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ゴトと闘う (_2009年7月)

とんでもない幻想です「ウチみたいな店には来ない」

この連載もいよいよ4回目とな りますが、前3回までの原稿をお 読みになった皆さん、なにかのご 参考になりましたでしょうか。そ れとも、「こんな退屈なこと書く なよ」とお怒りでしょうか。少々 気になるところです。もし、ご批 判がありましたら、直接でもいい ですし、また、日遊協本部を通じ てでも結構ですので、メール或い はファックス、手紙など問いませ んので、ご一報いただければ幸い です。

ところで、現在進行中の日遊協 主催による不正対策勉強会ですが、 3月の東京を皮切りに、5月の福 岡、6月の名古屋と順調に進捗し ています。どちらの会場とも当初 の予定人数を大幅に超えた方が来 場されています。7月(10日)は 札幌ですが、これも当初50名の予 定のところを、すでにその倍の100名を超えた申し込みを頂いて いるようです。多数の方がご来場 されることは喜ばしいことなので すが、札幌のセミナー会場は狭く 正規の絶対数は80席だそうですの で、はみ出た方は臨時のパイプい すにお座りいただくことになりま すが、どうかご了承のほどよろし くお願いいたします。

セミナーをやる側の当事者とし ましては正直な気持ちとしまして、 予定より少ない人数での開催より かは、せっかくですので予定外の 方もより多くご参加いただいた方 が、モチベーションが高まること は間違いありません。

まずは、これまでにご来場され た方々、またこれからの勉強会に ご参加なされる方々に対しまして、 また、この不正対策勉強会が運営 される7か月間、長期に渡り携わ る方々、またその他表面にはまっ たく出てこない陰で応援して頂い ている方々を含めまして、生意気 にも講師という立場を頂き壇上に 上がる身といたしまして、関係者 全員の方に心よりお礼を申し上げ ます。本当にありがとうございま す。

新型インフルエンザ、業界にとってもこれからが恐ろしい

講演内容につきましてはいろい ろとご不満やらご批判等もおあり と思いますが、まだ、3開催を残 していますので、どうかこれまで どおりご協力のほどよろしくお願 い申し上げます。

本文に入る前に、先日東京上野 で開催されたある会合において、 森昌夫先生(微小循環研究所所 長)という方が、前号で書いた新 型インフルエンザについて講演を されました。気温の上昇とともに 終焉したような感じにはなってい ますが、また秋になり気温が下が る頃には復活する可能性が非常に 高いようですので、会場で聞いた 内容を皆さんに少しだけお伝えし ますので、いま少し紙面をお貸し ください。

昨年の10月31日付けで東京商工会 議所が発行した、「中小企業のた めの新型インフルエンザ対策ガイ ドライン〜命を守り、倒産を免れ るために〜」という配布資料を元 に話が進行しましたが、「新型イ ンフルエンザ」という伝染病と、 それに伴うWHOが発表したパン デミック(世界的大流行)11「フ ェーズ6」というランクの恐ろし さが十分すぎるほど伝わりました。

一部の具体例を紹介しますと、 事業継続が感染拡大を起こしうる 不特定多数の人が同時に集まる場 や、機会を提供している事業者(当 然ながらパチンコ店も該当する) は事業活動の自粛を要請されます。 約8週間以上続くのですが、それ を1波として2波3波(7波以上 になるという専門家もいるそうで す)と繰り返されます。また、大 量の人が感染するため、様々な医 療器具(ベッドや酸素ボンベ等) や薬などが不足になりますが、そ れらは助かる見込みのある人から 優先的に使われることになるそう です。まだまだ背筋の凍るような 話が続いたのですが、興味のある 方は森先生や東京商工会議所のH Pを開いてみてください。

16%の店が「来ない」この回答にはただうなるだけ

さて、今回は前置きが長くなり ましたが、いよいよ本題に話を戻 します。

2か月ほど前のことです。日遊 協本部の紹介で、アミューズメン トジャパンという業界専門誌から インタビューを受けたのですが、 私はそのときの担当者が持ってい た業界ホールヘ向けてのアンケー トの回答が思わず気になりました。 約100店舗以上のホールからの 回答なのですが、その中で「あな たのホールにゴト師が来店したこ とはありますか?」という問いに 対して「ない」と答えた回答が約 17%弱あったのです。別の機会に、 私どもも同じようなアンケートを 取ったことがあるのですが、やは りそこでも同じようなパーセント の方から先の問いに対して「ない」 という回答を頂いたのです。また、 弊社の同業企業が取ったアンケー トを見たこともあるのですが、こ れもほとんど同じような回答が返 ってきています。16%前後という と、約6人に1人の方が「わがホ ールにゴト師が一度も来店してい ない」と思っていることになるの です。私は正直「うーん」とうな ってしまいました。けっして煽る わけではないのですが、本当にゴ ト師が来店していないホールなど あるのでしょうか。本誌の読者の 皆さんにも問いかけますが、そん なホールがあるのでしょうか。

