わりますが、1995年当時、あの忌まわしい地下鉄サリン事件など13件の重大な犯罪事件で起訴されている、オウム真理教の首謀者の麻原彰晃(松本智津夫)被告はまだ死刑にならず長々と裁判が続いていて、のうのうと生きているそうですが、なぜここまで長くなるのか私など凡人には到底理解できそうにありません。重なりますが、こういう輩を生きながらえさせておく日本の法律っていったいなんのだ1と考えてしまいます。

高設定を客に教えたマネジャーを初めて逮捕に感謝

次に2件目の判例は10月6日の静岡版毎日新聞に掲載された事件の結末ですが、タイトルは

【特別背任】高設定スロット台を客に教えホールに損害…静岡で容疑者逮捕

この事件は業界の中で常時同様のことが起きているのではと思われそうで、まじめな業界人にとっては非常に腹立たしいことであり、大迷惑なことでもあるのですが、初めて立件してくれた静岡県警富士署には感謝です。

その内容は、メダルが最も出る設定にしたスロット台(画像C・設定表示)を客に教え、勤め先のパチンコ会社に損害を与えたとして静岡県警富士署などは6日、御殿場市中山、元パチンコ店マネジャー、小池大介容疑者(31)を会社法違反(特別背任)容疑で逮捕した。また、客側の富士宮市上条、無職、佐野信弘容疑者(姐)も共謀者として同容疑で逮捕した。県警によると、パチンコ店の社員の不正を同容疑で立件するのは全国初という。

逮捕容疑は、小池容疑者が今年5月飾日、勤務先のパチンコ店で、出る台を佐野容疑者に教え、一緒に逮捕された男2人に遊技させてパチンコ会社に15万円の損害を与えたとしている。同署は小池容疑者らが昨年11月〜今年5月、総額3000万円以上の利益を得た可能性があるとみている。

パチスロの設定を任されている小池マネージャーが、その立場を利用して高設定の遊技台を作り、特定客に打たせて高額な利益を取得させていたわけですが、当然自らもそれ相当の分け前を得ていたことは間違いありません。彼の家族関係や私生活は不明ですが、会社からはきちんとした給料も頂きながらこのような不正行為した彼にはぜひとも重い刑罰を与えてほしいものです。

「勉強会」の間にも新電波ゴトは変化し、拡大した

さて、現在進行中の日遊協主催による「不正対策勉強会」も、去る9月11日全国で5回目となる近畿支部開催が終わり、いよいよ残すところ広島で開催される中国・四国支部で、本年の締めくくりとなりました。各会場でお世話してくださったボランティアメンバーの方、大変ご苦労さまでした。

ところで、この「不正対策勉強会」の第-回目開催は3月上旬でしたので、10月器日となると丸々7か月間が経過しており、ゴトの手口も相当変化してきています。いま、改めて3月の東京開催での内容を見直しましたが、まずはそのとき、流行りかけた「新電波ゴト」が登場しています。今月号では、何例かのゴト手口の変化を見ながらこの7か月間を振り返ってみたいと思います。

まず先述しました「新電波ゴト」についてです。東京のときは正直なところわれわれも電波ゴトの詳細を完壁というところまでは捕まえきれておらず、そのときのタイトルも「うわさされていた新電波ゴトついに正体を見せる」というものになっていまして、電波ゴトの発生そのものと、今回の電波発射機(画像A)は、昨年発生したセルタイプのゴト器具のパワーアップ版であるということを特に強調して紹介しました。また、電波ゴトの対象になっている賞球及びスタートセンサー(当時はオムロン社製)と、遊技機はごく一部(当時は三共・ビスティ)でしたが、現時点におきましてはホールにあるいろんな機器類がターゲットになっていることは、皆さんもご存知のところです。ところで、私どもはその東京開催のときすでに「いまは被害に遭っていない他の機種やサンド等のものにも拡大していく恐れがあります。十分な警戒が必要です」と警報を出していましたが、いま、不幸にもそれが現実のものとなってしまっています。いま全国各地から毎日のように電波ゴトの被害報告が上がっていますが、遊技機では三洋やサミー等、台間サンドではグローリー(画像B)やオオイズミ製のものがすごい勢いで被害に遭っています。ちなみに当初オムロン社製のセンサーを狙った電波ゴトに使われた電波発射機の周波数と、いま狙われている機器類に使用されている電波発射機の周波数は当然違っています。また、ゴト器具そのものも小さくなっていますことも合わせて報告しておきます。

すぐ報告しないのではゴト行為そのものが無くならないのです

本日は10月19日ですが、弊社にもホールからの被害報告が何件も入っていますが、「ゴトはなぜなくならない」という理由付けになるような事例がありますので、1例紹介します。

そのホールは5日ほど前と昨日に5万枚と3万枚の誤差コインの発生があったのですが、1回目のときにはその店長は社長が怖く、ゴトである可能性を報告しなかったのです。その店長にすれば、誤差玉でも誤差コインでも通常は閉店にならなくてはわからないだけでなく、何が原因であるのかということの絞り込みもむずかしいという事も頭にあったためもあります。しかし2回目はさすがに隠すことはできず報告を入れましたが、当然こっぴどく叱られました。その時点でホールに設置されている監視カメラのDVD録画を見直しましたところ、どちらの日の録画にも5〜6名ぐらいの怪しげなグループが、複数の遊技台を渡り歩き台と台とを隠すように囲み何かをやっている行為が映っていたのです。どちらともほぼ完壁と思えるほど囲んでしまっているため、ゴト行為そのものの詳細を確認することは出来ませんが、99%サンドの電波ゴトであることが計りきれるものでした。それもどうやら1台だけの電波発射機を使っているのではなく複数台の発射機を使用しているようです。人問だれでもこのようないやなことや、怒られそうなことはどうしても報告が遅れがちになりますが、これはまさしくゴト師たちの思う壷となります。こういうことの繰り返しこそがゴトがなくならないことの大きな理由になっているのは言うまでもありません。

電波ゴトはまだまだ拡大の恐れがあります。今後とも十分に注意と警戒が必要です。

■南光国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト対策の専門家として多方面で活躍している。株式会社コスモローム研究所相談役、日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、日遊協不正対策勉強会講師。