強烈なゴト対策で知れわたる会社でも入られる事実が意味すること

私の長年の知り合いであるM氏 は、わが日遊協近畿支部セキュリ ティi部会(以下セ部会n写真1) が誕生した1999年(10月)か らのメンバーで、現在はその副部 会長を勤めています。ちなみに、 このセ部会はほぼ毎月1回の開催 を続けており、この6月19日の開 催でー15回目を迎えます。

ところで、M氏の勤務先は」と いうホールの会社ですが、その会 社は昔からセキュリティーに非常 に力を入れていて、系列店にはゴ ト師対策のための人員を配置して いるほど頑強な警備体制を敷いて います。それはオーナーの信念だ と思うのですが、不正によって持 っていかれる被害というものほど、 無駄なものはないという意識の現 われでもあると思います。毎月開 催されるセ部会におきましても、 M氏が来られないときは別の方が 必ずと言ってよいほど参加してく れますが、時々自社ホールに来店 したゴト師との顛末を話してくれ ます。なにが言いたいのかと言い ますと、先述しましたように、こ の会社は昔からゴト対策は強固で あり、ゴト実行の成功率は非常に 低いはずのホールなのです。当然 のことながらこのことはゴト師連 中には十分伝わっているはずです が、それでも、ゴト師が時々来店 しているのです。また、業界最大 手の「M」という企業ホールも、 セキュリティーにかける予算も相 当なものであると風の便りで聞い ています。関西でも最強に属する 「H」という企業ホールからも、 わがセ部会へはスタッフが参加し ていますが、彼らの発言からも自 社において強烈なゴト対策を敷い ていることが伺えます。この2社 の中堅幹部の方とも先のセ部会の 中や、別の会議の中でご一緒する 機会があるのですが、自社系列店 内で発生しているゴト事例の報告 を時々いただいています。上記2 社だけでなく、昨今のパチンコ産 業の中において優良といわれる会 社ほどセキュリティーを重視して います。当然のことのように、こ れに対してきちんとした予算を組 んでいるのです。何回も重複しま すが、このような会社の現場でさ えもゴト師が来店しているのです。

玉の持ち込みはその数にかかわらずりっぱな犯罪なのだ

話を16%前後ある(ゴト師が) 「来ていない」と思っている方々 に戻しますが、この回答者がオー ナー関係の方なのか、スタッフの 方なのかはまったく不明です。し かしながら、どちらの部類の方が そう思っていても非常に問題があ るのです。

最近特に他店玉や他店コインの 持ち込みゴトが多く発生していま すが、中には30万個の他店玉を持 ち込まれたケースもあり、どのホ ールにおいてもこのゴトの防衛に 神経を使っているほど深刻な問題 になっています。ところで、前記 の16%前後の方々に質問します。

自社ホール内において他店玉や 他店コインが混入していませんか。

必ず、当該店以外の玉やコイン が相当数混入しているはずです。 本来、理論的にはそのようなもの は絶対に混ざるはずがないはずな のですが、現実は他店玉や他店コ インの混入 がないホー ルなど10 0%ないと 断言できる でしよう。

その他店 玉はなぜ、 混入するの でしょうか? お客様がど こかで打っ た残り球を ポケット等に入れて持ち込んだり、 パチンコ店に勤めるアルバイトス タッフが自店の玉やコインを持ち 出して別のホールで使ったり等々、 いろんなことが考えられます。よ く考えてみてください。数量の問 題ではなく持ち出しや持ち込みは 厳密に言えばりっぱな犯罪行為な のです。ちなみに、九州のホール 関係者から聞いた話ですが、組合 から「玉やコインの持ち込み持ち 出しは犯罪です」という内容のポ スター(写真2)が配布されてい て、ほとんどのホールがそれを貼 っているそうです。

セキュリティーに力を入れてい る優良ホールほどゴト師を多く発 見していますが、なにもゴト師が 集中的に多く現れているわけでは ありません。スタッフや幹部社員 が常にゴト師来店に対しての警戒 感を持っていることで、些細なこ とに気が付き発見できているわけ. です。それに対してE%前後のホ ールにもゴト師は均等(?)に来 店しているのですが、それに気が 付いていないだけのことなのです。

私はなにもムキになるつもりは ありませんが、これでもまだ「ゴ ト師が]度も来店していない」と 思うでしょうか。そうだとしたら 非常に危険なことであり、むしろ、 知らず知らずのうちにゴト行為を 助長してしまっていることにもな り、それによって、逆にゴト師の 餌食になっている恐れさえあるの です。

離島のパチンコ店なのにゴト師たちが集中的に狙ってきた

ところで「来ていない」と云っ ている理由付けを想像しますと、 多分ですが、まずは「こんな田舎 のホールにゴト師が来るはずがな い」また「こんな暇な店にゴト師 が来るはずない」などの「はずが ない」との理由からではないでし ょうか。そしてもうひとつは、来 ている事を認めたくない、との思 いからではないでしょうか。

「来るはずがない」について、 今度は私の友人のK氏に登場して もらうことにします。彼は私と同 じような仕事しているのですが、 私よりはるかに行動範囲が広く全 国を股にかけて飛び回っています。 彼は特に九州方面が強く、長崎県 等の離島に存在するパチンコ店に おいても検査などをしていますが、 こういう地域でさえ、たまにぶら 下がりゴトなどの部品が出てきて いるのです。また、3年ほど前に K氏が私のところへ立ち寄ったと きに「いま全国のゴト師連中が離 島にあるP店に相当数集結してい る」という話をしていたことがあ りました。その理由は簡単です。 当時、ほとんどのゴト師がターゲ ットにしていた、ゴト手口に甘い 某有名機種がそこにあったからで す。情報がきちんと入ってくる都 会近辺の大方のホールは、機械的 なゴト対策においても、ホール内 での対応においても日に日に強固 になってきていて、彼ら(ゴト師) がゴト行為に及ぶ余地がかなり減 ってきています。そこでゴト師た ちは、情報があまり届かない離島 等にあるようなP店に目を向けだ したのです。案の定、そのような 地域のホールはほとんどが無防備 状態だったのです。そこで彼らは、 物見遊山を兼ねて離島へ渡って金 儲けをしようということなり、ゴ ト師たちが大挙してやって来たと いうことなのです。実際に彼が言 っていたころの一時期、大阪や東 京等でのゴト行為の件数が極端に 減っていました。これらのことか らもお分かりのように、辺鄙なと ころだの不便なところなどという 理由はゴト師たちにとってなんの 苦にもならないわけで、「ゴト師 が一度も来店していないホールな どありえない」という証明でもあ るわけです。

恐ろしいニュースがある特殊警棒などで店員をボコボコにした

さて、ここまで原稿を書いたと ころで飛んでもないニュースが入 ってきましたので、今号の締めと します。

大阪府遊技業協同組合による緊 急情報、大遊協防犯ニュース(6 月17日付)ですが、「ゴト師集団 による負傷者事案の連続発生警 戒強化をー」という表題です。内 容は、この3日間、大阪府下四条 畷、平野、枚方支部内のホールに おいて、ぶら下がりゴト(n写真 3)を狙った外国人風男性ゴト師 集団による傷害事案が3件連続し て発生しました。いずれの事案も 全員が所持している特殊警棒など を使って、止めに入った従業員を 取り囲みいきなり襲ってくるとい う凶暴さで、今後、特殊警棒以外 の凶器を所持する可能性もあるた め、厳重な警戒を敷いてください、 というものです。いずれの場合も スタッフが取り囲まれてボコボコ にされた、いうことです。

本誌が配布される頃には別の地 域に行っていると思われますが、 今後ともますますこのような凶悪 な事件が発生する可能性は大いに あります。なにもないような平穏 と思われるようなときでも、地域 内の地元店舗とは密接に連絡を取 り合い、継続的な警戒をする必要 があるでしょう。

■南光 国昭■
パチンコパチスロ産業界で、数少ないゴト 対策の専門家として多方面で活躍している。 株式会社コスモローム研究所相談役、 日遊協近畿支部セキュリティー部会顧問、 日遊協不正対策勉強会講師。